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M&Aニュース

                                               2008年3月27日
 


有報の虚偽記載に係る課徴金を2倍に

金融庁 金融商品取引法等の改正案を公表

 金融庁は3月4日、第169回国会に提出する「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」を公表した。改正案では課徴金制度について、違反行為抑止の観点から、金額水準の引上げや対象範囲の拡大が図られている。例えば、有価証券報告書の虚偽記載に対する課徴金の額が、時価総額の「10万分の3または300万円」から「10万分の6または600万円」と2倍に引き上げられる。また、有報の提出義務に違反した場合、前事業年度の監査報酬額(前事業年度の監査がない場合等は400万円。四半期・半期報告書の場合はその半額)の課徴金が課される。


課徴金額の水準を引上げ、対象範囲も拡大


 改正案は、昨年末に金融審議会がとりまとめた報告書「我が国金融・資本市場の競争力強化に向けて」に基づくもの。改正案の柱のひとつが、課徴金制度のあり方である。現行規定では甘すぎるとの意見を反映させ、いわゆる「やり得」を許さない制度改正が図られている。
 具体的には、課徴金の算定方法を見直して金額水準が引き上げられる。まず、虚偽記載のある発行開示書類等により有価証券を取得させ、または売りつけた場合の課徴金について。現行では「募集・売出し総額の1%(株式の場合は2%)だが、「募集・売出しの2.25%(株式の場合は4.5%)」に引き上げられる。
 また、虚偽記載のある有価証券報告書を提出した場合の課徴金の算定方法について、現行では「300万円または時価総額の10万分の3のいずれか高い方」だが、改正案では「600万円または時価総額の10万分の6のいずれか高い方」に引き上げられている。ただし、四半期・半期・臨時報告書等の場合はその半額となる。
 このほか、「インサイダー取引」「風説の流布・偽計」、「現実売買による相場操縦」に係る課徴金についても金額水準が引き上げられる。インサイダー取引の過去の事案では、課徴金が実際の利得を下回るケースも多かったという。


有報の提出義務違反に監査報酬額の課徴金


 また、発行開示書類の不提出が、課徴金の対象に追加される。具体的には、届出をせずに有価証券の募集・売出し等を行った場合等には、募集・売出し額の2.25%(株式の場合は4.5%)の額の課徴金が課される。
 継続開示書類の不提出も、課徴金の対象となる。例えば、有価証券報告書の提出義務に違反した場合、前事業年度の監査報酬額(前事業年度の監査がない場合等は400万円。四半期・半期の場合はその半額)の課徴金が課される。
 このほか、公開買付開始公告の不実施等には「買付総額の25%の額」、大量保有報告書等の不提出等には「対象株券等の発行者の時価総額の10万分の1の額」の課徴金が課される。


当局の調査前に自己申告すれば半額に


 なお、発行開示書類・継続開示書類の虚偽記載等、大量保有報告書等の不提出、自己株取得に係るインサイダー取引等について、当局による調査前の段階で、自己申告を行った場合は課徴金の額が半額になる。また過去5年間に課徴金納付命令を受けた違反者が、再度納付命令を受けた場合は課徴金額が1.5倍になる。



(以上参考;週刊「経営財務」第2860号)
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