2007年9月27日
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国税庁 信託税制、三角合併の改正を受け
関係通達を大幅に新設
株式等譲渡所得等関係通達などを改正
国税庁はこのほど、租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱い及び所得税基本通達、租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いを一部改正した。これは平成19年度税制改正で信託・三角合併等に係る改正が行われたことなどを受け関係通達を新設・改正したもの。主な項目としては、受益者等課税信託の信託財産に属する株式等の譲渡等、合併等による上場株式等の取得の基因となった株式等が上場株式等でない場合などがある。
なお、改正信託法は、今年9月30日に施行されることが決定されており、このことからも信託税制に係る関係通達の内容には注目する必要がある。
信託税制の改正を受け関係通達を大幅に改正・新設
信託税制の改正に伴う対応では、<受益者等課税信託の信託財産に属する株式等の譲渡等>(措通37の10−23の2)が新設されている。
これは、平成19年度の信託税制の改正により、信託財産に係る収益や費用等は原則として、受益者に帰属するとなったことを受け(所法13)、新設されたもの。具体的には、受益者等課税信託の信託財産が株式等である場合、その株式等が譲渡されたことにより生じた所得は、原則として株式等譲渡所得等となることなどが明確化されている。
その他の新設項目として、<受益者等課税信託の信託財産に属する株式等と同一銘柄の株式等を有している場合の取得価額の計算>(措通37の10−9の2)があり、ここでは、受益者等課税信託の信託財産に属する株式と、受益者が保有する株式とが同一銘柄である場合、どちらも受益者に帰属するものであることから、その有価証券の評価方法(所法105)は同じ方法であることと整理されている(総平均法や移動平均法)。
三角合併 上場株式等の取得費特例の適用範囲から外国親法人株式等を除外
会社法における合併等対価の柔軟化(いわゆる三角合併)への対応関係では、<合併等による上場株式等の取得の基因となった株式等が上場株式でない場合>(措通37の11の2−1)が整理された。
この通達は、一定の要件の下、平成13年9月30日以前に取得した上場株式等を譲渡した場合、平成13年10月1日時点の株価の80%相当額と実際の取得価額とを比べ、どちらか有利な方を譲渡所得額計算のベースとなる収入金額から控除できるとする「平成13年9月30日以前に取得した上場株式等の取得費の時憂い」(措法37の11の2)の適用に当たっては、その上場株式等が、平成13年10月1日時点で上場株式等に該当していなかったならば適用されないことに留意する必要があるとするもの。
今回の通達改正では、ここでいう上場株式等の範囲から、三角合併の際に被合併法人の株主に交付される合併法人の100%親会社株式等を除くことなどを明確化した。
相続税取得費加算特例 所得税の修正申告までの期間を延滞税計算期間から除外
相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(措法39)の改正への対応では、<延滞税の計算の基礎となる期間に算入しないこととされる所得税の額>(措通39−22)が新設された。
相続財産に係る譲渡所得の課税の特例とは、一定の要件の下、相続財産を譲渡した場合、譲渡所得計算において収入金額から控除される取得費に、その相続財産に係る相続税額を加算するというもの。ただし、相続税の納税のために相続財産を譲渡し、この特例の適用を受けたとしても、その後に相続財産の分割協議が再度行われ相続財産が増減したならば(つまり取得費に加算する相続税額が変動したならば)、結果として、相続財産の譲渡に係る所得税額も変動することとなる。
このようなケースでは所得税の修正申告を行うこととなるが、その際には従前、所得税の法定申告期限から修正申告を行うまでの期間を延滞税の計算期間に含めないとの規定が設けられていなかった。この点について、平成19年度改正により新たな規定が設けられたことを受け、本通達では、その詳細を明らかにしている。
(以上参考;週刊「経営財務」第2836号)
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