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M&Aニュース

                                               2007年12月25日
 


自民党税調 平成20年度税制改正大綱を決定

事業承継税制は21年度改正で導入し20年10月遡及適用へ


 自民党は12月13日、来年度以降の税制改正の内容を取りまとめ「平成20年度税制改正大綱」として公表した。
 この中で、事業承継税制については、21年の税制改正で導入されることとなるものの、事業承継にかかる新法の施行日にその適用が遡及されることとなり、現段階で新法の施行は20年10月が有力視されている。
 証券税制については、昨年の大綱に明記された通り、上場株式等の軽減税率は廃止となり、税率は20%となるが、限度額なく、配当との損益通算が可能となる。


中小企業事業承継税制の抜本拡充


 事業承継税制については、中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律(仮称)の制定を踏まえ、平成21年度税制改正において、事業の後継者を対象とした「取引相場のない株式等にかかる相続税の納税猶予制度」を創設し、中小企業の事業の継続の円滑化に関する法律(仮称)施行日以後の相続等に遡って適用する。
 また、この新しい事業承継税制の制度化にあわせて、相続税の課税方式を遺産取得課税方式に改めることを検討する。

・取引相場のない株式等にかかる相続税の納税猶予制度

軽減割合 課税価格の80%に対応する相続税額を納税猶予する
適用要件 中小企業を対象とし、軽減対象となる株式は発行済議決権株式総数の2/3以下とする
適用対象となる相続とは、被相続人(代表者であった者)が、同族関係者と会わせて過半数保有かつ親族内で筆頭株主であった場合で、相続人(代表者)が相続により同族関係者と合わせて過半数保有かつ同族関係者の中で筆頭株主となる場合とする
相続税の法定申告期限から5年の間に事業継続要件を満たさなくなった場合には、猶予税額の全額を納付
事業継続期間後に株式を譲渡等した場合には、譲渡等された株式等が納税猶予対象株式に占める割合に応じ、猶予税額を納付



エンジェル税制


 創業後3年以内のベンチャー企業への資金提供を促進するため、投資金額について1,000万円を上限とする寄附金控除の適用を認める。


事前照会に対する文書回答手続


 平成20年4月1日以後に提出された照会文書から、

将来行う予定の取引で個別具体的な資料の提示が可能なものを対象に追加
紹介者名などの紹介者を特定する情報は原則非公開
相当の理由がある場合に、回答の公表を延期できる期間を、現行の120日以内から180日以内とする


行政不服審査法の見直しに伴う規定の整備


 行政不服審査法の改正に伴い

現行の処分庁に対する「異議申し立て」は「再調査請求」(仮称)に名称変更
不服申し立て期間を2ヶ月から3ヶ月に延長
異議申し立て(再調査請求)についての決定を経ずに審査請求をすることができる期間を3ヶ月から2ヶ月に短縮
審査請求人の処分庁に対する質問、争点及び証拠の整理等の手続規定を整備


土地の売買等にかかる登録免許税の特例措置


 土地の売買等にかかる登録免許税の特例措置について、適用期限を平成23年3月31日まで延長し、税率については、下記のように段階的に引き上げる。

項目 現行 改正案
〜H.20.3.31 H.20.4.1〜 H.21.4.1〜 H.22.4.1〜
土地の売買による所有件の移転登記
(本則   20    )
     1,000
   10  
  1,000
   10  
  1,000  
   13  
  1,000
   15  
  1,000
土地の所有権の信託の登記
(   4   )
  1,000 
    2  
  1,000
    2  
  1,000
   2.5  
  1,000
    3  
  1,000


Jリート及びSPCにかかる登録免許税の特例措置


 適用期限を平成22年3月31日まで延長し、不動産の所有権の移転登記については、現行の税率8/1.000(本則20/1.000)を1年間据え置いた上で、平成21年4月1日から、9/1,000に引上げ、不動産の抵当権等の移転登記については現行の税率1.5/1,000(本則2/1,000)を据え置くこととする。


証券税制関連


 株式譲渡益について、10%の軽減税率について、平成21年1月から20%とするが、平成21年から平成22年末までの2年間、譲渡益500万円以下の部分は10%の税率を適用する。
 また、配当については、10%の軽減税率を平成21年1月から20%とするが、年間100万円以下の配当について平成21年から平成22年末までの2年間は10%の税率を継続する。
 なお、損益通算については、限度額を設けないで、上場株式等の譲渡損失と配当との間の損益通算を認めることとする。


非居住者又は外国法人の利子所得に対する見直し


 国内源泉所得の範囲に、外国法人が発行する債券の利子のうち、国内において事業に帰せられるものを加える。


SPC(特定目的会社)の外国税額控除


 SPC等が納付した外国税額について、現行の外国税額控除に代えて、SPC等の利益の配当に対する所得税を限度として所得税から控除する。


タックスヘイブン対策税制


 外国子会社合算税制の適用を受ける内国法人等の判定に、内国法人の役員が支配する法人を加えるとともに、適用除外要件の判定の範囲に、内国法人等、特定外国子会社等その他の関連者とされる法人の役員等が支配する法人を加える。


創業5年以内の中小企業に対する欠損金の繰戻還付措置の延長


 創業5年以内の中小企業について、1年間の繰戻還付措置が認められている制度の適用期限を2年間延長する。


特定同族会社の特別税率の不適用にかかる経過措置


 経営革新計画の承認を受けた資本金1億円超の中小企業者(特定同族会社)に対する留保金課税停止措置について廃止し、現在承認経営革新計画を実施している中小企業者に対しては、平成20年度以降も引き続き適用を認める経過措置を設ける。



(以上参考;週刊「税務通信」第2997号)
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