2008年5月2日
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特定同族株式等の相続時精算課税特例
国税庁は去る4月7日、特定同族株式等の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例を受けるために必要な措置を講じた「租税特別措置法施行規則第23条の6の3第2項に規定する経済産業局長の確認に関する手続等について(情報)」をホームページ上で公開した。
平成19年度税制改正で円滑な事業承継を図るために設けた同特例に関し、必要な確認手続を定めた経済産業省告示第20号(2月6日)を受けたもの。この告示では特定受贈者の非課税枠が通常の相続時精算課税より500万円上乗せした同特例を受けるため、経済産業局長へ提出する確認申請書の様式や、特例同族会社の定款の写し等の添付書類を明示。また虚偽申請があれば、経済産業局長は確認の取消ができる旨を明らかにしている。
経済産業省が手続きを告示
相続時精算課税の特定同族株式等に係る特例は、平成19年1月1日から平成20年12月31日までの間に特例受贈者が取得した特定同族株式等について、特定贈与者である親の年齢を65歳から60歳へ引き下げるとともに、その子である特定受贈者の非課税枠を2,500万円よりも500万円上乗せした3,000万円とする措置。
課税特別措置法では、相続時精算課税の特例適用を選択した年の翌年3月15日から4年を経過する日を「確認日」と定義(措法70の3の3B四)。ただし、特定受贈者が死亡した場合は死亡日、特定同族法人が解散した場合は解散日の翌日を「確認日」としている。このような事態に備え、経済産業省は早ければ平成20年中にも特例を適用する必要に迫られるとあって、このほどの告示で本店所在地を管轄する経済産業局長(沖縄県は沖縄総合事務局長)への確認手続を明確にするなど対応を急ぐことにした。
確認日から1ヶ月内に提出
経済産業局長の確認手続では特定受贈者に対し、確認申請書として「確認申請書(様式1)と別紙」、「特定同族株式等の明細書(様式3)」の各2通を確認日から1ヶ月以内に提出するよう求めている。これらの確認申請書は国税庁のホームページでも確認することができる。また、添付書類としては
@特定同族法人の定款の写し
A確認日における受贈者の氏名、住所、保有株式数等を記載した明細書
B特定受贈者が代表者であることを明らかにする書類
C特定同族法人の登記事項証明書
D株主名簿または社員名簿の写し
Eこのほかの参考となる書類
を列挙している。
これらの提出書類に基づいて、経済産業局長は租税特別措置法施行規則23条の6の3第2項の規定にある通り、特定受贈者が特定同族法人の代表者であることや保有株式数が発行済株式総数の50%超を有すること、また特定同族法人は清算中でなく、代表者が2人以上いない等のすべての適用要件を満たすかどうか確認する。特例の適用を確認できれば、経済産業局長は確認申請書に記名押印した1通を「確認書」として特定受贈者に交付し、残る1通は経済産業局で保管する。また、特例適用の要件を満たさない場合は、その理由等を記載した通知書(様式2)を送付することにしている。
今回は、現行制度上の投資不動産とは切り離して、時価開示を求める不動産の対象範囲について審議。販売用不動産や投機的に保有する不動産(トレーディング目的の棚卸資産に該当)等の流動資産は対象外とされ、固定資産に分類される不動産の中で検討が行われた。
税務署へは2ヶ月以内に提出
一方、特定受贈者は、経済産業局長が確認書を交付するまでの期間を考慮して、確認日の翌日から2ヶ月以内に納税地の税務署へ確認書を提出しなければならない。もし、2ヶ月以内に確認書を提出しなかった場合や、確認書の記載事項と異なる事実があった場合は、相続時精算課税選択届出書を提出していなかったとみなされる。つまり相続時精算課税の特例そのものが受けられなくなり、さらに相続時精算課税を受けていた年の贈与税について修正申告をしなければならない。相続時精算課税の特例を選択した年の翌年3月15日から通常は4年以上も先の手続となるだけに確認書の提出を忘れないようにくれぐれも注意が必要だ。
虚偽あれば取り消しも
これら一連の手続において、経済産業局長による確認手続については、商業登記簿謄本等の添付書類を代用するなど基本的に書類審査で特例適用の適否を確認できると見込んでいる。だが、株主名簿等の分量が多いケースなど証明書類が膨大で送付しにくい場合は、必要に応じて当該法人まで出向いて確認するケースもある、としている。虚偽の申請に備え、経済産業省は告示第20号の第3条において、特定受贈者が虚偽の申請を行ったり、書類に虚偽事項を記載したりした場合は確認を取り消すことができると明記している。
一方、税務署では経済産業局長が交付した確認書に基づいて特例の適否を審査することになるが、通常の申告が正しいかどうかを確認する場合と同じように個々のケースに応じて判断するとしており、必要に応じて税務調査等で確認することになりそうだ。
(以上参考;週刊「税務通信」第3014号)
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