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M&Aニュース

                                               2007年10月29日
 


相続時精算課税と小規模宅地特例の適用関係に注意



自社株贈与特例適用の場合 相続人すべて小規模宅地特例の
適用はなし


 措置法通達の改正について解説した資産課税課情報(あらまし)では、相続時精算課税制度において特定同族株式贈与の特例を受けている場合には小規模宅地特例の適用はないとした取扱いについて、死亡した贈与者から相続等により財産を取得したいずれかの者は、いずれかの者も小規模宅地等の特例の適用を受けることはできないとされていることを留意的に明らかにした、としている。
 自社株の精算課税贈与を受けた者でなければ、相続時に小規模宅地特例の適用があるのではないかといった見方もされていたところだが、通達とその説明により、すべての相続人について小規模宅地等の特例は適用されないことが明示された。適用にあたっては十分な検討が必要であると指摘されているので注意したい。


自社株精算課税贈与の場合の小規模宅地特例


平成19年度税制改正で相続時精算課税制度に特定同族株式等に係る特例(措置法70条の3の3/70条の3の4)が設けられたことに伴い、小規模宅地特例についても一部改正が行われ、被相続人から相続または遺贈、相続時精算課税の適用を受ける財産の贈与により財産を取得した者は、被相続人から贈与で取得した特定同族株式について相続時精算課税の特例の適用を受け、または受けている場合には小規模宅地特例は適用しないとする一項が追加された(69条4D)。
 これを受け手新設された措置法通達においても、いずれかの者が被相続人である特定贈与者からの贈与で取得した特定同族株式等につちえ精算課税特例を受けている場合には小規模宅地特例の適用はないことに留意する、と規定されたところだ(措置法通達69の4−28)


自社株精算課税贈与か小規模宅地特例かの選択に注意


 そして、上記通達については、このたびの情報で、特定同族株式等に係る相続時精算課税特例の適用者がある場合、「相続税の申告において、当該死亡した贈与者から相続若しくは遺贈又は相続時精算課税の適用を受ける財産に係る贈与により財産を取得したいずれかの者は、いずれの者も小規模宅地等の特例の適用を受けることはできないとされている。」と説明されている。
 これは、この特例の立法趣旨が、あくまでも円滑な事業承継のためという政策目的で、「贈与」時点での税制特例を措置するとしたものであるからといわれている。相続時精算課税の贈与特例を利用して自社株を後継者に贈与、一定期間後に事業承継が実現すれば税制措置の目的も完了することから、そのうえで、相続時に同じ事業承継税制である小規模宅地特例をも適用することは、課税の公平上からも認められないからということのようだ。
 推定相続人全員の同意が必要とされているのも、相続時に小規模宅地特例等がいっさい使えないことを承知していることが前提だからだ。相続時に異議を唱えたとしても認められない。適用にあたっては十分な検討と注意が必要といえる。


(以上参考;週刊「税務通信」第2988号)
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