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M&Aニュース

                                               2008年4月22日
 


会社法施行規則・会社計算規則を改正

法務省 組織再編関連規定などを見直し

 法務省は3月19日付で、「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令」(平成20年法務省令第12号)を公布した。主に金融商品取引法の施行に伴う改正のほか、企業結合会計運用指針やリース会計基準など会計基準等の新設・改正に対応したものである。2008年(平成20年)4月1日から施行された。(一部経過措置あり)

《改正項目》
(1)金融商品取引法対応(四半期報告制度への対応等)
(2)会計基準等の新設・改正対応(株式交換・株式移転・リース会計基準、関連当事者会計基準)
(3)その他(会社役員の報酬等に関する規定、事業報告及び附属明細書の内容に関する規定、剰余金の額の算定方法、など)


事業報告における役員報酬の開示規定を明確化


 事業報告において開示される会社役員の報酬等に関する規定について、開示対象となる「会社役員」がどの時点で在任していた役員であるかということを明確にする改正が行われた。
 改正前の会社法施行規則では、開示対象となる「会社役員」には、当該事業年度の開始の日後に在任した者のうち、直前の定時株主総会の終結の日までに退任したものは含まれないものとされていた。そのため、このような会社役員については、退任した当該事業年度における報酬等が開示されないこととなっていた。しかし、「会社役員の就任および退任の時期を問わず、ある事業年度において会社役員が受け、または受ける見込みとなった報酬等の額は、そのすべてが開示されるべき性質のものである」という考えから、在任時期を限定する規定を外した、「社外役員」に関しても同様の改正が行われている。
 また、会社役員の報酬等の開示方法を明確にするため、その内容を、@総額開示をする方法、A個別開示をする方法、B一部個別開示をする方法、に分けて規定している。いずれかの方法を採ることができる。
 事業報告に関する規定については経過措置が設けられている。改正省令の施行日前にその末日が到来した事業年度のうち最終のものに係る事業報告については、なお従前の例によることとされている。そのため、今3月期決算会社については、改正前の規定が適用される。


昨年改正の企業結合会計指針に対応


 組織再編関係では、株式交換及び株式移転の際の会計処理に関する改正が行われた。「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(企業会計基準適用指針10号)との調整を図ったほか、平成19年11月15日付けで行われた同適用指針の改正項目は以下の三点である。
@共通支配下の取引における先行取得分株式の取扱い
A株式交換完全子会社または株式移転完全子会社の新株予約権等
B株式交換または株式移転の直前に完全子会社が有する自己株式の取扱い
 
 @は、共通支配下の取引に該当する株式交換において、株式交換直前に株式交換完全親会社が有する株式交換完全子会社の株式(先行取得分株式)を株式交換完全子会社簿価株主資本額(会社計算規則2条3項42号)から控除せずに、株式交換によって取得する株式の全部または一部に対応する株式交換完全子会社簿価株主資本額を用いて株主資本等を計算するという会計処理(簿価処理)が適用指針において明確化されたこと(適用指針236−4項、236ー5項)に対応した。

 また、Aは、株式交換完全親会社または株式移転設立完全親会社(完全親会社)が株式交換完全子会社または株式移転完全子会社(完全子会社)の新株予約権者に新株予約権を公布した場合または完全親会社が完全子会社の新株予約権付社債についての社債を承継した場合に完全子会社において認識される税効果調整後の利益を加算して完全子会社の株主資本等を計算するという会計処理(適用指針163ー2項、236−2項、239ー2項、404ー2項)に対応したものだ。


施行日前の組織再編への適用も可


 改正省令の施行日は、平成20年4月1日であり、株式交換および株式移転の会計処理については、施行日前に株式交換契約が締結された株式交換または株式移転計画が作成された株式移転に際しての計算については、なお従前の例によることとしている。
 一方、平成19年11月15日付の改正適用指針は、平成20年4月1日以後の組織再編について適用することとしているものの、早期適用を認めており、改正日以後終了する事業年度における平成20年3月31日以前の組織再編についても適用することができる(適用指針331−2項)。
 法務省令では、早期適用を認める経過措置は置かれていないため、先行して改正後の適用指針を適用する場合の取扱いに対応していないとも見てとれるが、この点については、「施行日前から企業会計の慣行上認められていた会計処理を否定するものではない」(法務省)としており、施行日前の組織再編への適用も可能である。


「関連当事者」の範囲を拡大


 企業会計基準委員会から「関連当事者の開示に関する会計基準」(企業会計基準第11号)および同適用指針が公表されたため、同基準に対応した改正が行われた。
 改正点のひとつは、関連当事者の範囲に下記@〜Bを追加したことである。
@計算書類提出会社の親会社の役員またはこれらに準ずる者及びその近親者
Aこれらの者が他の会社等の議決権の過半数を自己の計算において所有している場合における当該会社等及び当該会社等の子会社
B従業員のための企業年金(計算書類作成会社と掛金の拠出を除く重要な取引を行う場合)

 また、関連当事者会計基準への対応と同様に、「リース取引に関する会計基準」(企業会計基準第13号)に対応した改正も行われている。
 所有権移転外ファイナンス・リース取引に関し、原則として通常の売買取引に準じた会計処理が行われることになったため、会社計算規則上の定義規定を見直した。ただし、一部で賃貸借処理が残るため、賃貸借処理を前提とした計算規則139条の注記規定に改正は加えられていない。





(以上参考;週刊「経営財務」第2863号)
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