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M&Aニュース

                                               2009年3月09日
 



  上場株式の下落率30%以上50%未満は申告調整が必要

 有価証券の期末評価 会計上の評価損との違いに注意
          
 

  

 昨秋以降の景気悪化の影響で、日経平均株価は一時バブル後最安値を更新するなど株式市場は低迷したまま。決算期を控える企業にとっては頭の痛い問題だろう。上場株式等の評価損の計上をめぐっては、会計上において上場株式等の期末時価が取得価額より30%以上50%未満下落した場合は回復可能性の判断に基づき、著しく低下したかどうかを判断するが、税務上においては「おおむね50%相当額を下回ることになったこと」(法基通9−1−7)に当たらないことから、国税当局は「著しく低下したこと」に該当しない、として評価損の計上を認めないことが本誌の取材であらためて確認された。会計上の評価損を計上した企業は、税務上において自己否認するなど申告調整が必要になるので注意されたい。


◆会計上は回復可能性を勘案し評価損


 会計上の有価証券の減損処理については、売買目的有価証券以外の有価証券のうち市場価格や合理的に算定された価額のあるものについて時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、その時価で貸借対象表額とし、評価差額は当期の損失として処理しなければならないとしている(金融商品会計基準20項)。
 この「著しく下落した」という判断について、金融商品会計に関する実務指針91項では、個々の銘柄の有価証券の時価が取得価額よりも50%以上下落した場合は「著しく下落した」ときに該当。下落率がおおむね30%未満の場合は一般的に該当しないものとしている。
 問題となりそうなのは、下落率が「30%以上50%未満」という範囲だ。実務指針では、個々の企業が「著しく下落した」と判断するために設ける合理的な基準により、回復可能性の判定の対象とするかどうかを判断するとしている。言い換えれば、合理的な基準による回復可能性がなければ、会計上は「著しく下落した」と判断することが一般的とされる。


◆税務上は法基通に下落率60%相当額


 一方、税務上の上場株式等の評価損を計上できるケースとしては「有価証券の価額が著しく低下したこと」の事実が生じ、帳簿価額を下回ることになった場合に計上できるとしている(法令68@二)。この「著しく低下したこと」とは、税務上において@期末時価が期末時の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ることになったことA近い将来その価額の回復が見込まれないことの2要件により判断することが示されている(法基通9−1−7)。
 株価の下落率が帳簿価額よりも50%以上下落した場合は、回復が見込まれる合理的な反証がなければ、法人の合理的な判断は尊重されるものとみられる。しかし、下落率が30%以上50%未満の上場株式等の評価損については基本的に「おおむね50%相当額を下回る場合」と法基通に明示された数値に該当しなければ、評価損を計上できる「著しく低下したこと」の要件を満たさないということだ。このため、申告時には会計上において計上した有価証券の評価額を自己否認するなど申告調整の対応を失念しないよう注意されたい。





(以上参考;週刊「税務通信」第3056号)
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