2007年11月19日
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移転価格税制、タックスヘイブン対策税制、移転価格税制
ともに多い適用事案
調査課所管法人の調査実績 依然として比重の高い
国際課税事案
国税庁は平成18事業年度(平成18年7月〜19年6月)の調査課所管法人(原則として資本金1億円以上の大規模法人)の課税実績を取りまとめて公表した。
それによると、調査課所管法人数は33,940件となり、昨年よりも4,497件減少した。これは、調査課所管法人については、効率化を図るための見直しが行われ、当初、見積もられたおよそ8,000社のうち、実際に6,000社あまりを税務署所管に移管したことが、大きな要因となっている。
また、大規模法人の海外取引に係る申告漏れ件数は、前年度より51件減少して834件となり、申告漏れの所得金額も3,992億円で前年度に比べ1,094億円減少した。
ただ、調査課所管法人の海外取引にかかる申告漏れ所得金額3,992億円から、タックスヘイブン対策税制による申告漏れ所得金額139億円、また、移転価格税制による申告漏れ所得金額1,051億点を除いた金額は2,802億円で、これは昨年の同金額2,079億円と比べると723億円の増加となっていることから、依然として海外取引における調査比重の高さが表れた結果となっている。
特に、移転価格税制については、申告漏れ件数が前年度より18件減少し101件、申告漏れ所得金額も1,785億円減少し1,051億円となっているものの、平成9年の統計以降、3番目に高い金額を記録しており、依然として移転価格税制の適用される事案が多いことがわかる。
調査課所管法人数
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平成17年6月30日 |
平成18年6月30日 |
平成19年6月30日 |
法人数 |
37,916 |
38,437 |
33,940 |
調査課所管法人の申告税額
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平成16事務年度 |
平成17事務年度 |
平成18事務年度 |
申告税額 |
74,287億円 |
86,345億円 |
99,475億円 |
海外取引に係る課税状況
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平成16事務年度 |
平成17事務年度 |
平成18事務年度 |
申告漏れ件数 |
679件 |
885件 |
834件 |
申告漏れ所得金額 |
4,080億円 |
5,086億円 |
3,992億円 |
およそ5,000社がタックスヘイブンに拠点、
2/3以上はパナマ、香港、シンガポール、ケイマン
タクスヘイブン対策税制関連では、日本にある親会社の海外子会社で、特定外国子会社等に該当するものがおよそ5,000社、また、このうちの2/3以上のおよそ3,400社は、パナマ、香港、シンガポール、ケイマンに拠点を置いている。これらの国や地域に進出している企業は、パナマは船舶関係、ケイマンは主に金融関連企業が多いようで、香港やシンガポールは日本に近いという立地条件によるところが大きいようだ。ただ、シンガポールについては、もともとアジア地域の拠点として多くの企業が進出していたものの、シンガポールの税制改正により税率が25%を下回ったことでいわゆるタックスヘイブン対策税制の対象地域となったことが、特定外国子会社等に該当する大きな要因となっている。よって企業としての実体が伴っている企業が多いことから、実際に合算課税を適用されるようなケースは少ないとみられる。
タックスヘイブン対策税制に係る課税状況
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平成16事務年度 |
平成17事務年度 |
平成18事務年度 |
申告漏れ件数 |
76件 |
86件 |
81件 |
申告漏れ所得金額 |
487億円 |
171億円 |
139億円 |
移転価格調査事案も依然として高水準
平成18年事務年度は、移転価格税制にかかる申告漏れ件数、申告漏れ所得金額はともに減少しているものの、申告漏れ所得金額は平成9年度以降の統計で過去3番目に高いものとなっている。よって、一昨年や前年と比して金額は減少しているものの、依然として海外取引にかかり移転価格税制が適用される事案が多いと言える。
移転価格税制に係る課税状況
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平成16事務年度 |
平成17事務年度 |
平成18事務年度 |
申告漏れ件数 |
82件 |
119件 |
101件 |
申告漏れ所得金額 |
2,168億円 |
2,836億円 |
1,051億円 |
(以上参考;週刊「税務通信」第2991号)
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