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                                               2008年2月12日
 


中小企業の事業承継の円滑化法を今国会で審議へ
民法の特例により、株式を遺留分の対象から除外
21年税制改正で、納税猶予と遺産取得課税を導入

 20年度税制改正の動向が気になるところだが、平成21年度の税制改正においては「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」が創設されて、課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されることが、20年度改正の大綱や要項に明記されている。
 これは、申告な後継者附則の問題を抱える中小企業の事業承継を支援するための政策3本柱の「民法の特例」、「金融支援」とともに行われる税制措置で、「事業承継計画」の認定を受けた非上場中小企業の株式等に係る相続税の80%の納税を猶予するというものだ。
 この税制は、21年度の税制改正で創設されるが、税制の適用は、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(仮称)」の施行日以後の相続等に遡って行われる。
 円滑化に関する法律は、「遺留分に関する民法の特例」や「金融支援」が盛り込まれる内容となっており、2月上旬には法案を国会に提出、その後の国会審議を経て平成20年10月1日の志向が予定されている。


経産大臣の許可により事業承継を認可


 この円滑化に関する法律では、先代経営者の推定相続人であること等について、経済産業大臣から確認を受けた後継者が、遺留分権利者全員との合意内容について、仮定裁判所の許可を受けることで、民法の特例を受けることを可能とすることが定められる。
 そして、この事業継続の認可を受けた非上場の中小企業株式については、課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予する措置が講じられる。
 ただし、この事業継続の認可を受けるためには、雇用確保をはじめとする5年間の事業継続が要件となる。


民法の特例により株式を遺留分の算定から除外


  円滑化に関する法律に盛り込まれる「民法の特例」は、先代の経営者の生前に、遺留分権利者全員の合意に基づき、先代経営者から後継者へ贈与された自社株式等について、遺留分算定の基礎財産から除外できるとするもの。これは、事業の継続に不可欠な自社株式等にかかる慰留分の減殺請求を未然に防止することが狙いだ。
 遺留分は、相続等にかかり、民法により保障されている配偶者や子どもが最低限の資産を承継できる権利であるが、事業承継においては、この民法上の遺留分の製薬によって相続財産の返還等を請求する非後継者からの遺留分の減殺請求が事業の承継に支障をきたしているとの指摘もあり、この点について、民法の特例を設けることで法的に対処し、中小企業の事業承継を円滑に行うこととするものだ。
 また遺留分の算定に際しては、遺留分権利者全員の合意に基づき、せいぜい贈与株式の価額を合意時の評価額であらかじめ固定できる制度も導入される。これは、後継者が株式価値の上昇分を保持できる制度であり、経営意欲の阻害要因を排除することが目的とされる。
 この新しい円滑化に関する法律は、今国会において、予算関連以外の重要法案として位置づけられており、2月上旬の閣議決定D、国会審議を経て、20年10月からの志向が予定されている。21年度の税制改正で創設される予定の事業承継税制については、この円滑化に関する新法施行予定日の20年10月に遡及して適用される。


遺産取得課税方式を採用へ


  一方、事業承継税制においてひゃ、相続税の課税方式を現行の併用方式から遺産取得課税方式に改めることが検討事項として、税制改正大綱には明記されている。
 現行の併用方式は、被相続人が遺した財産それ自体について、基礎控除や課税価格の減額措置を適用し、法定相続人の数と法定相続分に従って分割し、各相続人の相続税額を算出。その上で、各相続人の相続税額を合算し、実際の相続人の相続割合に従い、相続税額を按分することとなる。
 これに対し、遺産取得課税方式では、被相続人が遺した財産について、相続人間で分割し、各相続人が実際に相続した財産ごとに相続税を計算することになる。
 21年度の税制改正において創設される「取引相場のない株式等に係る相続税の脳背市猶予制度」では、経済産業大臣から確認を受けた非上場中小企業の株式等について、80%の減額措置が導入される。よって、現行の併用方式では、事業の後継者以外の相続人も税負担の軽減を受けることが可能となるので相続税の課税方式を現行の併用方式から、遺産取得方式に見直して、事業承継税制に対応することとなるようだ。



(以上参考;週刊「税務通信」第3003号)
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