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                                               2008年5月26日
 


経営承継円滑化法が成立、10月1日より施行へ

非上場株式の評価に財産評価基本通達とは異なる方法も

慰留分にかかる民法特例は施行日よりも遅れて適用の運び

 5月9日に「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律案」が成立した。この法律は、中小企業の事業承継を支援するための根幹をなすものだ。
 法律では、遺留分に関して民法の特例を設け、認定を受けた株式を遺留分の算定基礎財産から除外することや、その株式の評価額をあらかじめ固定することが可能となる。この民法の特例にかかり必要となる非上場株式の評価にあたっては、財産評価基本通達とは異なる方法も検討されていることから、今後の動向が注目される。
 なお、この遺留分にかかる民法の特例の規定は、制度の周知徹底や関係機関との調整を図る必要があることから、法律が施行される平成20年10月1日よりも、若干遅れて適用が開始されることとなるようだ。
 税制面でこの中小企業の事業承継に関連しては、平成21年度の税制改正で、事業継続を要件に後継者が取得した株式等の80%に対応する相続税の納税猶予制度の創設と、相続税の課税方式を現行の併用方式から遺産取得課税方式に改めることが予定されており、納税猶予制度については、経営承継円滑化法が施行される平成20年10月1日に遡及して適用されることとなる。


株式の評価では税理士の関与も


 今回成立した経営承継円滑化法では、民法の特例により、遺留分算定の基礎財産から、事業承継に必要な株式を除外できる制度が規定されるが、この株式の価額については、弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人がその時における相当な価額として証明することが義務付けられている。
 よって、価額の算定をどのように行うかということが問題となるため、その具体的な方法にも関心が集まっている。
 法律の施行は平成20年10月1日とされており、現時点では法案が成立した直後ということもあり、民法特例の対象となる株式について、その評価方法や手続きについて具体的な要件等を規定する政省令はまだ発表されていない。
 中小企業庁では今後、具体的な項目等について検討をすすめて、夏ごろまでには政省令を決定したいとしている。ただし、納税猶予の対象となる株式の評価には財産評価基本通達が用いられるが、民法特例の対象となる株式の評価については、財産評価基本通達とは異なる算定方法も念頭において、評価方法等を定めることが検討される模様だ。


民法特例は遅れて適用開始


 また、経営承継円滑化法については、衆・参の両院で付帯決議が行われ、遺留分に関する民法の特例措置について、その手続方法等について具体的な例示等を用いて周知徹底に努めることが盛り込まれている。遺留分についての特例が規定されるのは初めてのことであり、配慮を要すると見られているようだ。
 実際、経営承継円滑化法が平成20年10月1日から施行されるのに対し、民法特例を規定しているこの法律の第二章の規定は公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行と、法律の附則に定められた。
 編集部が確認したところ、現時点で民法の特例については、経営承継円滑化法が施行される10月1日より、若干遅れて適用されることとなるようだ。よって、遺留分にかかる規定については、今後明らかになる民法特例の施行日を定める政令で適用の開始を確認する必要がある。



(以上参考;週刊「税務通信」第3017号)
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