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M&Aニュース

                                               2008年1月30日
 


出資放棄に対する法人への贈与課税で判定基準見直しへ
公益法人改革の税制整備に伴い公益目的の財産、贈与に係る取扱いも検討

 改正医療法に基づく医療法人制度への移行を促進するため、平成20年度においては、公正法人等に対する財産の贈与について、贈与税の課税対象かどうかを判断する際の判定基準を定めた取扱いの見直しが行われることが明らかとなった。
 相続税法では、相続税等の負担が不当に減少すると認められる場合には法人に贈与税を課すとしているため、新制度における社会医療法人、基金型医療法人に移行するために出資持分を放棄する場合、法人の態様によっては、相続税回避とみなされて贈与税課税が生じる可能性があるからだ。
 贈与税の判定基準は、国税庁の個別通達「贈与税の非課税財産及び公益法人に対して財産の贈与等があった場合の取扱いについて」で詳細が規定されていることから、今後は厚生労働省との間で見直しについて検討が開始される。また、公益法人制度改革に伴い税制も改正されることから、見直しは医療法人に関わる部分だけでなく、同取扱い全般について行われていくことになる。


現行取扱いでは新制度移行時に贈与税課税の可能性


 相続税法の個別通達である「贈与税の非課税財産(公益を目的とする事業の用に供する財産に関する部分)及び公益法人に対して財産の贈与等があった場合の取扱いについて(昭和39年6月9日直審(資)24」では、公益法人への贈与に関する取扱いをおいている。
 相続税法66条4項により、出資持分の放棄で個人出資者の親族等の相続税・贈与税の負担が不当に減少する結果となる場合、公益法人等を個人とみなして贈与税が課税されるわけだが、相続税・贈与税の不当減少の有無を判定するため、上記取扱いで、出資者や親族への特別利益供与の有無、役員等の親族要件などを判定基準としている。
 取扱いとしては、出資持分のない医療法人に対する贈与については、措置法で規定する特別医療法人の承認基準と同等の要件を満たすものだけが贈与税課税から除かれるとしているため、現行の取扱いのままでは、新たな医療法人制度における社会医療法人や時宇定医療法人、基金型医療法人への移行のうち、とくに基金型への移行に伴う出資持分の放棄が贈与税の対象となってしまう可能性が大きいからだ。
 19年4月からは持分ありの医療法人の設立はできなくなっており、今後の医療法人制度においては、既存の出資持分ありの医療法人からの意向を促進することが課題とされている。


平成20年度に贈与税判定基準の見直しを実施


 厚生労働省は平成20年度税制改正へ向け、社会医療法人の医療保険業の法人税非課税等や、新医療法人への移行時税制措置を要望し、非課税措置等については税制改正大綱にも明記されることとなった。
 一方、移行時の贈与税課税の問題については、判定基準を定めた国税庁の取扱いによるものであるため。12月末に公表された厚労省関係の改正事項により、見直しが開始されることが明らかになったというわけだ。
 社会医療法人には、特定医療法人と同様に同族役員の制限などといった厳しい要件が設けられている。そのため、判断基準見直しのポイントは、社会医療法人でも特定医療法人でもない「その他の医療法
人でもない「その他の医療法人(基金型医療法人)」へ移行する場合だ。既存の医療法人のほとんどが従来からの出資持分ありの医療法人であるため、現行の贈与税の課税判定がどのように見直されるか注目される。
 新制度への移行を促進することが求められるなか、相続税の不当減少とならないように判定基準を見直すという難しい作業が始まることになる。


(以上参考;週刊「税務通信」第3001号)
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