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M&Aニュース

                                               2007年11月15日
 


組織再編と新減価償却制度の適用関係
5年均等償却の開始時期・適格分社型分割法人等での
償却方法等を確認


 平成19年度の税制改正においては、適格組織再編によって、移転する減価償却資産についても、新しい減価償却制度の適用に関する法令通達の整備が行われているので確認しておきたい。
 具体的には、まず、適格合併等により、被合併法人等から既に償却累積額が償却可能限度額に達している減価償却資産の移転を受けた場合には、合併法人等においては、適格合併等の日の属する事業年度から5年均等償却を開始できることとされている。
 また、適格分社型分割等により移転を受けた減価償却資産が、分割法人等において、平成19年3月31日以前に取得されたものである場合には、適格分社型分割等が平成19年4月1日以後に行なわれたとしても、分割承継法人等において新たな償却方法は採用できないことになる。


適格合併等により償却可能限度額に達した資産の移転を受けた場合の
5年均等償却の開始時期



 法令上、平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産に係る5年均等償却の開始時期については、「償却可能限度額に達した事業年度の翌事業年度から」とされている(法令61A)。
 この点、例えば、3月決算法人同士が平成19年10月1日に適格合併を行い、減価償却資産を移転した場合、被合併法人において、その移転資産が償却可能限度額に達したのが、19年7月であるとしよう。
 この場合、適格合併が行なわれなかったとすれば、被合併法人において5年均等償却が開始されるのは、償却可能限度額に達した事業年度の翌事業年度である「21年3月期」ということになるが、適格合併を行なった場合には、合併法人において、移転資産について5年均等償却が開始されるのは、適格合併の日の属する「20年3月期」となる。
 これは、法人税法第61条第2項の規定(5年均等償却)の適用上、合併法人等が5年均等償却を行う減価償却資産(平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産で前事業年度までに償却可能限度額に達している減価償却資産)には、適格合併等により、その事業年度に移転を受けた減価償却資産のうち、被合併法人等において、既に償却可能限度額に達しているものが含まれるためだ(法基通7−4−15本文)。
 ただし、合併法人等の適格合併等の日の属する事業年度における移転を受けた資産に係る償却限度額の計算は、事業供用を開始した日からその事業年度末までの月数按分により行うこととなる(法基通7−4−5(注))。
 先の例でいえば、合併法人が、20年3月期において、移転を受けた資産について、均等償却できるのは、適格合併の日である19年10月1日から20年3月31日までの6ヶ月間分(60分の6)ということになる(適格合併の日から事業供用した場合)。
 しかし、これはあくまでも合併法人等の側での取り扱いであり、適格合併等であれば単純に償却可能限度の額に達した事業年度において、5年均等償却開始を認めるという取り扱いではないため、被合併法人等の最後事業年度においては、移転資産について、償却可能限度額を超えて償却することはできない(例で言えば、被合併法人の19年8月から適格合併の日の前日までの期間に対応する償却費)。


適格分社型分割等ではみなし規定によって原始取得日を引継ぎ


 また、19年度の法人税法施行令の改正では、適格分社型分割等により、分割承継法人等が分割法人等から移転を受けた減価償却資産については、移転資産に係る分割法人等の原始取得日において、分割承継法人によって取得をされたものとみなす規定が新設されている(法令48の3、「法人の減価償却制度に関するQ&A」Q23)。
 法令によってこのようにみなすことで、分社型分割等であっても、適格分社型分割等であれば、被合併法人の権利義務が包括的に合併法人に承継される「合併」と同様に、移転を受けた資産について原始取得日が引き継がれることになり、その結果、適格分社型分割等においては、平成19年3月31日以前に取得をされた資産について、平成19年4月1日に移転を受けた場合であっても、新しい償却方法を採用することができず、旧定額法、旧定率法、旧生産高比例法によって償却することになるので、併せて留意したい。
 なお、組織再編に係る耐用年数の取扱いについては、既に、平成15年度の税制改正によって、適格合併等によって移転を受けた資産についえtも、中古資産の見積耐用年数を適用できることとされているが、この点については、今回の改正においても変わりないので併せて確認しておきたい(耐用年数省令1,3)。



(以上参考;週刊「税務通信」第2991号)
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