運営人:潟Gムアンドエーインタークロス
後援:税務研究会

M&Aニュース

                                               2007年6月22日
 


不適切な会計処理

 内部統制の不備に起因か

 ここ数年、過年度に「不適切な会計処理」があったとして、有価証券報告書等の訂正を行う事例が散見される。数年前まではあまり聞かれなかった「不適切な会計処理」という言葉。不正と誤謬をを包含した意味合いで使用されることが多いようだが、最近の事例から、その具体的な処理内容と発覚に至った経緯などを見てみる。

 売上の先行計上・過大計上など収益認識に係る事例が目立つ

    「不適切な会計処理」が行われたと発表した企業はこの1年だけでも20社を超える。その具体的な内容としては、社会問題化した組合の連結外しの印象も大きいが、売上の先行・過大計上など収益認識に係る事例が圧倒的に多い。単純に期間のズレを利用して売上を前倒しで計上したり繰り延べたりするケースだけでなく、循環取引を行い、売上を水増しするケースもある。


 内部統制の不備を指摘する声も

   刑事告発に至った過去の粉飾決算事件と異なるのは、経営者主導で行われた処理というよりは、事業所・事業部門などの責任者や社員が行った不正な取引が不適切な会計処理につながっていることだ。目標達成を目的に売上の調整を行ったというのが、その動機のようだ。
 収益認識の会計処理を巡っては、過去にもソフトウェア取引を利用した架空取引やスルー取引などが発生し、ASBJからソフトウェア取引の収益の会計処理に関する取扱いが公表された。情報サービス産業以外についても、収益の認識及び測定に関する会計処理基準の明確化が必要ではないかという意見もあるが、不正な取引を端にした最近の事例を見る限りでは「内部統制の不備に起因しているところが大きい」との声もある。
 循環取引を行っていたある会社の調査報告書でも、「主要取引部門においては販売と仕入担当部門が分離され、同一者による仕入・売上の処理は難しく内部牽制が働いている。今般の不適正取引は帳合が容易に行い得る特定部門において発生した」と説明している。

 
監査法人・証券監視委からの指摘も増加 

 主な発覚要因は、「監査法人からの指摘」、「行為者自らの申告」、「内部監査」、「証券監視委の開示検査」の4パターンである。平成21年3月期からスタートする内部統制報告制度の導入に向けて社内準備を進める中で、行為者自らが隠蔽できないと考え申告し、内部で発覚するケースがある一方で、監査法人からの指摘も多いようだ。監査の厳格化の流れの中で、3月期の監査でも、「これまで以上に取引証拠の提出を求められた」とも聞く。
 また、発覚のきっかけとして注目されるのは、証券取引等監視委員会の検査による指摘。証券監査委への情報提供も増加しているという。昨年7月から今年の4月までに寄せられた有価証券報告書等の虚偽記載に関する情報は172件に上る。平成17事務年度(平成17年7月〜18年6月)の検査実施件数は22件で、このうち勧告を行った1件を含む9件について誤りを指摘した。
 「不適切な会計処理」が行われる事例はごく少数であるが、経営者にとっては、内部統制報告制度などを通して内部統制システムの改善を図り、こうした「不適切な会計処理」を未然に防止することが急務だ。



(以上参考;週刊「経営財務」第2824号)
(このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)





Copyright (C) 1999- M&A Intercross Co.,Ltd , All rights reserved.
omo