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M&Aニュース

                                               2008年2月8日
 


政府 平成20年度税制改正関連法案を国会提出

 政府は、1月23日、揮発油税の暫定税率の10年延長を含む租税特別措置法改正案と所得税法、法人z製法等のいわゆる「本法」とを一括で改正する内容の平成20年度税制改正関連法案を通常国会に提出した(所得税法等の一部を改正する法律案)。内容は、年末の与党税制改正大綱や財務省の税制改正要綱で示された改正事項が盛り込まれているが、法律案ではなく政令に委任された部分も多い。
 また、今回の政府案には、公益法人税制のように国の制度改革と歩調を合わしたものや、証券税制のように、見直しに際して、目下の経済環境に配慮した部分もあるので、例年以上に、細かな経過措置が置かれた事項が少なくない。
 これらについては、適用時期も含め、法律案の附則に盛り込まれているので、確認しておきたいところだ。

全部取得条項付種類株式に係る有価証券の譲渡損益繰延規定で価格決定申し立てに基づく金銭交付の取扱いを明確化

 そのほか、法人税法では、全部取得条項付株式を取得決議によって譲渡し、その対価として取得法人の株式等の交付を受けた場合の譲渡損益の繰延べについて、全部取得条項付株式種類株式の価格決定申し立てに基づく金銭交付について、これを株式等の交付とみる旨の明確化が盛り込まれた(法法(案)61の2)。
 税制改正大綱等によれば、上記のほか、適格三角合併等に係る「株式等のみを対価とする」要件を判定する際、株主に対して、一株未満の端数に代えて金銭が交付された場合を除いて判定する旨の改正が盛り込まれているが、こちらについては、政令事項となる模様だ。

金融証券税制で上場株式等の譲渡益及び配当等に価亜kる軽減税率の原則廃止と新たな特例措置の創設及び上場株式等の配当所得の申告分  離課税制度を創設

 まず、上場株式等の譲渡初等等に係る軽減税率(7%)は、平成20年12月31日の期限到来を持って廃止するとしている(措法(案)37の11)。その一方で、平成21年1月1日〜平成22年12月31日までの間は、その年分の上場株式等に係る譲渡所得等の金額のうち500万円以下の部分の税率については7%とする特例措置が附則に盛り込まれた(附則43)。
 また、この特例に合わせ、同期間の源泉徴収選択口座の源泉徴収税率については7%として、その年中の源泉徴収選択口座の上場株式等に係る譲渡所得等の金額と源泉徴収選択口座以外の上場株式等に係る譲渡所得等の金額の合計額が500万円を超える場合には、源泉徴収選択口座の申告不要特例は適用しないこととしている(附則45。)
 一方、譲渡益と同様に軽減税率が適用されている上場株式等に係る配当等については、現行法では平成21年3月31日までが特例の期間とされているが、平成20年12月31日で原則廃止とし(措法(案)9の3)、平成21年1月1日〜平成22年12月31日の間に支払を受ける上場株式等の配当は、大口株主が受けるものを除き7%とし、その年中の上場株式等の配当等(一定のものを除く)の合計額が100万円を超える場合には、その超える年分については、申告不要特例は適用しないこととしている(附則33)。
 さらに、上場株式等に係る配当所得については、新たに「申告分離課税制度」を創設、併せて上場株式等のじょうと損失との「損益通貨制度」も盛り込まれた。
 具体的には、平成21年1月1日以後に支払を受けるべき上場株式等の配当等については、「原則15%」の申告分離課税を選択できることとし(措法(案)8の4)、平成21年1月1日〜平成22年12月31日の間は、申告分離課税を選択した配当等のうち100万円以下の部分の税率を^「7%」とするとしている。
 また、平成21年分以後の所得税について、上場株式等の譲渡損又はその前年以前3年以内の各年に生じた上場株式等の譲渡損について、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得の金額から控除するとしている(措法(案)37の12の2、附則47)。
 この損益通算については、源泉徴収選択口座内でも行うことができるよう規定を整備することとしているが(措法(案)37の11の6)、適用時期については、平成22年1月1日以後に金融商品取引業者等から交付を受けるべき源泉徴収選択口座内配当等からとされている(附則46)。
 なお、上場株式等に係る譲渡益及び配当等の制度見直しについては、これらの改正及び経過措置に関連して、資料情報制度等の整備(措法(案)37の11の3、37の11の4、附則44、45)、源泉徴収義務の整備等(措法(案)9の3の2、37の11の6、附則46)も合わせて盛り込まれている。

 エンジェル税制の拡充で特定新規中小会社への出資を寄附金控除の対象に
 
 今回の法律案には、数字の改正を経ても、なお利用率が上がらないと言われている「エンジェル税制」について、思い切った改正が盛り込まれた。
 具体的には、個人が、平成20年4月1日以後に、「中小企業の新たな事業毛集うの促進に関する法律に規定する「特定新規中小企業車」の株式(設立後1年未満のものに限る)を「払込み」により取得した場合には、その株式の取得に要した金額について、1,000万円を目処に寄附金控除の対象とするとしている(措法(案)41の19)。
 また、これに併せ、既存のエンジェル税制措置のうち、特定中小会社が発行した株式に係る譲渡所得等の課税の特例は廃止される(現行措法37の13の3)。

◎ 相続税関係 公益法人制度改革に対応

 公益法人税制では、持分の定めのない法人を通じた租税回避を防止するため、相続税本法において、まず、公益法人等に対して贈与等が行われた場合の贈与税の課税について、適用対象を「持分の定めのない法人」とし(相法(案)65,66)。合わせて、持分の定めのない法人等に対して贈与等があった場合、受贈益が法人税法の規定によってその法人等の益金に算入されるであっても、その法人等に対して贈与税等を課税する(法人税等の額は贈与税等の額から控除)こととしている(相法(案)66:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の施行の日以後に相続等より取得した資産から適用(附則25)。
 また、相続財産を贈与した場合に相続税が非課税とされる法人の範囲に、公益社団・財団法人が加えられる(措法(案)70)。
 そのほか、住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例の適用期限の2年延長が盛り込まれている(措法(案)70の3、70の3の2)。


(以上参考;週刊「税務通信」第3003号)
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