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M&Aニュース

                                               2008年5月20日
 


意思決定機関を”支配していない”要件を明確化

ASBJ 連結範囲の決定に関する適用指針を公表議決

 企業会計基準委員会(ASBJ)は5月2日に開催され、出席委員全員の賛成により企業会計基準適用指針「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針(案)」が公表議決された。
 議決された適用指針は、VC(ベンチャーキャピタル)、条項など連結範囲の具体的な判定要件を明確化。これに伴い「監査委員会報告第60号」(日本公認会計士協会)は廃止の見込みだ。同指針の適用時期は「2008年10月1日以後開始する連結会計年度から」。早期適用も認める。


適用指針作成の経緯


 連結財務諸表における子会社や関連会社の範囲を判断する際、これまでは日本公認会計士協会による「監査委員会報告第60号」(連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する監査上の取扱い)が実務上の指針とされてきた。ただ、同60号が公表されてから10年が経過し、M&Aやファンドビジネスの拡大など取引内容も大きく変化。こうした動向とともに、「他の会社の意思決定機関を支配する要件を満たしていても、子会社に該当しないもの」との記述に「範囲・理由が不明瞭」との指摘がでていた。
 以上を踏まえ、ASBJは「不明瞭」とされていた点を吟味。今回の適用指針で、子会社・関連会社の範囲について「会計上の取扱いで明確化すべき点」を改めて整理することにした。


判定要件明確化で「判断の幅」狭まる


 例えば株式の50%超を保有される会社の場合、通常は子会社とみなされる。しかし、実務では「支配する意図がない」など取引の実態を勘案して「子会社と見なさない」ケースもある。こういった一般的とは言えない扱いを判断する際の枠組みを明確化したのが今回の運用指針である。
 同指針では、「他の会社等の意思決定機関を支配する要件を満たしていても、意思決定機関を支配していないことが明らかであると認められる場合」の考え方を示している。例えば、債権回収目的の金融機関や、キャピタルゲイン獲得目的のベンチャーキャピタルなど投資企業について、前提条件とともに明示したいわゆるVC条項には、次の4項目が挙がる。

【VC条項】
@ 売却等により当該他の会社等の議決権の大部分を所有しないこととなる合理的な計画があること
A 当該他の会社等との間で、当該営業取引としておこなっている投資又は融資以外の取引がほとんどないこと
B 当該他の会社等は、自己の事業を単に移転したり自己に代わって行うものとはみなせないこと
C 当該他の会社等との間に、シナジー効果も連携関係も見込まれないこと

 適用指針の検討を行ってきた専門委員会の関係者によれば、「VC条項など形式的に満たせば良いとするものではないが、判断の幅は狭まった。実務上の判定項目も増え、以前より分かりやすくなる」という。




(以上参考;週刊「税務通信」第3016号)
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