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                                               2009年3月10日
 



  省エネ設備投資 100%特別償却も可能に

 経済産業省 産活法改正案を通常国会に提出
          
 

  

 経済産業省はこのほど、産業活力再生特別措置法(以下、産活法)の改正法案を通常国会に提出した。主な項目としては、「資源生産性の向上策」や「中小企業の事業再生支援強化策」等がある。
 「資源生産性の向上策」では、省エネルギー・新エネルギー(太陽光発電等)対策を推進する企業には、一定の要件の下、100%の特別償却、登録免許税や不動産取得税の軽減措置等を認めるとする特例措置を盛り込んでいる(詳細は下記の表を参照)。この特例措置適用企業のうち、さらに、一定の要件を満たした企業には、仮に政策投資銀行や商工中金から融資を受け、その一部を貸し倒れてしまったような場合には、その一部を公的に補てんする仕組みも新設する。今年の4月頃の公布、7月頃の施行を目標とする。同法案の利用手続きなどの詳細は、適用指針で示す予定だ。


◆産活法の適用 一定の計画 策定が要件に


 産活法とは、グループ内再編、過剰設備の破棄、新製品の開発等を通じて企業活動の活性化を図る者に対して各種支援を行う法律。一定の要件の下、同法の適用を受けた場合には、税務面や資金調達面で優遇措置を受けられる。
 この適用要件として、現行制度では、一定の計画を策定して主務官庁(業種ごとの所轄官庁)に提出し、その認定等を受ける必要がある。具他的には、「事業再構築計画」、「共同事業再編計画」、「経営資源再活用計画」、「事業革新設備導入計画」、「技術活用事業革新計画」、「経営資源融合計画」の六つがあり、いずれか一つの計画を策定し、認定を受けなければならない。


◆ 認定件数は計277件 大企業が8割、中小企業が2割を占める


 平成20年9月25日現在、上記計画を提出し認定を受けた通算件数は計277件で、このうち「事業再構築計画」は224件、「経営資源再活用計画」は42件、「共同事業再編計画」は7件、「事業革新設備導入計画」は3件、「技術活用事業革新計画」は0件、「経営資源融合計画」は1件。総数の役8割を上場企業が、残り2割を中小企業が占める。


◆ 改正法案認定計画を2件追加、既存計画2件を廃止


 昨秋以降の景気悪化の影響で、日経平均株価は一時バブル後最安値を更新するなど株式市場は低迷したまま。決算期を控える企業にとっては頭の痛い問題だろう。上場株式等の評価損の計上をめぐっては、会計上において上場株式等の期末時価が取得価額より30%以上50%未満下落した場合は回復可能性の判断に基づき、著しく低下したかどうかを判断するが、税務上においては「おおむね50%相当額を下回ることになったこと」(法基通9−1−7)に当たらないことから、国税当局は「著しく低下したこと」に該当しない、として評価損の計上を認めないことが本誌の取材であらためて確認された。会計上の評価損を計上した企業は、税務上において自己否認するなど申告調整が必要になるので注意されたい。


◆会計上は回復可能性を勘案し評価損


 同法改正案では、上記計画のうち、「共同事業再編計画」と「技術活用事業革新計画」の二つを廃止する一方で、新たに、省エネ等への取組を促進させる「資源生産性革新計画」と、省エネ関連製品の生産を促進させる「資源制約対応製品生産設備導入計画」の二つを追加するとしている。
 「資源生産性革新計画」では、省エネ効率等を3年間で一定以上向上させる”取組み”が求められ、具体的には、設備稼働率を効率よく向上させるためのIT関連システムの導入や、物流システム見直しのための倉庫等の取得などが含まれる模様だ。製造業、小売業、卸売業、運輸業など幅広い業種の利用を見込む。
 「資源制約対応製品生産設備導入計画」では、省エネ効果に優れた製品を”製造すること”が求められ、具体的には、液晶テレビ、エアコン、冷蔵庫、証明設備等の生産設備の取得などが含まれるようだ。こちらはメーカーによる利用を想定している。


◆新計画には100%特別償却、既存計画には20%特別償却


 産活法上の計画を策定し、一定の要件の下、認定等を受けた場合、法人税法上は、特別償却の適用を受けることが認められる予定だ。現行制度と改正後(案)の対応関係は以下の表のようになる。


特別償却 現行 改正後(案)
@事業再構築 20% 20%
A経営資源再活用 20% 20%
B事業革新設備導入 20%
(特定事業革新設備は30%)
20%
(特定事業革新設備は25%)
C経営資源融合 30% 25%
D資源生産性革新(新設) ・産活法施行日〜平成23年3月31日まで
 の期間の取得等分:100%
・平成23年4月1日〜平成24年3月31日
 までの期間の取得等分:機械装置30%
 建物15%
E資源制約対応製品生産
  設備導入(新設)
・産活法施行日〜平成23年3月31日まで
 の期間の取得等分:100%(機械装置の
 み)
・平成23年4月1日〜平成24年3月31日
 までの期間の取得等分:30%(機械装置
 のみ)

 上記の表の通り、新たに導入される「資源生産革新計画」や「資源制約対応製品生産設備導入計画」に係る機械等については、一定期間に限定して、100%の特別償却や30%の特別償却などが認められる予定だ(措法案44の3)。
 また、現行制度ですでに導入されている「事業再構築計画」、「経営資源再活用計画」、「事業革新設備導入計画」については、現行と同様に改正後も20%の特別償却などが認められる予定だ(措法案44の3)。


◆ 資源生産性革新計画による資産 移転 登免税・不取税の軽減も


 登録免許税や不動産取得税については、現行


登録免許税 現行 改正後(案)
会社設立、資本増価、資本が増加する合併や分割 本則0.7%→特例0.35% 本則0.7%→特例0.35%
資本が増加しない合併や分割 本則0.15%→特例0.1% 本則0.15%→特例0.1%
合併による不動産移転登記 本則0.4%→特例0.2% 本則0.4%→特例0.2%
分割による不動産移転登記 本則0.8%→特例0.2% 本則0.8%→特例0.2%

不動産取得税 現行 改正後(案)
土地 本則3%→特例2.5% 本則3%→特例2.5%
建物 本則4%→特例3.3% 本則4%→特例3.3%

 ※登録免許税や不動産取得税に係る上記特例は、事業再構築、経営資源再活用、経営資源融合、資源生産性革新の各計画認定  時に限り、適用が認められる。事業革新設備導入や資源制約対応製品生産設備導入は、不動産の移転等が生じない計画なので  適用対象外。


◆ 公的な損失補てん制度を創設 利用要件は厳しいものに


 資金調達面の支援策としては「指定金融機関の出資に対する損失補てん」策がある。これは、一定の要件を満たした企業が、政策投資銀行や商工中金等から融資を受けたが、その一部を貸し倒れ等した場合、日本政策金融機関からの融資の審査は厳しくなっているが、公的に一部損失を肩代わりする仕組みを設けることで、その融資ハードルを下げることが狙いだ。
 同制度を利用すれば公的資金を利用できるとして、近頃の新聞報道等では注目を集めているが、同制度を利用するためには、@産活法の認定企業となり、A原則3年以内に収益性の向上が見込まれること等の計画を公表し、B雇用や取引先への影響が社会的にみて大きいと見られる企業であることなど、厳しい要件を課されることとなる。


◆具体的な利用手続きは「適用指針」で示す予定


 産活法改正案では、適用対象を特に限定していない。企業の規模の大小や、法人であるか個人事業主であるかなどに関わらず、利用自体は可能だ。具体的な利用手続きや、利用時に要する様式などは「適用指針」で示される予定だ。




(以上参考;週刊「税務通信」第3056号)
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