2007年8月15日
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金融商品時価開示の指針案公表
ASBJ 金融商品会計基準の該当規定も改正
企業会計準備委員会は7月20日、企業会計基準公開草案第19号「金融商品に関する会計基準(案)」(企業会計基準第10号の改正案)及び企業会計基準適用指針公開草案第23号「金融商品の時価等の開示に関する適用指針(案)」を公表した。9月3日まで意見募集を行う。金融商品の状況やその時価等に係る事項の開示充実を図ることを目的に、会計基準を改正した上で、新たな適用指針を公表するものだ。金融商品の時価情報に加えて、@金融商品に対する取組方針、A金融商品の内容及びそのリスク、B金融商品に係るリスク管理体制、C金融商品の時価等に関する事項についての補足説明、の定性的情報についても開示を求めることを提案している。
適用は、平成21年4月1日以後開始事業年度から。早期適用も認めている。
時価情報に加え定性的情報も開示
時価開示の対象は、金融商品会計基準が適用されるすべての金融商品だ。従来デリバティブなどで行われてきたが、その範囲を拡大する。例えば、これまで市場価格のない有価証券は、例外的な取扱いとして取得減価又は償却減価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額とすることとしていた。しかし、当該開示の実効性を高めるために、時価が開示されないこととなる金融商品は、時価を把握することが極めて困難と認められるものに限定している。
注記事項は大きく分けると、「金融商品の状況に関する定性的情報」と「具体的な時価や算定方法などの情報の2つである。ただし、重要性が乏しいものについては、注記を省略できるものとし、連結財務諸表において注記している場合には、個別財務諸表において記載することを省略できる。
注記事項のうち、前者の定性的情報は、@金融商品に対する取組方針、A金融商品の内容及びそのリスク、B金融商品に係るリスク管理体制、C金融商品の時価等に関する事項についての補足説明、4項目について開示を求める。金融商品の内容の他、取引先の契約不履行に係るリスクなどの開示も求める。
なお、とくにコメントを求めているのは、リスク情報に関する点。バリュー・アット・リスクやストレステストなどにより把握された金融商品に係る定量的なリスク情報については、米国会計基準においてはその注記を任意としている一方、国際財務報告基準(IFRS)では、リスクが重要性に乏しい場合を除き、これを注記することとしている。公開草案では当該定量的な情報の開示を求めていないがIFRSと同様の開示を行うべきではないかという意見もあることから、コメントを求めている。
時価情報に関しては、具体的には以下の通り注記を行う。
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原則として、金融商品に関する貸借対照表の科目ごとに、貸借対照表計上額、貸借対照表日における時価及びその差額並びに当該時価の算定方法を注記する。 |
A |
有価証券については、@に加えて、売買目的有価証券、満期保有目的の債券等の保有目的ごとに区分に応じ、貸借対照表計上額、時価、取得原価、売却額及び売却損益等を注記する。 |
B |
デリバティブ取引については、@に加えて、取引の対象物の種類(通貨、金利、株式債券及び商品等)ごとに、ヘッジ会計が適用されていないもの及びヘッジ会計が適用されているものに区分し、契約額、時価及び評価損益等を注記する。 |
C |
金銭債権及び満期がある有価証券(ただし、売買目的有価証券を除く。)については、償還予定額の合計を一定の期間に区分した金額を注記する。 |
D |
社債、長期借入金、リース債務及びその他の有利子負債については、返済予定額の合計額を一定の期間に区分した金額を注記する。 |
E |
金銭債務については、貸借対照表日における時価の開示(@参照)に加えて、約定金利に金利水準の変動のみを反映した利子率で割り引いた金銭債務の金額のいずれかを開示することができる。ただし、この場合には、当該金額の算定方法及び時価との差額についての適切な補足説明を行う。 |
(以上参考;週刊「経営財務」第2830号)
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