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                                               2007年5月29日

内部統制報告書の内容だけで上場廃止とセズ


  東証 上場制度総合整備プログラム2007を公表   

 東京証券取引所は4月24日、「上場制度総合整備プログラム2007」を公表した。これは、昨年6月に公表した「上場制度総合整備プログラム」の改訂版である。「プログラム2007」では、(1)企業行動に関する制度、(2)市場制度、(3)上場規則の実効性の確保に向けた制度、の整備スケジュールが改めて示された。金融商品取引法の施行(本年9月頃)までに実施予定の施策を「第一次実施事項」、それ以降に実施予定の施策を「第二次実施事項」としている。(1)では内部統制報告制度への対応、(2)ではマザーズ市場の信頼性向上への取組みなどが打ち出されている。

 内部統制報告制度への対応  

 内部統制報告制度の実施に向けた準備が進む中で、上場制度の取り扱いに注目が集まっている。これを踏まえ、第一次実施事項では、当面(実際の実務の定着が確認できるまで)の取扱いを公表するとしている。
 具体的には、@上場申請の準備時期の取扱いについても、上場審査段階で法定の内部統制報告と同じものを用意する必要はないが、上場会社となった場合には必要であることから、上場審査段階では相応の準備状況を確認する、A財務報告の内部統制上の問題が直ちに財務報告そのものの信頼性を毀損するものではないことから、内部統制報告書の内容だけを理由にして上場廃止とはしない、とするなど取扱いの方針を明確にする。

  マザーズ市場の信頼性の向上 

 マザーズ市場を、新興企業向け市場というだけでなく、将来的に本則市場(東証一部・二部)に上場することを志向する市場であると明確に位置付けるとしてる。
 具体的には、第一次実施事項として、@本則市場からマザーズへの市場変更を不可とする。Aマザーズ市場を、実績が十分でていない新興企業の本則市場の登龍門と位置付け、当初段階では売上高を含め実績数値を5年間程度は求めない(同時に一定の実績のある上場申請会社は原則本則市場に上場するよう整理)などとする。
 第二次実施事項では、マザーズ上場会社が上場後5年程度経過したところで、本則市場の内部管理体制の上場審査基準に準じた審査を実施するなど、本則市場への上場をサポートするための施策の導入に向けた検討を行う。
 なお、「検討を継続する事項」(議論の整理が不十分だが、方向性が合意できれば第一次、又は第二次実施事項になるもの)では、マザーズ上場後一定期間経過後も本則市場に上場変更できない会社に対し上場廃止(又はマザーズ市場からは退出させるが、流動性を提供する市場を設ける等)を求める制度について、論点整理をする。


   
上場規則違反に対しては制裁金も 

 上場規則の実効性の確保に向けた制度の整備では、第一次実施事項として、@上場会社に対して上場契約上の制裁金を課す制度の導入の検討、A上場適格性においては維持できるものの一定期間の改善状況を観察する期間が必要という会社を、本則市場やマザーズ市場と異なる市場区分に移して管理する制度の整備、等を行う。



(以上参考;週刊「経営財務」第2819号)
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