2007年8月06日
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利益額がゼロ前後で大きく株価が異なる類似業種批準方式に調整措置を
事業承継協議会 事業承継に係る相続税法上の検討課題等を取りまとめ
中小企業の事業承継に係る相続税法上の課題解決に向けた検討を行ってきた事業承継協議会の事業承継税制検討委員会は6月29日、中間報告を取りまとめ発表した。
事業承継協議会は、中小企業庁が中小企業の事業承継の円滑化に向けた検討を行うために中小企業団体等と設立したもので、平成19年2月に「事業承継税制検討委員会」が設けられ、これまで7回の検討が行われている。
当委員会では、非上場株式に係る事業承継税制の見直しを中心に、事業用資産の移転に係る税負担減免措置の創設に向けた検討や非上場株式の評価等の変更等について検討が行われた。今回公表された中間報告には、赤字会社の類似業種比準方式による株価評価方法について調整措置を検討する必要があるなど、具体的な検討課題等が織り込まれている。
なお、中小企業庁は今回の中間報告に基づき、平成20年度税制改正要望を作成する予定だ。
事業用資産の移転を行った場合の大幅減額制度の構築を
現在、中小企業は相続税負担の存在や予測によって株式を分散させたり、廃業を検討したり、承継時のキャッシュ流出で弱体化している。このことから、事業承継時の税負担を減免することにより、事業の継続や発展を通じた雇用の確保や経済活性化を図っていくことが極めて重要であることが、当委員会で確認された。
そのうえで、中小企業の事業用資産に係る相続税の減免措置として、既に特定事業用宅地で実現している80%以上の減免を前提に、事業用資産の大幅減額制度の構築を検討していくべきであるとの見解を明らかにした。
赤字会社の類似業種比準方式による株価評価方法の調整を
一方、非上場株式の評価については、取引相場のない株式を評価する際に用いる「類似業種比準方式」は、上場会社の株価を基に評価対象会社の一株当たりの配当金額や利益金額、簿価純資産価額と上場企業の業種別平均値とを比較した割合を用いて比準する仕組みとなっているが、利益がゼロ以下の場合、算式の分母を”3”とすることとされている。
つまり、利益が僅かなケースでは有利な評価方法となっているが、赤字会社の株価が高くなる仕組みとなっており、利益額がゼロ前後で大きく株価評価が異なることから、何らかの調整措置を検討する必要があるとの見解が明らかにされている。
また、類似業種株価や配当や利益、簿価純資産価額について、その具体的な算出方法(標本会社等)が明らかとなっておらず、妥当性について客観的に検証することができないことから、国税庁に対しその算出方法について公表を求めていくべきであるとしている。
同族関係者の6親等基準の見直しを
現行の財産評価基本通達では、「営業権」は基準年利率を用いて評価することとされている。従来は、営業権が計上されることは稀であったが、基準年利率が大幅に引き下げられたことにより、現在、多額の計上が問題とされている。そのため、基準年利率の設定方法や持続期間の設定等について見直しを行うべきであるとされた。
さらに非上場株式の評価においては、同族関係者の範囲と議決権の割合により株主を区分することとされている。その際、同族関係者の範囲は民法上、6親等基準を基礎としているが、実際には、経営には関与せず、配当のみをきたいする4親等以上の者が一定程度存在することから、非上場株式にかかる評価方法の見直しを行う際に、現行の6親等基準についても、実態を踏まえて見直しを行うべきとの見解を明らかにしている。
(以上参考;週刊「税務通信」第2976号)
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