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M&Aニュース

                                               2007年8月09日
 


19年度税制改正 マイナス資本金等の額の
取扱いを明確化

自己株取得時のみなし配当計算ではゼロで打ち止め

 自己株式取得のみなし配当の計算において、「マイナス資本金等の額」の取扱いの明確化が望まれていることをお伝えしたが、平成19年度の法人税法施行令の改正で、この点の明確化が行われ、「自己株式を取得する直前の資本金等の額」がゼロ以下である場合は、所有株式に対応する資本金等の額及び減少資本金等の額が「ゼロ」以下である場合は、所有株式に対応する資本金等の額及び減少資本金等の額は「ゼロ」とすることとされた。また、みなし配当の計算における「マイナス資本金等の額」については、自己株式の取得時以外に、組織再編や資本の払戻しにおいても疑義が生じるが、この点も併せて明確化のための改正が行われているので確認しておきたい。

取得直前の資本金等の額がマイナスの場合には交付を受けた金銭等の額全額が
みなし配当に会計上は現行範囲を維持


 自己株式を取得した際のみなし配当の計算は以下の通り規定されている(法法24@四、法令23@四)。


 みなし配当=交付を受けた − 所有株式に対応する
          金銭の額      資本金等の額

                     自己株式の取得等            自己株式の取得等の
                     の直前の資本金等            直前に有していた自己
 所有自己株式に           の額又は種類資本金等の額  ×  株式の取得等に係る
 対応する資本金等の額 =    自己株式の取得等の直前の      株式数
                     発行済株式数又はその種類
                     の株式の総数

 算式では、自己株式の取得等の直前の資本金等の額がマイナスの場合には、交付を受けた金額等の額から減ずる「所有自己株式に対応する資本金等の額」がマイナスの値となるため、計算上は、交付を受けた金銭等の額を上回るみなし配当が算出されてしまい、源泉税の取扱い等で疑義が生じていた。
 そこで、平成19年度税制改正では、上記の「所有自己株式に対応する資本金等の額」の規定に、「当該直前の資本金等の額又は連結個別資本金等の額が零以下である場合には、零」という一文が括弧書きで加えられた。したがって、今回の改正で、「所有自己株式に対応する資本金等の額」はゼロで打ち止めとなることが明確化されたため、自己株式の取得等の直前の資本金等の額がマイナスの場合、交付を受けた金銭等の額の全額が、株主に対するみなし配当となることが法令もはっきりした格好だ。

組織再編や資本の払戻し等におけるみなし配当の計算時の規定も整備

   また、みなし配当の計算時にマイナスの資本均等の額の取扱いで疑義が生じるのは、自己株式の取得等だけではないため、今回の改正では、その他のケースにおいても同様の明確化が図られている。併せて確認しておきたい。
具体的には

  • 非適格分割型分割における分割法人の株主のみなし配当(法法24@二、法令23@二)及び分割法人の減少資本金等の額(法令8@十六)
  • 適格分割型分割における分割法人の株主等における譲渡減価の計算(法令23@二、法令119の8@)及び分割法人の減少利益積立金額(法令9@九)
  • 資本の払戻し等における払戻し等を受けた株式のみなし配当(法法24@三、法令23@三)及び払戻法人の減少資本金等の額(法令8@十九


(以上参考;週刊「経営財務」第2829号)
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