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M&Aニュース

                                               2010年10月13日
 




 

   
        寄附修正と株式の帳簿価額
               
            
    
   
 
      
                         
          

     
 10月に入り平成22年度税法改正で導入されたグループ法人税制の各種制度の本格的な適用が開始された。各種制度のなかでも、100%グループ法人間で寄附が行われた場合、受領法人で全額を益金不算入、支出法人では全額を損金不算入とする制度が、特に企業の間で注目されているところだ。
 ところで、寄附が行われた場合、その法人の株主法人は移転した利益の額に持分割合を乗じて計算した金額を、その株式の帳簿価額から増減させるとともに同額を自己の利益積立金から増減させる寄附修正を行わなければならいないこととされているが、寄附金の額が支出法人の株式の帳簿価額を上回る場合、株式の帳簿価額がマイナスとなることもある。
 税務上とはいえ、「マイナスの帳簿価額」に違和感を持つ向きもあるだろうが、寄附修正は、課税関係を生じさせずに利益を移転させることで子会社株式の譲渡損益を作出するような租税回避的な行為を防止するために、実際の価値を株式の帳簿価額に反映させる趣旨で設けられたもの。株式の帳簿価額がその時々の法人の価値を織り込んでいない固定的な価額である以上、利益の移転があれば、金額の多寡に係わらず、調整すべきものと考えられている。そのため、寄附修正事由が生じた際、株式の帳簿価額に加算する金額は、条文上も「受贈益の額に持分割合を乗じて計算した金額から寄附金の額に持分割合を乗じて計算した金額を”減算した金額”」とされマイナスも起こり得る仕組みとなっている(法令9@七、119の3E)。
 例えば、A社の100%子会社であるB社とC社のそれぞれの株式の帳簿価額が50である場合で、B社からC社へ80の寄附が行われた場合、株主であるA社は、B社の株式の帳簿価額を80減算するとともに、同額をC社の帳簿価額に加算しなければならないため、B社やC社の寄附修正後の株式の帳簿価額は、B社は「△30」C社「130」となる。ちなみに、帳簿価額がマイナスとなったB株式は、株式の評価換えや譲渡等が行われるまでマイナスの状態のまま別表五(一)に残ることになる。






       (以上参考;週刊「税務通信」第3133号)
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