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M&Aニュース

                                               2010年06月25日
 





 解散に係る青色欠損金の引継ぎパターン
           
 
       

     
  

 22年度税制改正ではグループ法人税制の導入により、22年10月1日以後に完全支配関係子会社を解散させる場合には、その子会社株に係る消滅損を損金算入できないとする代わりに(法法61の2 16)、原則、その子会社の青色欠損金を引き継げるよう措置したが(法法57A)、その子会社との支配関係が残余財産確定日以前、最低5年間継続していない場合(「残余財産確定の日の翌日の属する事業年度開始の日の5年前の日・・・・から継続して支配関係がある」とは認めらられない場合)等には、青色欠損金の引継ぎが制限される(法法57B)。


◆ 青色欠損金の引継ぎ制限がない場合


 例えば、A社が子会社B社を23年3月31日に解散させ、24年3月31日にB社の残余財産が確定したとする(A社、B社はともに3月決算の既存法人。B社では、残余財産の分配はない。B社では残余財産確定日までの7年間に毎期△10の青色欠損金が生じた)。
 この場合、A社のB社に対する出資比率が残余財産確定日まで常に100%であるならば、残余財産確定日(24年3月31日)の時点で完全支配関係があることに加え、残余財産確定日以前5年の間(19年4月1日〜24年3月31日)に支配関係も継続しているので、青色欠損金の引継ぎ制限はない。結果、A社はB社の青色欠損金合計△70を引き継げる。
 残余財産確定日以前5年の間に出資比率を徐々に引き上げたことにより、残余財産確定日時点で初めて完全支配関係が継続しているので青色欠損金の引継ぎ制限はなく、A社は△70を引き継げる。


◆ 青色欠損金がすべて引き継げない場合


 逆に、残余財産確定日以前5年の間に出資比率を引き下げた場合には、そもそも残余財産確定日時点で完全支配関係がないため、青色欠損金は一切引き継げない。結果、A社は青色欠損金△70は引き継げないが、B社株に係る消滅損の計上は認められる。


◆ 青色欠損金の引継ぎが制限される場合


一方、残余財産確定日以前5年の間に出資比率を突然40%に引き下げたが(21年3月期)、その翌期(22年3月期)に51%に引き上げた場合には、残余財産確定日時点では完全支配関係があるが、前記5年の間に支配関係が一度切れているので、青色欠損金の引継ぎ制限がある。結果、A社は△70のうち△30のみを引き継げる(支配関係事業年度である22年3月期前各期に生じた△40は引き継げない)。
 残余財産確定日以前5年の間に突然B社を完全支配関係子会社とした場合、残余財産確定日時点では完全支配関係があるが、前記5年間は支配関係が継続していないので(完全支配関係は支配関係に包含される)、青色欠損金の引継ぎ制限がある。結果、A社は△70のうち△20のみを引き継げる(支配関係事業年度である23年3月期前各期に生じた△50は引き継げない)。



       (以上参考;週刊「税務通信」第3116号)
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