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                                               2008年2月13日
 


東京高裁 贈与時の住所は日本国内として逆転で課税処分は適法
租税回避目的で調整された滞在日数による居住性の判断は不相当

 贈与を受けた日に日本国内に住所を有していたか否かを争点にした訴訟で、東京高裁は、一審判決を取消し、逆転で課税処分を支持する判決を行った(平成20年1月23日判決言渡 平成19年(行コ)第215号。
 納税者は贈与を受けた日には国外(香港)に居住しており。また、贈与を受けた株式は国外(オランダ)にある会社の株式であったため、、当時の相続税法によれば、納税義務は負わないとして申告を行わなかった。
 これに対し、国税当局は、納税者は租税回避目的で香港に渡航しており、職務の中心的な従事場所は日本の会社で、住所が日本国内にあったことは明らかとして課税処分を行い、この処分を不服とした納税者は訴訟を提起し、一審の東京地裁は納税者の請求を支持し課税処分を取り消していた。
 今回の判決で、東京高裁は、納税者は租税回避目的で香港の滞在日数を調整しており、滞在日数による形式判断は相当ではないとして、「生活の場所」「職業活動」「資産の所在」「居住意思」等から検討を行い、生活の本拠は日本国内にあったと結論づけて、課税処分を適法とする判断を示している。


当時の税法では国内財産のみが課税対象


 問題となった贈与が行われた当時の税法では、贈与により財産を取得した時点で日本国内に住所を有して以内場合、国内財産のみが課税対象とされていた。よって、対象財産がオランダにある会社の株式であったことから、贈与日の住所が国外であれば課税を受けないため、住所がどこにあるのかが争点となった。


生活の本拠である住所は総合判断すべき


 今回の判決では、過去の最高裁判例より、先ず住所については生活の本拠であり、生活の本拠とはその者の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を指すものとした。そして、一定の場所が生活の本拠に当たるか否かは、住居、職業、生計を一にする配偶者、その他の親族の存否、資産の所在等の客観的事実に、居住者の言動等により外部から客観的に認識することができる居住者の居住意思を総合して判断するのが相当であり、特定の場所を特定人の住所と判断するについては、その者が間断なくその場所に居住することを要するものではなく、単に滞在日数が多いかどうかによってのみ判断すべきものでもない、としている。


滞在日数による形式判断は不相当


  その上で、事案において納税者は、租税回避目的のため、贈与の日以後の国内滞在日数が多すぎないように注意を払い、滞在日数を調整していたと認められることから、香港における滞在日数を重視した形式的な判断は相当ではないとし、納税者の「生活の場所」、「職業活動」、「資産の所在」、「居住意思」等について検討を行い、香港が生活の本拠ということはできないと結論づけている。


(以上参考;週刊「税務通信」第3003号)
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