運営人:潟Gムアンドエーインタークロス
後援:税務研究会

M&Aニュース

                                               2008年5月1日
 


賃貸等不動産を時価開示の対象に

ASBJ 08年末を目途に基準公開

 企業会計基準委員会(ASBJ)は4月4日第5回投資不動産専門委員会を開催した。
 同専門委員会では、EU同等性評価の補正措置提案を受けた「投資不動産」について、時価開示の是非や対象範囲を検討。従来通り原価評価を行うが、時価を開示(注記)する方向で議論を進めている。時価開示を求める範囲については、賃貸等不動産(ホテル等を覗く賃貸不動産と用途未定の遊休不動産)を対象とする案が出された。
 本年6月頃に、「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」及びその適用指針の公開草案を、同年末に会計基準及び適用指針を公表する予定。早ければ、2010年3月末決算から適用される見込みだ。


従来通り原価評価を行うが時価を注記


 現行制度上、投資不動産とは「投資の目的で所有する土地、建物その他の不動産」を指す(財務諸表等規則33条)。具体的には、営業目的以外の賃貸不動産等が考えられる。その評価は、取得原価による(企業会計原則第三・五)。
 一方、IAS(国際会計基準)第40号は、投資不動産を「賃貸収益、資本増価、またはその両方を目的に保有する不動産」と定義。具体例は、遊休土地やオペレーティング・リース目的の建物などだ。評価方法は、公正価値評価と原価評価の選択適用としており、原価評価を採用した場合は、時価の注記が必要となる。
 専門委員会では、投資不動産を時価評価(P/L)とするか、時価開示(注記)とするか、検討を行ってきた。結果、従来通り原価評価とするが、時価の注記を求める方向で審議を進めている。


時価開示を求める対象範囲を明確化へ


 今回は、現行制度上の投資不動産とは切り離して、時価開示を求める不動産の対象範囲について審議。販売用不動産や投機的に保有する不動産(トレーディング目的の棚卸資産に該当)等の流動資産は対象外とされ、固定資産に分類される不動産の中で検討が行われた。

<固定資産に分類される不動産の例>
  • 経営管理・物品製造販売・サービス提供等の目的で企業自らが利用する不動産
  • 付随的サービスが重要であり、一定期間、第三者に占有されることによりキャッシュ・フローを獲得する不動産(ホテルなど)
  • 賃貸されている不動産(賃貸ビルなど)
  • 用途未定の遊休不動産

 審議ではIAS40号を踏まえ、付随的サービスの重要性により開示対象を判断する方法を検討。「ホテルだけでなく、テナント管理業務を行っている一部オフィスビルも対象外に」、「事業目的の不動産はすべて対象外に」、「ホテルも含めてすべて開示対象に」等の案が出された。
 最終的には、付随的サービスの重要性によって判断することは困難であり、ホテル等を除き、外形的に賃貸されている不動産について、一律に開示対象とする方向性が示された(対象は実質的にIASと同じ)。これに、「将来の使用が見込まれていない遊休不動産」を加えた以下の3つが、「賃貸等不動産」として開示対象となる。

◆時価開示の対象となる不動産(賃貸等不動産)
(1)B/S上で投資不動産に区分される不動産
(2)将来の使用が見込まれていない遊休不動産
(3)賃貸されている不動産





(以上参考;週刊「経営財務」第2866号)
(このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)





Copyright (C) 1999- M&A Intercross Co.,Ltd , All rights reserved.
omo