運営人:潟Gムアンドエーインタークロス
後援:税務研究会

M&Aニュース

                                               2008年1月15日
 


持分プーリング法廃止など企業結合会計を見直し
ASBJ 「企業結合会計の見直しに関する論点の整理」を公表


 企業会計基準委員会(ASBJ)は昨年12月27日、「企業結合会計の見直しに関する論点の整理」を公表した。EUの同等性評価に関連して追加的開示(補正措置)を提案された企業結合に係る項目について、持分プーリング法の廃止など現行日本基準(企業結合会計基準)の見直しに向けた論点を示している。2月4日までコメントを募集し、平成20年6月までに公開草案を、同年内に最終基準を公表したい考えだ。
《論点》
@持分プーリング法の取扱い(持分プーリング法の廃止、取得企業の決定が困難な場合の取扱い、逆取得または共同支配企業の形成に係る会計処理)、A株式を対価とする場合の対価の測定日、B負ののれんの会計処理、C少数株主持分の測定、D段階取得における会計処理、E外貨建のれんの会計処理。


持分プーリング法の廃止に伴い取得企業の判定基準も検討へ


 企業結合の会計処理として、現行日本基準では、企業結合の経済的実態に応じて、持分プーリング法とパーチェス法を適用することとしている。これを国際財務報告基準および米国基準と同様にパーチェス法のみ認める方向で検討を進める。
 また、持分プーリング法を廃止した場合の派生論点についても検討を行う。持分の結合に該当するような企業結合が起きたときであってもいずれかの結合当時企業を取得企業として決定しなければならないため、実務上いずれの企業が取得企業かを毛手地することが困難なケースへの対応が必要となる。また、逆取得または共同支配企業の形成に係る会計処理において、持分プーリング法に準じた会計処理を行うこととしていることから、この点についても検討の対象となる。


「株式を対価とする場合の対価の測定日」は方向性を示さず


 論点整理に盛り込まれた各論点のうち、唯一方向性が示されなかったのが「、「株式を対価とすいる場合の対価の測定日」(論点2)である。これは、企業または事業を取得するにあたり、市場価格のある取得企業等の株式を取得の対価として交付する場合、いつの時点での株価により取得原価を算定すべきかという論点である。日本基準が「合意公表日前の合理的な期間における株価」(株式交付日の株価がそれと大きくことならない場合には、株式交付日の株価によることも可)」としているのに対し、国際財務報告基準および米国基準では、「取得日の時価」としている。
 これまでの審議では、日本基準の考え方を支持する意見も出されており、また、取扱いを変更した場合には実務に与える影響も大きいことから、論点整理では改正の方向性を示さず、今後慎重な検討を行うこととしている。


「負ののれん」は取得日の利益として処理


 国際的な会計基準と同様にパーチェス法を適用した場合であっても、のれんの取扱いが異なる。日本基準では、「負ののれん」の計上を認め、20年以内の期間で規則的に償却することとしているためだ。負ののれんの会計処理を見直すべきか否かについては、賛否両論あるようだが、国際的な会計基準と同様に、負ののれんを取得日の利益として処理するよう見直す方向である。


全面時価評価法に一本化


 少数株主持分の測定で問題となるのは、子会社の資産および負債の評価方法として、部分時価評価法によった場合には、少数株主持分は当該資産および負債の時価評価差差額を反映しないことになる点だ。連結決算上、全面時価評価法と部分時価評価法の選択適用を認めている取扱いを見直すことが検討課題となる。
 論点整理では、「子会社の資産及び負債の評価方法として全面時価評価法を採用する企業が現在では大多数を占めており、部分時価評価法を採用している企業はわずかであること、また、子会社の株式を現金以外の対価(例えば、自社の株式)で取得することを想定した企業結合会計基準では全面時価評価法のみが認められていることから、部分的評価法を選択する余地を無くすことが妥当である」としている。

論点 現行日本基準 国際的な会計基準 改正の方向性
@持分プーリング法の取扱い 企業結合の経済的実態に応じ、持分プーリング法と
パーチェス法を適用する。
持分プーリング法の適用は認めらていない。 持分プーリング法を廃止する。持分プーリング法の廃止に伴い「取得企業の決定が困難な場合の取扱い」および「逆取得又は共同支配企業の形成に係る会計処理」を検討する。
A株式を対価とする場合の対価の測定日 企業結合の主要条件が合意されて公表された日前の合理的な期間における株価を基礎にして算定する。 取得日における時価により算定する。 方向性示さず(実務に与える影響も考慮し検討)
B負ののれんの会計処理 原則として、20年以内の取得の実態に基づいた適切な期間で規則的に償却する。 取得日の利益として処理する。 取得日の利益として処理する方法に見直す。
C少数株主持分の測定 子会社の資産及び負債の評価方法として、全面時価評価法と部分時価評価法の2つが認められている。 部分時価評価法に相当する取扱いは認められていない(国際財務報告基準では容認処理あり)。 部分時価評価法の選択適用を廃止へ。
D段階取得における会計処理 ある企業の支配を段階的に取得した場合の当該企業の取得原価は、過去から取得している株式の累積原価による。 以前から所有していた被取得企業の持分を支配獲得日の時価によって再評価し、再評価の結果生じた差額については、損益として認識する。 支配獲得時における時価をもって測定し、過去に所有していた株式の帳簿価額との差額は損益として認識する。
E外貨建のれんの換算方法 発生時の為替相場で換算する。 決算日の為替相場で換算する。 決算日の為替相場により換算する方法に見直す。



(以上参考;週刊「経営財務」第2852号)
(このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)





Copyright (C) 1999- M&A Intercross Co.,Ltd , All rights reserved.
omo