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M&Aニュース

                                               2009年7月03日
 



  所在地国で損金算入される剰余金の配当も対象

     
   外国子会社からの配当益金不算入制度

  
  
  これまでの間接外国税額控除制度に代わり、平成21年度税制改正では外国子会社から受ける配当の益金不算入制度(法法23条の2関係)が創設された。この配当には種類株式に対する制限は設けられておらず、議決権を制限する代わりに配当を厚くした優先株式に対する優先配当等が対象に含まれる点は既報の通りだ。
 さらに、従前は間接外国税額控除制度の対象外とされた外国子会社の本店所在地国で損金算入される剰余金の配当についても、本誌の取材により外国子会社配当益金不算入制度の対象になることが確認された。日本の親会社が一定の要件の下で外国子会社から受ける配当については、所在地国で課税されたか否かに関係なく95%益金不算入の範囲に含まれる。


◆ 従前は間接外国控除制度の対象外


 今回の改正で新設された外国子会社配当益金不算入制度は、内国法人(親会社)の持株割合が原則として、発行済株式の25%以上で、かつ保有期間が6月以上の外国子会社を適用要件としている。経済のグローバル化が進展する中、同制度では外国子会社から受ける配当の5%分を益金算入、残り95%分を益金不算入としており、従前の間接外国税額控除制度に代わる二重課税を控除する仕組みが実務担当者の間で注目されていた。
 従前の間接外国税額控除制度では、国際的な二重課税を調整する意味から外国子会社に課税された法人税は親会社に課された法人税とみなし、間接外国税額控除の対象とされていたが、外国子会社の所在地国で損金算入される剰余金の配当に対しては課税されないことからも、間接外国税額控除の対象に含まれていなかった(旧法令147A二)。


◆ 所在地国の課税の有無は関係なし


 外国子会社配当益金不算入制度では優先配当の除外規定(旧法令147A三)の取扱いと同様に、外国子会社の本店所在地国で損金算入される剰余金の配当を除外していた旧法令147条等が削除された。21年度税制改正により配当に対しては特に制限が設けられていないことから、一定の要件に該当する海外子会社から受ける配当については所持地国で課税されたかどうかにかかわらず、非課税の範囲に含まれることとなった。追加経済対策と位置づけられる平成21年度税制改正において、制度の簡素化を図る意味合いから、海外子会社からうける配当については制限を設けていないともいえそうだ。

 例えば、ブラジル政府が優遇措置の一環として、現地企業に対する投資家に報酬を与える「利子配当」については、これまでブラジル法人において損金不算入可能な利息とみなされるなど間接外国税額控除の対象ではなかった。しかし、今回の改正により日本の親会社が一定の要件に該当する外国子会社から受ける配当であれば、所在地国の課税の有無に関係なく95%益金不算入の対象に含まれる。ただし、外国子会社からの配当ではなく、単なる利子である場合は配当非課税の対象外なので注意が必要だろう。





(以上参考;週刊「税務通信」第3068号)
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