2008年2月4日
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VC条項明確化で判定分かりやすく
ASBJ 連結範囲の決定に関する適用指針案を公表
企業会計基準委員会(ASBJ)は1月24日、「連結財務諸表」における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針(案)を公表した。
同指針案は、連結範囲や関連会社の範囲の判定にあたって実務上の指針としてきた「監査委員会報告第60号」の内容を見直したもの。会計上の取扱いで明確化が必要とされていた点を整理、VC(ベンチャーキャピタル)条項の具体的な判定要件などを明示した。
検討の経緯
企業会計審議会が公表した「連結財務諸表の見直しに関する意見書」と「連結財務諸表原則」81997年6月)を受け、企業の財務報告は個別情報から連結情報中心の開示に転換した。以後、「子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」(1998年10月)が公表され、「支配力基準」や「影響力基準」を導入するなど連結情報の充実化が進んでいる。2007年11月には「持分法に関する会計基準(案)」(ASBJ)も公表されたところだ。
従来、これらを実務に適用する際は、「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する監査上の取り扱い」(監査委員会報告大60号)が指針になっていた。今回公表の指針案は、同合の会計上の取り扱いについて、明確化すべき点に対応した。
指針案の要点
専門委員会の検討内容は以下のとおり。
- VC条項の具体的要件
- VC条項適用時の前提
- 出資会社が企業集団内にある場合の考え方
- 投資関係が多層構造をとる場合の考え方
指針案では、多の会社を支配する要件に該当しても、他の会社を支配する要件に該当しても、他の会社等の意志決定機関を支配していないこと等が明らかであると認められるため、その会社を連結しないと判断する場合の要件(VC条項)など関連項目を検討、取り扱いを整理した。
【VC条項・判定要件】
@売却等により当該他の会社等の議決権の大部分を所有しないこととなる合理的な計画があること
A当該他の会社党との間で、通常の取引として投融資を行っているもの以外の取引がほとんどないこと
B当該他の会社等の事業の種類は、事故の事業の種類と明らかに異なるものであること
C当該他の会社等とのシナジー効果も連携関係もないこと |
今後、連結範囲や関連会社を判断する際の判定要件となる。ただ、専門委員会では、同条項が「不正な連結はずし」につながる可能性も議論している。同条項の適用時は、出資会社が「再建回収目的の金融機関」や「キャピタルゲイン獲得目的の投資企業」であることに加え、実質的な営業活動をしていることなどが前提になる。
また、こうした出資企業をグループ内に持つ場合の考え方や、最終投資先との間に子会社(証券会社や投資事業組合)など複数の会社を挟む多層構造の取り扱いも示している。
(以上参考;週刊「経営財務」第2854号)
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