運営人:潟Gムアンドエーインタークロス
後援:税務研究会

M&Aニュース

                                               2009年3月11日
 



  合併法人の一括評価金銭債権の貸倒引当金の
  繰入限度額

 金銭債権がない被合併法人の事業年度数等も計算上カウント
          
 

  

 適格合併を行った法人が一括評価金銭債権の貸倒引当金の繰入限度額を計算する場合、被合併法人の一括評価金銭債権の額等を含めて貸倒実績率を算出しなければならないこととされている。これは組織再編税制上、適格合併を行った場合、被合併法人の課税関係は継続されるものと取り扱われるためだ。
 ところで、合併法人の貸倒実績率を算出する際、被合併法人の事業年度数等を含めて計算しなければならないこととされているが、仮に被合併法人に一括評価金銭債権の額や貸倒れによる損失がない場合であっても同様に事業年度数を含めなければならないので注意が必要だ。
 実務上ではこの点を誤り、貸倒損失等を有しない被合併法人の事業年度数等を含めずに貸倒実績率を算出しているケースが散見されるので、今回「一括評価金銭債権の貸倒引当金の繰入限度額の計算」について確認する。


◆貸倒引当金の繰入限度額と実績率


 税法上、売掛金や貸付金など一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額は、期末の一括評価金銭債権の帳簿価額の合計額に、貸倒実績率を乗じて算出する仕組みとなっている(法令96)。
 この貸倒実績率は、その内国法人の前3年内事業年度(その事業年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度をいい、その内国法人が適格合併に係る合併法人である場合には、その内国法人の当該事業年度開始に日前3年以内に開始した当該適格合併に係る被合併法人の各事業年度を含む。以下同じ。)の終了時における売掛債権等の貸倒損失の額や一括評価金銭債権の帳簿価額等を基礎として算出することとなる。
 具体的には、下記の算式のとおりだ。




◆ 貸倒損失の有無に関係なく被合併法人の事業年度数等も含めて実績率の計算を


 ところで、この貸倒引当金制度の適用を受ける法人が、適格合併等を行った合併法人である場合、被合併法人の一括評価金銭債権は帳簿価額で合併法人へと引き継がれることとなるため、貸倒実績率を計算する場合には、被合併法人の一括評価金銭債権の額や貸倒損失の金額等を含めて計算しなければならないこととされている(法令95A)。
 つまり、「合併法人の事業年度開始の日前3年以内に開始した、合併法人の各事業年度の終了の時における一括評価金銭債権の額や貸倒損失の額」と、「合併法人の事業年度開始前3年以内に開始した被合併法人の各事業年度の終了の時における一括評価金銭債権の額や貸倒損失の額」の合計額を、合併法人と被合併法人の事業年度数等で除して貸倒実績率を計算することとなる。
 この際、被合併法人の事業年度数等は、仮に売掛債権等の貸倒損失の額や一括評価金銭債権がない場合であっても、計算上は含めて算出しなければならないのでくれぐれも注意が必要だ。





(以上参考;週刊「税務通信」第3057号)
       (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






Copyright (C) 1999- M&A Intercross Co.,Ltd , All rights reserved.
omo