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M&Aニュース

                                               2008年3月4日
 


仕掛研究開発の資産計上化を先行審議

ASBJ 企業結合会計基準等を改正へ

 企業会計基準委員会(ASBJ)は2月19日、第8回無形資産専門委員会を開催した。昨年末に公表した「研究開発費に関する論点の整理」に寄せられたコメントの分析を行うとともに、プロジェクトの今後の進め方について審議を行った。国際財務報告基準と同様に研究開発費のうち開発部分について資産計上する方向で、「社内の研究開発」と「企業結合により取得した仕掛研究開発」の取扱いを検討する予定であったが、後者の仕掛研究開発の取扱いを先行して検討する方針を固めた。企業結合会計基準の改正で対応する方針だ。


開発費の資産計上に対しては反対意見なし


 2月4日まで行われた意見募集で寄せられたコメントのうち、開発費の資産計上化に反対する意見はなかった。しかし、資産計上を求める場合には、具体的な判定基準の設定を求める意見が多かった。「無形資産の有用性を立証するにあたり、どの程度の確実性が必要とされているのかをいるのかを明確にしなければ、実務での判断に混乱が生じる」、「開発費の資産計上を求める場合には、開発テーマ毎の資産性につき、毎期判断を求められるなど、その実務上・監査上の負担は膨大なものとなる」といった意見が寄せられた。
 また、仕掛研究開発(企業結合の結果として、被取得企業で行われていた研究開発活動の途中段階の成果を取得するようなケース)については、その評価に関するコメントが多かった。「企業結合の取得時において、仕掛研究開発について市場にある価値評価が行われることは極めて限定的であると考えられるため、時価の把握が困難な場合の対応方法について具体的な考え方を示してはどうか」などという意見だった。


米国と同様に「仕掛研究開発」から着手


 論点整理では、検討対象となる論点を、〔論点1〕対象となる研究および開発、〔論点2〕社内の開発費の取扱い、〔論点3〕企業結合等により取得した仕掛研究開発の取扱い、の3つに分け整理している。ASBJでは、今後の検討の進め方として、論点3の仕掛研究開発の取扱いを先行して検討する方針を固めた。仕掛研究開発については、米国基準が国際財務報告基準に合わせた結果(公正価値に基づいて資産計上する)、日本だけが異なる取扱いとなっており、検討の優先度が高いと判断した。また、米国において、論点2の社内開発費の資産計上化に向けた動きがないことも理由のひとつだ。社内開発費については、国際的な動向を見ながら検討を進める。
 論点1と2が主として研究開発費等の会計基準に係る問題であるのに対し、論点3は企業結合会計基準やその適用指針に係る問題であるため、企業結合会計基準の見直しをすることで、資産計上化への対応を図る。具体的には、企業結合会計基準三2(3)に規定する「取得した資産に法律上の権利又は分離して譲渡可能な無形資産が含まれる場合には、取得原価を当該無形資産等に配分することができる」との規定を見直す方向で検討が行われるものとみられる。


(以上参考;週刊「経営財務」第2858号)
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