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M&Aニュース

                                               2008年5月16日
 


改正政令で平成20年度税制改正の細目等を確認

政令の運用関係についても附則で経過措置が

 平成20年度税制改正関連法案は、4月30日、憲法59条に基づく衆議院の再可決によって、成立、即日公布・施行された。
 同時に、関係政令、省令も公布・施行されているが、税制改正の内容については、昨年末の税制改正大綱を経て、1月に国家に提出された当初の政府案どおりとなっている。
 一方、法律の成立が遅れたことによる租税特別措置の運用関係については、「所得税法等の一部を改正する法律附則第119条の2の規定による経過措置を定める政令」によって規定されている。ここでは、平成20年度のM&A関連項目について、政令で定められた事項のポイントを紹介する。
 ただし、改正事項の中には、法律改正によらず、政令改正のみで対応した事項もあり、これらの適用関係については、各政令の附則で経過措置等が定められていることから、確認しておく必要がある。(例えば、改正法人法施行令の経過措置の原則は、別段の定めのあるものを除き、平成20年4月1日以後開始事業年度からとされている。


法人税関係−−公益法人税制の細目・組織再編等に係る金銭交付の取扱い等を整備

公益法人税制では資本又は出資を有しない法人に関する規定も整備



 法人税法本法関係では、新公益法人税制の細目が規定されているが、公益法人税制に係る政令項目の中には、税制改正の要綱等の参考資料により、既にその概要が示されていたものがある。これらについては、政令の公布・施行によって、その詳細が明らかとなっているので確認しておきたい。
 具体的に、一般社団・財団法人のうち「非営利型法人」に該当するための要件(法令3:非営利型法人の範囲)、収益事業の範囲の見直し(法令5)、公益社団法人・財団法人、社会医療法人に認められた「みなし寄附金」の損金算入限度額(法令73の2)、特定公益増進法人の範囲に公益社団・財団法人を加える改正(法令77)、特定公益増進法人に対する寄附金の特別損金算入限度額の拡大(法令77の2)、公益法人等が普通法人に移行する場合の所得の金額の具体的計算方法(法令131の4〜6)、等がある。
 また、上記以外では、資本又は出資を有しない法人に関する規定の整備が行われている。例えば、共同事業を営むための適格合併に該当するか否かの判定については、被合併法人のすべて又は合併法人が資本又は出資を有しない法人である場合には、「株式継続保有要件」を除外する(法令4の2)。資本又は出資を有する法人が資本又は出資を有しないこととなった場合には、その有しないこととなる直前の資本金等の額に相当する金額を資本金の額から減額し、その減額した金額を利益積立金額に加算するとしている(法令8〜9の3,136の4)。


三角合併等に株式等の対価として交付される株式に代えて交付される金銭の取扱いを整備


 次に、法律で、全部取得条件付種類株式に係る価格決定申立てに基づく金銭交付の取扱いが明確化されているが、政令では、組織再編等が行われた際に生ずる一株未満株式の交付に代えて行われる金銭の交付の取扱いの明確化が図られている。
 具体的には、三角合併により、被合併法人等の株主等に交付する合併法人等の親法人の株式に、一株未満の端数が生じるため、その端数に応じて交付される金銭については、その端数に相当する部分は、その親法人の株式に含まれるものとして合併法人等の所得の金額を計算することが明確化された(法令119の10、139の3の2)。
 また、これらに関連して、みなし配当が生じない自己株式の取得の一つとして全部取得条項付種類株式に係る取得決議で一定のものが加えられているほか(法令23I)、有価証証券の譲渡損益の繰延べ制度に係る有価証券の取得価額の規定のうち、全部取得条項付種類株式の取得決議による取得の対価として交付を受ける取得法人の株式の取得価額に関する事項中、取得に係る対価要件から、取得の価格の決定の申立てに基づいて交付される金銭等を除外することとされた(法令119@十七)。



個人課税関係−−エンジェル税制の寄附金控除対象額の計算方法等

エンジェル税制:寄附金対象株式数と対象額の計算が明らかに


 大幅に改正されたエンジェル税制は(措法41の19)、平成20年4月1日以後に、中小企業新事業活動促進法に該当する特定新規中小会社の株式を払込みにより取得した倍亜に、1,000万円を限度として、寄附金控除の適用を受けることができるようになった。
 この寄附金控除の対象株式数は、払込みによる取得株式数から、取得した年の譲渡や贈与した同一銘柄株式数を控除したものとsれ、対象の金額は銘柄毎に、払込みの取得に要した金額合計額を、取得株式数で除して、対象株式数で乗じた金額となると規定している(祖令26の28の3AB)。
 また、寄附金控除の適用年の翌年以後における、有価証券等の評価における必要経費等の計算基礎となる寄附金控除の適用対象株式の取得価額は、適用年の有価証券の評価方法(所令105)により算出した取得価額から、「寄附金控除対象額−5000円」を控除した額等とされるとしている(祖令26の28の3E)。


金融証券税制:損益通算特例の記載事項を明確化


 金融証券税制では、平成21年1月1日から平成22年12月31日まで、上場株式等に対する譲渡益は500万円以下、配当は100万円以下まで10%課税、超える部分は20%課税となっている(平成20年所得税法改正附則43ほか)。
 このうち、上場株式等の譲渡益の対象となる額は、上場株式等の譲渡に関わる譲渡所得、事業所得、雑所得の金額の合計額とすると規定されている(措令附則18@)。
 また、平成21年分の所得税から適用される、上場株式等の譲渡損失と配当の損益通算制度(措法37の12の2)について、適用を受けるためには、譲渡損失の額や、配当所得の額と、その計算に係る参考事項を確定申告書に記載することとしている(措令25の11の2)。


相続税−−公益法人制度改革に対応した贈与税等の租税回避防止に向けた措置

持分の定めのない法人の特別の利益の内容等を規定


 相続税関係では、公益法人を使った贈与税等の租税回避を防止するため、例えば親が贈与を行った持分の定めのない法人からその親族が利益を受けた際に贈与認定等が行われる「特別の利益」の範囲について定めた。「特別の利益」の範囲としては、施設の利用、余裕金の運用、解散した場合における財産の帰属、金銭の貸付け、資産の譲渡、給与の支給、役員等の選任その他財産の運用及び事業の運営において当該法人から受ける特別利益としている(相令32)。また、持分の定めのない法人等に対する贈与税等の計算方法については、取得財産の価額から翌期控除事業税相当額を控除した価額を事業年度の所得とみなしたうえで、法人税等の額を控除するなど細目を定めている(相令33)。

中小企業の代表者及びその一族が保有する株式割合については、全体の69.7%が過半数以上の株式を保有している。内訳をみると、保有株式割合が「100%」の保有者が25.4%と最も多く、次いで「75%以上100%未満」が24.8%、「50%以上75%未満」が19.5%だった。従業員数が少なくなるにつれて、代表者やその一族の保有割合が高くなる傾向があり、小規模になるほど同族企業が多いことがうかがえる。
 中小企業に期待する取組として、白書はITの活用や海外展開等により労働生産性を高めるとともに、他の企業や産学官との連携などネットワークを再構築し、新たな付加価値の創造に挑戦することが知識経済の活性化を図るためのカギとしている。



(以上参考;週刊「税務通信」第3016号)
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