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                                               2007年12月26日
 


子会社上場、再考すべし!


 昨今、子会社上場に関する議論が盛んになされている。この背景としては、海外のファンドなどから、親会社が子会社の少数株主の利益を軽視しているとの指摘があり、また、IPOから上場廃止までの期間が極めて短い事例が増加している現状もある。
 例えば、吉本興業の子会社であったファンタンゴやCSKの子会社のCSKコミユニケーションズは、IPOからほぼ1年で親会社による上場廃止の決定がなされている。これでは、株式市場という公器を私物化していると言われても仕方がないだろう。
 子会社上場は、米国などではほとんど例がなく、批判も多いが、メリットがあるのも事実である。
 まず、上場する子会社にとっては、資金調達手段の多様化となるだけでなく、親会社の意向にとらわれない機動的な資金調達が可能となる。また、上場による信用力や知名度の向上により、企業の成長を大きく加速する手段となりうるkとは言うまでもない。
 さらに、投資家のメリットとしては、投資物件の多様化により、成長性のある優良子会社に直接投資できることが挙げられる。もちろん連結対象であれば、上場親会社へ投資することで間接投資は可能であるが、成長性の高い事業部門にのみ集中して投資できるメリットは少なくない。
 一方、デメリットとしては、親会社が議決権の3分の2以上を有していれば、資本の論理で100%子会社化及び上場廃止の決定が行われるため、少数株主がこうした行為に対する不利益に対して抗することが困難なケースが多いというのがその最たるものであろう。
 もちろん、株主総会の特別決議に際して、経営陣と議論を行う機会は与えられるものの、結局は、株式交換比率などで十分に納得しうる説明を受けられないまま、100%子会社化が実施される例が散見される。
 こうしたデメリットに対して、取引所も問題意識を持っている。例えば、東証は、上場子会社に対してコーポレート・ガバナンスに関する報告書や親会社等との関係についての開示を義務付け、親会社からの独立性についての説明を求めている。
 しかしながら、上場子会社による開示資料を見ると、型通りの文言が多く、親会社からの独立性がどの程度確保されているのかを適格に判断できる内容であるとはとうてい言い難く、したがって、前述のデメリットを十分補完しているとも言えないのが現実でああろう。
 東証は、『上場制度総合整備プログラム』の中で、少数株主の権利保護の観点から、上場審査や上場管理面での更なる検討を行うほか、子会社上場の是非についても議論を行うとしている。
 メリットはあるものの、デメリットが無視できないほどの重みを持つ現状を鑑みれば、子会社上場制度を根幹から見直す時期が到来しているのではないか。東証関係者による大局的な見地からの議論を大いに期待したい。



(以上参考;週刊「経営財務」第2849号)
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