M&Aの用語集

                                               
M&Aの用語集

 M&Aに関係する用語は多岐に亘ります。そこで、簡単な用語解説集を作ってみました。厳密な意味ではないものもありますが、M&Aに対して拒絶反応が出ないようにまずは身近に感じていただくためのものであるとご理解下さい。

用語 意味・内容
5%ルール 発行済株式総数の5%を超えて、直接・間接を問わずそのグループとして実質的に株式を所有した場合には、株式を買い付けた者の明示、買付の目的、資金源の明示などの情報を含む情報開示をしなければならないとする規制。(ウィリアムズ・アクトの項参照。)
アーニング・マルチプル・レシオ(Earning Multiple Ratio) 傾向値、すなわち、同じ業界での過去の企業買収の取引例が多数存在し、かつ、その取引価格と買収対象会社の税引き後純利益との関係がほぼ一定であるといったある種の傾向がみられる場合のその比率を意味しており、いわば業界の相場と捉えることができる。
アービトラージャー(Arbitrager) 買収が見込まれる企業を捜し求め、その株式を購入し、買収が成立して株式を売却したときの利益を狙って、売買取引を行う者。買収が仕掛けられると、買収プレミアムを見込んで株価は上昇し始め、買収が成立した時点で、買収価格と市場の価格がほぼ一致するようになっている。したがって、この売買取引も一種の裁定取引であるが、買収が必ずしも成功しないリスクがあるため、M&Aの場合、特に「リスク・アービトラージ」と呼ばれている。
アーン・アウト・ディール(Earn Out Deal) 買収代金の支払い条件については全額一括払いと分割払いの方法がある。分割払いがとられる理由は、買い手側が自らのリスクを軽減させるためであり、最終買収契約書で売り手との間にいくつかの条件を設定し、それが一定期間内に満たされた場合にのみ、あらかじめ定められた買収価格代金を支払う旨の約束をすることが通常で、こうした取引をアーン・アウト・ディールという。(エスクローの項参照)
アウト・イン(out-in) 海外企業による日本企業の買収をいう。
アクィジション(Acquisition) MAの項参照。
アセット・パーチェス(Asset Purchase) 資産買収(営業譲受)とは、被買収会社の資産の全部または一部、及びこれに関係する負債の一部を選択的に組み合わせて、ここの財産を売買取引の形で買収することをいう。(逆にこのような財産を譲渡することを営業譲渡という。)このため、個々の財産は契約により個別的に移転するため、それぞれの手続きが必要であり、合併のように被買収会社の財産が包括的に継承されて法人格の合一化をきたすということはない。(「営業」の項参照。)
イソップ(ESOP:従業員持株制度) Employee Stock Ownership Planの略。イソップと呼んでいる。従業員の財産形成や共同体意識醸成のため、会社が従業員に奨励金等の便宜を与えて自社株の取得・保有を奨励する制度で、税務上の恩恵がある。この従業員持株会の基金が、企業買収の資金源となる場合がある。
一枚モノ M&Aを希望する会社の概要をまとめたものをいう。大抵A4用紙に1枚程度なので一枚モノと呼ばれる。秘密保持のため、これを見ても会社を特定できないように加工している。
委任状合戦 プロクシー・ファイトの項参照
イン・アウト(in-out 内国企業、すなわち日本企業による海外企業の買収をいう。
イン・イン(in-in 内国の企業同士、つまりわが国では日本企業による日本企業の買収をいう。
インサイダー・トレーディング(内部者取引:Insider Trading 職務や地位により得た株価に影響するであろう企業の内部情報を利用して、株式売買をして不正に利益を得ること。インサイダー取引。リスク・アービトラージャー(リスクを取るサヤ取り業者)はプレミアム付きで買収されそうな企業を見つけると、その株式を買い、買収が実際に行われると売却益を得る。早い段階から買収情報が手に入れば、他より有利であるに違いない。しかし、その情報を不正に入手していることもあった。米国でリスク・アービトラージャーの代表格とされたアイバン・ボウスキーが198611月にインサイダー・トレーディングでSECの摘発を受け、インサイダー・トレーディング問題の重要さを世界に示した。
インベストメント・バンク(Investment Bank 米国の投資銀行のことで、株式・債券・デリバティブなど幅広い金融商品を扱う。
ウィリアムズ・アクト(Williams Act:ウィリアムズ法) 株式の公開買付けを規制するため、米国で1968年に制定された連邦法。公開買付けのオファーを受けた株主が充分な検討をすることができるように、公開買付けをしようとする者に関係資料をSECなどに提出させること、公開買付期間を最低20日とすることなどが定められている。これによりサタデー・ナイト・スペシャルなどの、不意打ちの乗っ取り計画は封じ込められた。さらに同法により、ある企業の株式を5%以上取得した場合に、SECへの報告が義務づけられた。この報告の猶予期間は10日間であった。しかし、この期間をさらに短縮する動きが出た。乗っ取り屋が秘かに安価で株式を買い占めることが、ますます難しくなってきている。
ウィンドウズ・ガイ(Windows Guy いわゆる「窓口担当者」のことをいう。「窓口」しかできず、何の役にも立たないが、大企業の看板を背負っている日本人を皮肉って「Win Guy」(勝利者)などと言われることもある。
営業 わが国の商法では、「営業」の意義を単に営業用の財産だけではなく、取引先・技術・ノウハウ・従業員など、一定の目的のために組織化され有機的一体として機能する財産をいうとされている。
営業譲受・営業譲渡 アセット・パーチェスの項参照。
エスクロー(Escrow 不動産等の売買において売買契約に盛り込まれた条項のうち、一定の契約条件が整うまでは買い手は現金や有価証券等を第三者に預託し、契約条項がすべて満たされたことがその第三者に確認されることを条件として売り手は代金を受け取り、買い手には契約の対象物が引き渡される制度をいう。売買に伴うトラブルを未然に防ぎ、取引当事者相互の信頼感を強固にすることを目的とした制度である。
M&A Merger (合併)とAcquisition(買収)の略語であり、経営資源に関する支配権の移転を特徴とする経済行為をいう。わが国においてはM&Aを「企業買収」という意味に使われるケースが多い。M&AネットでもM&Aを企業買収と同義に扱い、その内容として、「合併」「営業譲渡」「株式取得」「株式移転」「株式交換」などによって外部の経営資源に関する支配権を獲得する行為として位置づけている。
エムビーオー(MBOManagement Buyout マネジメント・バイアウトの項参照。
カウンター・テンダー(Counter Tender 敵対的買収において買収しようとする企業から仕掛けられたTOBに対抗して、標的企業が逆にその会社にTOBを仕掛けること。パックマン・ディフェンスとも言う。
合併 マージャー(Merger)の項参照。
株式公開買付け テイク・オーバー・ビッド(TOB)の項参照。
基本合意書 レター・オブ・インテントの項参照。
キャッシュ・テンダー・オファー(Cash Tender Offer 公開買付けに際し、支払いに現金を使って株式買取りを行うことをいう。株式交換によるテンダー・オファーと対比される。キャッシュにするか株式にするかは、買い手側と売り手側とが、それぞれ税務、資金状況、株価などの面からどのような影響を受けるかを検討して決める必要がある。
Qレシオ(Q-ratio トービンのQレシオとも言う。企業買収の有利性を判定する比率で、買収対象会社の株式の市場価格とその会社の保有する純資産を再調達価額に基づく時価に洗い替えたものの割合をいう。
キラー・ビー(Killer Bees 敵対的買収合戦において被買収企業側のアドバイザーとして戦略を練るインベストメント・バンカーのこと。
クラウン・ジュエル(Crown Jewel 被買収企業の中で、資産価値、収益力、事業予測から見て最も魅力的な事業部門、もしくは子会社のことをいう。ある企業のクラウン・ジュエルを手に入れることが、M&Aの主要目的となることが多い。買収防衛策として、標的企業はクラウン・ジュエルを売却したり、分社化することによって自らをより魅力のないものにする手段をとることがある。
グリーン・メール(Green mail

標的企業の株式を株式市場で買い集め、標的企業に買取りを持ちかけるものをいう。ブラックメール(脅迫状)を特に1ドル紙幣の緑色と連想づけて一般にグリーン・メール、買い集める者をグリーン・メーラーと呼んでいる。企業は乗っ取り屋を追い払うために、プレミアムをつけて自社株買戻しを行い、乗っ取り屋は利益を稼ぐ。乗っ取り屋は最後まで買収を行うことが目的であったと言うが、多くの場合、株式買戻しによるプレミアム稼ぎが本来の目的である。

クロージング(Closing 売り手と買い手とが最終の買収・合併契約書に調印後、実際に契約の履行をすること。
高利回りファイナンシング(High-yield Financing ジャンク・ボンドによる資金調達の別名。ジャンク・ボンドの項参照。
コーポレート・レーダー(Corporate Raider 襲撃者、乗っ取り屋のことで、企業経営の支配権獲得を企図すると言うよりも、乗っ取り屋の脅しをかけることにより、取得した株式を高値で売り払って利ザヤを得ることを目的としている。資産価値に比して市場株価の割安な銘柄をひそかに買い集め、保有株式が数パーセントに達した段階で買収公告その他の脅しをかけ、その結果として第三者の買い手を誘い出すか、あるいはグリーンメールで売却し、利益を得る。
ゴールデン・パラシュート(Golden Parachute 被買収企業の経営陣や役員が買収に際して自分が解任されるあるいは退任する場合に、巨額の退職金もしくは一定期間の報酬がもらえるような雇用契約をあらかじめ会社と結ぶこと。米国ではM&Aが盛んなため、ゴールデン・パラシュートで企業から脱出する経営者も急増した。魅力をなくして買収を防衛する手段として使われる場合もある。
コンフィデンシャル・アグリーメント(Confidential Agreement 秘密保持契約書。
サタデー・ナイト・スペシャル(Saturday Night Special 標的企業の全株式に対して行われる一週間のTOB(キャッシュ・テンダー・オファー)。事前通告なしに株式市場の閉鎖した土曜日から始めることにより、標的企業の不意をつき、対策を講じる余裕を与えない作戦のこと。ウィリアムズ法の制定により現在ではメリットがなくなった。
産業再生法(産業活力再生特別措置法の略) 事業者による戦略的事業再構築の円滑な推進と創業・新事業開拓の推進、並びに新たな経営資源を生み出す研究活動の活性化を図り、経営資源の円滑な活動を促すことによってわが国経済の生産性を向上させ、産業活力の速やかな再生を目的として平成11813日に公布された法律。
シェル・カンパニー(Shell Company               買収やLBOに際して直接の主体となるために設立される100%子会社のこと。この子会社を通じて株式の買占めや買収に必要な資金の調達をする。経営実態が何もないと言う意味でシェル(貝殻)カンパニーという。
シナジー(相乗効果) M&Aでは外部資源が自社の内部資源に影響をもたらすことによって1+1=2ではなく、3にも5にもなるという、いわば資源の合理的分配による利益創出効果をいう。
シャーク・リペレント(Shark Repellent 乗っ取り予防の一つの戦術で、買収を仕掛ける会社をサメに見立て、これを防ぐ手段で「サメよけ」と呼ぶ。スーパー・マジョリティー条項や、スタッガード・ボードなどがある。
ジャンク・ボンド(Junk Bond クズ債券”と呼ばれ、格付けでいうと、ムーディーズ社格付けでBa以下、スタンダード&プアーズ社の格付けでBB以下の、元利払いの不確実性が大きいとされる投機的債券のことをいう。リスクは高いが、投資グレード債(格付けの高い債券)よりも高い金利が得られる。そもそもジャンク・ボンドの発行マーケットは小さかったが、債務不履行を起こす確立が投資グレード債より少しだけ高いことを強調した投資銀行ドレクセル・バーナム・ランベールによってマーケットが急拡大した。ジャンク・ボンドは企業乗っ取り屋敵対的買収を仕掛ける企業が巨額の買収資金を短期間に調達するときに発行されることが多い。なお、ジャンクという言葉を嫌って「ハイ・イール(高利回り)・ボンド」と呼ぶこともある。
ジューイッシュ・デンティスト(Jewish Dentist PR 戦術が中心となる買収防衛戦術の一つ。買収者の社会的弱点をマスコミを使って宣伝することによって、イメージ・ダウンを図ったり、買収そのものの意義を減ずるようにし向けること。株主はTOBに応じなくなり、買収は失敗する結果となる。語源は、アラブ資本が入った会社が歯科器具メーカーの乗っ取りを図ったときに使われた防衛策であることから来たものである。米国の歯科医はユダヤ人が多く、この買収にはさまざまな反対が起きたことは想像できよう。
ショウ・ストッパー(Show Stopper 有効な買収防衛策の一つ。敵対的買収を仕掛けられたときに、標的企業側で買収を阻止してしまうような法的な障害を見つけたり、作り出すこと。例えば、標的企業が自社に対する買収が実行されれば独占禁止法に触れてしまうように、標的企業が乗っ取り企業と専業分野が競合するような会社を買収してしまうことである。
スーイサイド・ピル(Suicide Pill 買収申込みへの防御手段として取締役会が採択する手段のうちで、もしその手段が本当に発動されたら会社を財政的な危機に追い込むたぐいのものをいう。例えば、買収者が30%の株を取得したときには、既存株主は持株を現行市場株価を大幅に上回る額面の社債と変換する権利を得る、などのもの。買収の魅力を削ぐために使われる。
スーパー・マジョリティ条項(Super Majority Provisions 買収・合併など特別決議を要する重大決定を行う際、三分の二から90%以上の株を持つ大株主の賛同が必要であるとするように、決議要件を厳しくする買収防衛策の一つ。
スコーチド・アース・ディフェンス(焦土戦術:Scorched-earth Defense 敵対的な買収にあった場合、買収側が経営支配権を完全に取得する前に事業資産のほとんどを売却してしまい、後に残るは焦土と化したような魅力のない会社としてしまうことをいう。わが国においては米国のようなドラスティックな例はない。
スタッガード・ボード(Staggered Boards 全取締役が一度に選出されることがないように、役員の改選任期をずらして一部分だけを選任して交代させる方法。買収の防衛策の一つ。
スタンドスティル条項(Standstill Provisions

再買収停止条項。株式の買戻しを一定期間行ってはいけないとする取り決め。一般的にはStandstill Agreementという。

ストック・オプション(Stock Option オプションが実行されるときの市場価格にかかわらず、事前に決められた価格で株式を購入できる権利。企業の経営陣や従業員に対する報酬の一つとして市場価格より有利な価格で自社株購入権を与える企業もある。
SEC 米国証券取引委員会の項参照。
第三者割当増資 特定の第三者(現在の株主であるかどうかは問わない)に新株引受権を付与する、つまり新株を割り当てる増資形態をいう。MAにおいて第三者割当を行う場合は買収会社や資本参加をしようとする会社を第三者として割り当てるということになる。定款に定める授権株式数の枠による制限はあるが、MAの手段としてこの方法を利用すると、短期間に経営支配権の移動が可能となる。ただし、資本参加の場合は100%株式取得には至らないので、100%支配するためには発行済株式を既存株主から取得する必要がある。
チャイニーズ・ウォール(Chinese Wall インサイダー情報の漏洩や悪用を防止するため、金融機関内部の各セクション間に、情報の防壁を作ること。
ツーティア・テイクオーバー・ストラテジー(Two-tier Takeover Strategy 二段階に分けてTOBをかけることをいい、二段階オファー(Two-tier offer)とも言う。最初のTOBで一定の(多くの場合は過半数)株式を取得し、支配権を獲得して、次のTOBですべての株式を取得して買収・合併を目指すこと。フロント・エンド・ローディッド・ツーティア・テンダー・オファーの項参照。
TOB テイクオーバー・ビッドの項参照。
ディール(Deal M&A案件のことを指すが、特に成立したものをディールと呼ぶ。各投資銀行やM&A仲介者はディールの件数と金額を競い合う。
ディール・メーカー(Deal Maker ディール、すなわち企業買収・合併の仕掛人・主人公たちのことをいう。
ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(Discounted cash flow method:内部収益率法・利益割引率法) 投資(買収価格+追加投資額)により得られる将来の予想キャッシュ・フローの現在価値と投資額が等しくなる割引率を求め、その割引率が大きいものほど有利だとする考え方で、この割引率が時間的価値も考慮に入れた真の意味での投下資本利益率であるといえる。あらかじめ売り手より価格の提示がある場合には有効な手法である。
テイクオーバー・ビッド(Take Over Bid :TOB 株式公開買付けのこと。ある会社の経営権の取得や支配権強化を目的に行われる株の買い集めで、一定期間内に、一定数量以上の株式を、通常は時価を上回る価格で買い付けることを公表して売り手を募る買い付けの申し込みのこと。日本では友好的に行われることが多い。米語ではテンダー・オファー。
ティン・パラシュート(Tin Parachute

ゴールデン・パラシュートに似たものであるが、被買収企業のより地位の低い従業員により少ない手当を支払うこと。ゴールデン・パラシュートの「お裾分け」。

敵対的買収(Hostile Takeover 株式公開買付けを行う際には、対象企業の経営者の同意・協力を得て行う場合と、俗にいう乗っ取りのように経営者の反対を押し切って行う場合とがある。この後者を敵対的買収という。
デッドマンズ・トリガー(Dead Mans Trigger 買収をかけられた会社が、反対に相手の会社に対して買収をかけることで、パックマンと同じ。死に体となっているのになお相手に対して引き金が引かれている、という意味。
デュー・ディリジェンス(Due Diligence 買収前に実施する買収対象企業に対する詳細調査。買収側の企業が、買収対象企業から提供される情報や交渉担当者の口頭による保証だけに頼ることなく、最終的な買収(クロージング)に至る前に、自ら及び公認会計士や弁護士などの専門家の手を借りてさまざまな角度から調査する、きわめて重要な作業。通常、買収合意前に行われる前半のデュー・ディリジェンスと、買収合意後クロージング前に行われる後半のデュー・ディリジェンスとがある。調査内容は買収対象企業のビジネスそのものから、会計、税務、法律、また海外事業がある場合は国際的な面などにまで、広範囲にわたる。
テンダー・オファー(Tender Offer)(米語) 株式公開買付け。英国ではテイクオーバー・ビッド、日本では略してTOBと言っている。支払にキャッシュあるいは証券を使い、直接株主に対して株式購入のオファーをすること。特に敵対的テンダー・オファーでは経営陣を飛び越えて直接株主に対してなされるため、企業の支配権獲得の有力手段となる。
ネームクリア M&Aを希望する会社の一枚モノを見て興味を示す相手が現れた場合、M&A希望会社の詳細情報を開示する前に、その相手の会社名をM&A希望会社に知らせること。相手が自社にとってM&Aしたくない会社であったりする場合はここで断ることができる。
パートナーシップ/パートナー(Partner-shipPartner 弁護士事務所、会計事務所及び投資銀行などがとっている経営形態で、経営幹部がパートナーとして会社の出資者になっている。社員は、いずれは自分もパートナーとして招かれ、株を割り当ててもらえることを夢見て一生懸命仕事に励む。ただし、投資銀行は近年、自己勘定での債券・株式のトレーディングの増大や引受業務の競争激化で、資本の充実が不可欠となり、大手投資銀行の多くはパートナーシップの伝統を捨てて、株式の公開に踏み切るか大手企業の参加に入っている。
パールハーバー・ファイル(Pearl Harbor Files               敵対的買収から身を守ろうという経営陣が、事前に奇襲攻撃への臨戦態勢を整え、行動計画を検討しておく際の行動マニュアルのこと。自社の魅力的なデータを作り、いざというときに財務・販売データ、研究開発中の商品など企業秘密の重要書類をホワイト・ナイトに提示して説得工作をする。
買収契約書(Purchase Agreement 買収価格やその他の条件について、売り手と買い手との間で最終合意に達したときに交わされる契約書。基本合意書によって合意された事項を基礎として交渉の結果、最終的な法的拘束力を持つ契約書として作成される。
バックエンド・ピル(Back-end Pill

ポイズン・ピルの一種で、これも買収が実行された場合、買収コストが非常に高くつくようにする防衛策。未発行の普通株式や優先株がないため、通常のポイズン・ピル策が取れない場合、標的企業側が株主に対して持株を債権もしくは現金と交換する権利を付与する。株式の一定比率が買い占められ、かつこの買収が、株主の権利に基づく債権・現金の交換価値より高い価格で速やかに実行されない場合に、この権利が有効になる仕組み。名目上は、株主の投資を保護する役目を持つ。

パックマン・ディフェンス(Pack-man Defense 逆買収。買収をかけられた会社が、反対に相手の会社に対して買収をかけること。呑み込もうとする相手を反対に呑み込んでしまうゲームのパックマンに類似していることから、このように呼ばれる。積極的な買収防御策。
ビジネス・ジャッジメント・ルール(Business Judgements Rule 経営判断の原則。訴訟等において取締役の行為が妥当であったかどうかの疑いに対して、抗弁として使われる。経営陣が合理的な経営判断をしたと考えられる場合には、その結果の如何にかかわらず経営陣の株主に対する責任は生じないとする原則。例えば、市場価格より著しく高い価格でTOBのオファーを受けても、被買収によるメリットが少ないと合理的に判断されればTOBを受諾しなくても経営陣は責任を問われないとされる。
ファインダー M&Aの交渉代理人となったり、成約に向けての実務には携わらないが、M&Aのニーズを持つ会社を見つける、紹介する、ということをビジネスとして行う者。
フィー 報酬のこと。一般にリテイナーフィーとサクセスフィーとに分かれる。
フェアネス・オピニオン 公正な第三者の意見。つまり、当事者とは全く利害関係を有せず、公正かつ衡平に客観的な立場で専門的見地から出された意見をいう。これまで日本には馴染まないものであったが、山一証券が破綻した事後処理に初めて採用され、その後の金融破綻処理にも利用されている。
ブック インフォメーション・メモランダムとも言う。M&Aの対象となる会社の基本情報を冊子にして、買い手候補となる企業に開示する。
フリーズ・アウト(Freeze out 閉め出すという意味。スクウィーズ・アウト(Squeeze out)とも言い、いったん買収会社が法律上十分な被買収会社の株式を取得すれば、買収会社は被買収会社の残った少数株主の承認を得ることなしに合併ができること。
ブリッジ・ファイナンス(Bridge Finance 投資銀行や商業銀行などが買収会社に対して行う短期融資。短期であり、リスクも高いので通常の融資に比べて調達コストは高い。従って買収完了後はできる限り早く借り換えられる。
フリップ・オーバー/フリップ・イン(Flip-overFlip-in ポイズン・ピルの一種。フリップ・オーバーは買収された場合に買収企業の株式を標的企業の株主が例えば半額で買える権利のことをいう。フリップ・インは標的企業の株式の一定比率、例えば25%が買い占められると、買い占めをした株主を除いた残りの株主が標的企業の株式を半額で買える権利のことをいう。いずれも買収コストを禁止的なものにまで高める働きを持つ。
プロクシー・ファイト(Proxy Fight:委任状争奪戦) 敵対的買収において、企業支配を確立するための手段の一つ。株主総会において企業の取締役の選任、定款の変更、合併等の重要な事項の承認を得るためには、一般株主から議決権の委任状(プロクシー)を取り付けることが重要な手段となる。このような議決に関し、経営者側と、既に株主として姿を現した買収側との両陣営で、委任状の票を、おのおの争奪することをいう。
フロント・エンド・ローディッド・ツーティア・テンダー・オファー(Front-end-loaded Two-tier Tender Offer               先取り二段階オファー。買収企業が標的企業の支配権を得るために必要な株式(多くの場合、過半数)に対する買い取り価格のほうを、支配権を得た後に購入する残りの株式の価格よりも高く設定するテンダー・オファーを言う。前半のオファー価格を高くすることにより(フロント・エンド・ローディッド)、株主からの株式買い取りを効率的に進めることを目的としている。
ベア・ハッグ(Bear Hug

羽交い締め。買収交渉テクニックの一つ。標的企業の取締役会に対して、指定した条件で株式を取得したいと申込み、回答を迫ること。通常は回答に十分な時間を与えない上、もし拒否されればTOBをかけるという脅迫を含んでいる。相手を交渉に引きずり出すこと、及び、うまく行けば買収を受諾させることが狙い。

米国証券取引委員会(SEC: Securities and Exchange Commission

1934年証券取引法によって設立された行政委員会。準司法的権限を有する。理事会のメンバーは大統領が上院の同意を得て任命する。テンダー・オファーや株式5%超取得によるディスクロージャーの書類などはSECが管理する。

ポイズン・ピル(Poison Pill

毒薬。買収防衛策の一つで、買収コストが高くつくことを買収者に承知させて買収を断念させようとする手段。種々のピルがあるが、例えば、買収が開始された後、プレミアム付の価格で償還を義務づけた優先株を発行したり、買収者を除く既存株主に株式を時価の半額で購入する権利を与えることなど。

ホワイト・ナイト(White Knight 白馬の騎士。買収をかけられた会社の経営陣が、敵対的で自分たちを追い出すおそれのある買収者よりも、友好的な別の会社に自分たちに有利な条件で買収してもらいたいと望むとき、そのような友好的な会社をホワイト・ナイトという。
マージャー(Merger:合併) 合併とは、二つ以上の会社が合体して一つの会社となることを目的とする行為をいう。会社間の契約に基づいて、当事者である会社の一部または全部が解散し、その財産が清算手続きを経ることなしに、包括的に存続会社または新設会社に移転するとともに、その株主が存続会社または新設会社の株主となる効果が生ずるものとされている。合併の形態には吸収合併と新設合併があるが、実際に行われる合併は吸収合併がほとんどである。
マネジメント・バイアウト(Management Buyout 少数株主である経営陣や従業員が金融機関の力を借りるなどして自社の株式を買い取り、企業の経営支配権を得る方法。
マンデイト(Mandate 授権証書。一般に依頼書、依頼状とも言う。
友好的買収 フレンドリー・テイクオーバーという。
リストラクチャリング(restructuring 経営資源の再構築・再編成。企業の経営成果が目標を大幅に下回る場合、経営者は再活性化のため、不採算事業からの撤退や売却、不採算事業部の分離あるいは統合・整理を行う。一方で、マーケットシェアのアップや新市場の開拓、新技術を確保して新製品を開発するといった拡大戦略や既存の事業に近い部分での新規事業進出、または異業種進出など多角化戦略を採り、企業の保有する経営資源を効率よく利益に結びつけるための再構築をいう。したがって、一般的にいう「リストラ」=「クビ切り」というのは本来の意味ではない。
レーマン方式 M&A専門業者の間で使用されている報酬体系。移動した資産の価格に対して一定の割合を乗じて算出された価格を報酬として受け取る形式となっている。
レター・オブ・インテント(Letter of Intent 基本合意書。買い手と売り手とが買収をとり進めることについて、基本的な合意が得られた時点で両当事者間で取り交わされる書類。条件等が詳しく書かれたものから、非常に一般的なものまで、さまざまな内容のものがあるが、通常は法的拘束力はない。しかし、買い手は拘束(タイ・ダウン)条項を含めることで、一定期間、売り手が他の買収候補企業と交渉に入ることを禁止させることは可能である。
レップ・アンド・ワランティ(Representation and Warranties 表明及び保証と訳され、この文書を陳述書とも言う。デュー・ディリジェンスで判明した事実について売り手が保証をすることで、デュー・ディリジェンスでは得られなかった追加の情報を得ること、また表明及び保証した事実に虚偽があった場合には、損害賠償の対象となったり、合併などの取消原因となるなど、法的な保護を得るという意味で買い手側にとってきわめて有益となる。これまでは買い手側に表明及び保証が求められることは少なかったが今後、株式交換によるM&Aが増えていくと考えられるので、売り手は株式の値下がりリスクを回避するため、買い手側の現在事業内容と将来性に関して買い手側の表明及び保証を要求することも重要となる。
レバレッジ(Leverage)効果

総資本利益率が他人資本利子率を上回る場合には、総資本の構成の自己資本と他人資本の割合において、他人資本を多くすればするほど自己資本利益率は高くなる。このように、総資本利益率と他人資本利子率との差が自己資本利益率を増加させることを「レバレッジ(てこ)」効果という。この効果が働いている場合、買収後に被買収会社の借入金を増加した資本金によって返済すると、被買収会社の自己資本利益率は低下することとなる。

レバレッジド・バイアウト(Leveraged BuyoutLBO 買収側が自己資金をわずかしか保有していなくとも、多額の借入金により調達された買収資金をもとに、標的となる会社または会社の一部門を買収する方法を言う。通常、借入金の担保となるものは買収対象会社の資産やキャッシュ・フローであるところから、この借入金の一部返済のために、買収後直ちに被買収会社の資産の処分や、買収側にとって不要な事業部門が売却されることがある。
ロックアップ・ストラテジー(Lock-up Strategy ロックアップそのものは買収の合意後、完了までの間に第三者による買収の脅威を除くための買収会社・被買収会社間の取り決めをいう。買収会社に被買収会社の未発行株式を大量に買取る権利(オプション)を与える方法が、代表的なロックアップである。しかし、ロックアップ・ストラテジーの場合、敵対的買収を仕掛けられたときに、標的企業は防御策としてホワイト・ナイトに対して、企業のクラウン・ジュエルか株式を買取るオプションを与えることをいう。
ワラント(債) 新株引受権のこと。










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