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                                               2008年2月22日
 


20年度改正 三角合併等に係る金銭交付で適格要件等の判定を明確化

「株式のみ交付」要件は一株未満の端数係る交付金銭以外の対価で判定

 20年度改正では、「平成20年度税制改正の要綱」に(1月11日閣議決定)、「三角合併等で交付される株式に一株未満の端数が生じる場合に一株未満の端数に代えて金銭を交付する場合、及び全部取得条項付種類株式が取得会議により取得される場合について、価格決定の申し立てに基づく金銭交付が行われる場合には、組織再編税制等の対価に関する要件の判定上は、これらの金銭以外の対価により判定する」という改正事項が盛り込まれている。
 この改正は、適格組織再編、及び有価証券の譲渡損益の繰延べにおける「株式のみを対価とする」旨の要件の判定について、法令上、明確化を図る趣旨であるとされており、三角合併や全部取得条項付種類株式の活用について、法令上、新たな規制等を加える趣旨ではないと考えられている。


会社法では一株未満の端数の発行は認められず譲渡代金の交付が要求される


  会社法においては、旧商法のいわゆる端株制度が廃止されたことに伴い、取得条項付種類株式の取得事由の発生による取得や合併、株式交換、等、一定の場面で、株式等を対価とした場合に生じる一株未満の端数について、その端数の合計数に相当する数の株式を競売し、競売代金を株主に交付することを要求している(会社法234)。
 そのため、税務上は、株式のみを対価とすることが要件とされている適格合併等(法法2十二の八等)の適用上、一株未満の端数の譲渡代金を被合併法人等の株主等に交付した場合には、「一株未満の株式に相当する株式を交付したものとする」旨の取扱いが置かれているところだ(法基通1−4−2)。
 また、全部取得条項付種類株式の取得については、取得の対価として発行法人の株式等のみが交付される場合にあっては、株主側で簿価譲渡として譲渡損益を繰り延べる規定が置かれているが(法法61の2M)、その株式交付の際に生じた一株未満の端数について、発行法人がその譲渡代金を株主等に交付した場合も、同様に、一株未満の端数に相当する株式が交付されたものとする取扱いが置かれているところだ(法基通2−3−1)。


三角合併等で生じる一株未満の端数等については会社法に明文規定なく税法の規定の整備が必要に


 しかし、合併等に際して、被合併法人等の親会社株式を交付する三角合併等(19年5月解禁)で生じる一株未満の端数については、会社法上も取扱いが明らかとなっていないことから、適格三角合併等の対価要件の判定上、端数に代えて交付される金銭の取扱いに疑問が生じていた。
 また、全部取得条項付種類株式の取得に際し、対価として発行法人の株式を交付する場合、一株未満の端数については、前述の取扱いが置かれているのであるが、取得決議に際して、買取対価に不満のある株主等には、裁判所への買取価格決定の申立てが認められているため、この価格決定に基づいて株主に対して金銭が交付される場合の有価証券の譲渡損益の繰延べ規定の適用上の取扱いについても同様に疑問が生じていた。
 そこで、20年度の税制改正においては、制度の適用上、このような金銭交付があった場合に「株式のみを対価とする要件」が充足されているかどうかの判定は、これらの金銭以外の対価によって判定することを法令で明確化することとした。
 つまり、課税繰延べを受けるための要件の規定整備がその趣旨であり、法令上に新たな規制を設けるものではないと考えられている。
 この点、課税繰延べの適用については、常に租税回避に利用される懸念がついて回ることから、例えば、組織再編税制については、いわゆる包括的否認規定が置かれているのは周知のとおりだ。
 また、前述の法人税基本通達には、一株未満の端数に係る金銭交付が、交付の状況その他の事由を総合的に勘案して実質的に合併等、あるいは取得事項付種類株式の取得の対価であると認められるときは、金銭交付があったものとして取り扱う旨の「ただし書き」が置かれており、課税繰延べが認められないケースもあるとされている。
 したがって、今回の法令改正が、規定の整備であるとしても、取扱いにおいては、施行後に上記と同様の対応が図られることが予想されることから、法令規定に該当する金銭交付であれば、どんな場合であっても株式が交付されたものとして取り扱われるとは限らないので留意したい。
 なお、全部取得条項付種類株式の取得に際して価格決定に基づく金銭が交付された場合の有価証券譲渡益の繰延特例については、先ごろ国会に提出された税制改正法案に盛り込まれているが(法法(案)61の2、所法(案)57の4)、三角合併等の対価については政令で対応される見込みとなっている。



(以上参考;週刊「税務通信」第3004号)
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