運営人:潟Gムアンドエーインタークロス
後援:税務研究会

M&Aニュース

                                               2008年1月28日
 


PBO計算に使用する割引率は補正せず
ASBJ 退職給付会計基準を改正へ

 企業会計基準委員会(ASBJ)は1月16日、第33回退職給付専門委員会を開催した。今回の専門委員会から、会計基準のコンバージェンスにたいそうした短期プロジェクトとして、退職給付債務の計算の際に使用する「割引率」の取扱いを見直すことをテーマに審議を開始した。割引率の取扱いに関しては、EUの同等性評価に関連して追加的開示(補正措置)を提案された項目であり、日本基準において、「ある一定期間の市場利回りの変動を考慮できる」としている点が差異となっている。この想定が置かれている退職給付会計基準の注解注6を見直す方向で検討が進められる見込みだ。2008年(平成20年)3月までに改正案を公表し、同年9月頃までに最終基準を公表したい考えだ。


日本基準は概ね5年以内の利回りによる補正が可能


 退職給付債務は長期にわたる債務であるため、測定の際には、現在価値に割り引いた金額が用いられる。その際に使用する率は、日本基準と国際的な会計基準(国際財務報告基準および米国基準)では、「貸借対照表日現在の優良社債の市場利回りを参考にして決定する」という点では共通しているものの、その率について、日本基準が概ね5年以内の利回りによる補正ができることとしている点で差異が生じている。割引率を多年にわたる過去の実績に基づく長期平均利率とすべき(割引率の平滑化)との考えにも基づくものであり、会計基準の導入後、実務でも定着した取扱いである。しかし、国際的な会計基準では、その手法は取り入れていない。
 そこでASBJは今後国際的な会計基準に合わせる形で見直しを行う方針だ。当該取扱いが規定されている抵触給付金会計基準の注解注6にある「割引率は、一定期間の債券の利回りの変動を考慮して決定することがえきる」旨の記載を削除する方向で検討を行う。


コリドー・アプローチの導入を求める意見も


 専門委員会における審議では、割引率の取扱いのみを変更するのではなく、関連する事項についても検討を行うべきとの意見も出された。国際財務報告基準では、コリドー・アプローチ(数理計算上の差異が一定範囲内であれば費用処理を行わないというもの)を採用していることで、一方、日本基準では割引率の平滑化を行うことで、それぞれPLへの影響を小さくしているといわれる。そのため、日本基準において割引率の平滑化をなくすと国際財務報告基準と比較して、日本基準が厳しくなるというものだ。そこで、日本基準においてもコリドー・アプローチを採用することを求める意見が出された。
 これに対し、現行規定による重要基準(基礎率等の計算基礎に重要な変動が生じない場合には計算基礎を変更しない等、計算基礎の決定にあたって合理的な範囲で重要性による判断を認める方法)を残すことで、バランスがとれるとする意見も出された。次回以降。引き続き検討が行われる。



(以上参考;週刊「経営財務」第2853号)
(このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)





Copyright (C) 1999- M&A Intercross Co.,Ltd , All rights reserved.
omo