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                                               2008年1月8日
 


国税庁 平成18年分の相続税申告事績、18事務年度の調査事績を公表

土地の割合が初の50%割れ、有価証券の増加目立つ


 国税庁はこのほど、平成18年中(平成18年1月〜同12月)に相続の申告があった相続税申告事績を公表した。高齢社会を踏まえ、被相続人(死亡者数)は過去最高の108.4万人となったものの、課税割合は横ばいの4.16%と平成6年以降では3年連続の最低基準を記録。税率の高い階層の相続税額が増えたこと等から、非相続人1人当たりの申告税額は2,701万円と前年分を5.9%上回った。
 一方、申告額が過少とみなされるもの等を対象にした平成18年事務年度(平成18年7月〜平成19年6月)の相続税の調査事績によると、調査件数は14,061件と微減だったが、全体の85.8%に当たる12,061件で申告漏れが判明。海外資産に関連する事案調査では292件の申告漏れがあり、特に海外資産は62件といずれも前事務年度から拡大している。


課税割合は3年連続最低水準


  平成18年分の相続税申告事績は、被相続人から相続、遺贈または相続時精算課税に係る贈与を受けた財産取得者が平成19年10月末までに提出済みの申告書に基づきまとめた。急速な高齢社会を背景に、被相続人数は108.4万人(前年比0.1%増)と昭和42年以降の過去最多を更新。相続税の課税対象となった課税割合については前年と同じ4.16%で基礎控除額が引き上げられた平成6年以降では最低水準が続いている。
 全体の相続財産額は11兆3,928億円(平成17年は11兆2,873億円)。このうち土地については、平成18年の標準宅地の平均額(指数、幣制6年=100)が45と前年の44から若干上昇したが、5兆4,474億円と平成6年の半分に届かなかった。全体に占める土地の割合は47.8%と最多とはいえ、平成6年以降で初めて50%を下回った。このほかは、現金・預貯金等が2兆3,475億円(20.6%)、有価証券が1兆7,962億円(15.8%)、家屋が5,749億円(5.0%)、生命保険金や貸付金等のその他が1兆2,196億円で、このうち特定同族会社の株式及び出資分は4,817億円と前年実績から675億円増えた。構成比の順位に変動はないが、地価低迷を背景に土地が平成4年分から減少する一方、現金・預貯金や有価証券が増加する構図が際だってきた。


申告漏れの15.1%が重加算税


 一方、平成18事務年度の相続税の調査件数は14,061件(前事務年度比1.1%減)だった。このうち12,061件で申告漏れが見つかり、申告漏れ割合は85.8%(同0.6ポイント増)に高まった。申告漏れ課税価格は4,076億円(同5.0%増)で、1件あたりでは3,380万円(同5.5%増)の申告漏れとなった。申告漏れのあった件数のうち重加算税が賦課されたのは1,820件で全体の15.1%に拡大した。
 また、被相続人が海外に移住していたり、外資系金融機関と取引したりする等の海外資産関連事案の調査によると、申告漏れ件数は292件(同23.2%増)と増え、申告漏れ課税価格も148億円(同9.4%増)に膨らんだ。海外資産関連事案1件当たりの申告漏れ課税価格は5,075万円(同11.2%減)と前年を下回った。このうち海外資産に限ると、申告漏れ件数は62件と前事務年度から4件増えたが、申告漏れ課税価格については、前事務年度に突出した申告漏れが一部であった反動減から26億円にほぼ半減。海外資産1件当たりの申告漏れ課税価格は4,244万円(同54.0%減)と大幅に減少している。
 全体の調査に基づく申告漏れ相続財産額の構成比については、現金・預貯金等が35.6%と最多で、有価証券21.0%、土地16.7%、家屋1.8%、その他24.9%と続いた。主な申告漏れとしては、被相続人の財産と認識しながらも、多額の現金や公社債を自宅等に隠匿したり、海外の財産であることを申告から除外したりする等の事例が相次いだ。

<調査事例>

@ スイスのプライベートバンクで運用していた債券及び株式を申告から除外
 会社役員であった被相続人Aに係る調査で、Aが生前、スイスのプライベートバンクと取引していたことを把握。さらに多額の債券等を運用していたこと及び同行口座から国内の公表外銀行に国外送金等調書の提出対象とならない200万円以下の送金を幾度も行い、蓄財していた事実が判明した。相続人は、一連の取引が海外で行われていたこと等から、税務当局には容易に発見されないと考え、申告から除外していた(申告漏れ課税価格6億3,200万円、追徴税額2億1,800万円)。

A 遺産分割協議書を2通作成し、海外不動産を申告から除外
 飲食業を営んでいた被相続人Bに係る調査で、Bが生前、海外に不動産を保有していたことを把握した。さらに相続人は相続税の申告用として当該不動産を除外した遺産分割協議書を作成し、海外不動産については別途、遺産分割協議書を作成していた事実が判明した(申告漏れ課税価格1億4,200万円、追徴税額4,400万円)。

B 多額の現物割引債券を公表外銀行の貸金庫に隠匿
 医師だった被相続人Cに係る調査で、Cが生前、債券発行銀行と取引していたことを把握した。さらに相続開始時点で償還期日を経過している多額の未償還債券を保有していたことが判明。公表外銀行の貸金庫に隠匿し、申告から除外していた(申告漏れ課税価格4億6,500万円、追徴税額1億8,700万円)。




(以上参考;週刊「税務通信」第2998号)
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