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M&Aニュース

                                               2008年2月27日
 


金融庁 19年3月決算の有報を重点審査

約5割が「コーポレート・ガバナンスの状況」に不備

 金融庁は2月7日、「平成19年3月期に係る有価証券報告書の重点審査結果」を公表した。審査結果によると、19年3月末決算会社3,380社のうち、約半数が「コーポレート・ガバナンスの状況」に、約1割が「配当政策に関する事項」に、記載上の不備があることが分かった。不備のあった事例で最も多かったのは、「株主総会の特別決議要件を変更しているが、その内容及びその理由を記載していない」ケースで1,739社(約51%)であった。有報提出にあたっては、提出時点における最新の法令様式を再確認するなどの留意が必要だ。


会社法を受けて改正された開示内容を審査


 重点審査は、各財務局及び福岡財務支局ならびに沖縄総合事務局において、開示上重要な事項や法令改正により記載内容が追加された事項等に関して、有報提出会社から有報に合わせて「調査票」も提出してもらい、これを基に記載内容をチェックするもの。
 今回のポイントは、@会社法(18年5月施行)において、株式・新株予約券の酒類等や機関設計の柔軟化、剰余金の配当規則の弾力化などが講じられたことを受けて、有報等の開示内容が改正されたこと、A開示会社が株式交換等bの組織再編行為を行う場合の開示内容を充実するための改正が行われたことになる。
 重点審査の項目は次の通りである。

◆平成19年3月期に係る有価証券報告書の重点審査項目◆
1. 「対処すべき課題」について
財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めている場合、会社法施行規則127条各号の事項を記載しているか。
2.
「経営上の重要な契約等」について
(1)事業年度開始日から事業年度末までに、吸収合併又は新設合併が行われることが、業務執行  決定機関により決定されている場合、適切な記載及び適切な臨時報告書の提出を行っているか  など
3. 「株式の総数等」について
(1)会社法108条1各号に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる2以上の種類の株   式を発行することとしている場合。
  @株式の種類ごとに株式の具体的な内容を欄外に記載しているか
   A取得請求権付株式について、取得の対価及び請求機関を欄外に記載しているか    など
4.
「配当政策」について
(1)毎事業年度における配当の回数の基本的方針、配当の決定機関について記載しているか
   →341社(約10%)で記載内容が不十分
(2)配当財産が金銭以外の財産である場合
  @その内容を記載しているか
  A当該配当財産に代えて金銭を交付することを会社に対して請求する権利を与えている場合、     その内容を記載しているか
(3)会社法454条5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款で定めている場合、その内   容を記載しているか
  →調査対象会社の約3%で記載内容が不十分                      など
5.
コーポレート・ガバナンスの状況について
(1)社外取締役、会計参与、社外監査役又は会計監査人との間で会社法427条1項に規定する責  任限定経悪を締結している場合、当該契約内容の概要を記載しているか
(2)会社法373条第1項に規定する特別取締役による取締役会の決議制度を定めている場合、そ  の内容を記載しているか
(3)定款で取締役の定数又は取締役の資格制限について定め、また、取締役の選解任の決議要件について会社法と異なる別段の定めをしている場合、その内容を記載しているか
→1,627社(約48%)で記載内容が不十分
(4)株主総会決議事項を取締役会で決議することができることとしている場合、その事項及びその理由を記載しているか
→1,608社(約48%)で記載内容が不十分
(5)取締役会決議事項を株主総会では決議できないことを定款で定めている場合、その事項及びその理由を記載しているか
(6)株主総会の特別決議要件を変更している場合、その内容及びその理由を記載しているか
→1,739社(約51%)で記載内容が不十分



「株主総会の特別決議要件変更」に関する記載不備が最多で1,739社(約51%)


 重点審査項目のうち下線が引かれた項目は、記載内容が不十分と認められた事例があった主なものである。最も多かった事例は、5.(6)「株主総会の特別決議要件を変更しているが、しているが、その内容及びその理由を記載していない」ケースで、1,739社(約51%)であった。なお、記載内容が不十分と認められた事項がある会社については、金融庁から訂正を求められ、殆どの会社が訂正報告書を提出したという。
 今回の審査では、新たに開示項目となったものについて、記載事項の一部が記載漏れとなっているなど不十分な事例が多数見られた。金融庁では、「有報提出にあたり、法令改正が行われることを前提に、同報告書の提出時点における法令様式等を十分に確認の上、適切な開示をお願いしたい」と留意を促している。


(以上参考;週刊「経営財務」第2857号)
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