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                                               2008年5月27日
 


5年均等償却を開始する資産の管理に注意、架空資産の恐れも

無形資産の評価についても注意が必要に

 先だって、架空の無形資産を取得し、消費税の課税仕入があったものとして処理を行い、消費税の不正還付を受けていたと、国税当局から指摘されたとの報道があった。この事案においては、消費税の問題がクローズアップされているようだが、消費税とともに、減価償却費の問題についても着目しておきたい。


見直される減価償却制度


 減価償却制度については19年度の税制改正で、償却可能限度額を撤廃し、19年4月1日以後に新規に取得する資産については、法定耐用年数内で1円まで償却を可能とすることとされ、250%定率法という新たな償却方法が導入されている。また、既存の資産については、95%の償却可能限度額が撤廃され、残りの5%部分については5年均等償却を行うこととされている。
 そして、20年度の改正では、耐用年数表の別表2(機械及び装置の耐用年数表)を日本標準産業分類における中分類を基本として390区分から55区分へ大括り化を図り、大幅に簡素化された。
 このように、減価償却については制度そのものが大きく見直されているわけだが、改正に伴って、実務上気を付けたい点もあり、注意が必要だ。


5%均等償却で架空資産の恐れも


 例えば、報道にあった事例では、システム開発のためのノウハウを高額で仕入れたように装い、架空の無形資産を取得したとされている。この事例に関連して架空資産という点では、19年改正において、95%の償却可能限度額が撤廃されて、残りの5%部分について5年の均等償却を行う際に、実際にその資産が存在していないケースが想定される。というのも、資産台帳には載っているものの、95%まで償却が済んだために管理が疎かになり、存在が把握できない資産があるではないかということが危惧されるからだ。
 その場合、実際にはない架空の資産について、減価償却費を計上することになってしまうので、既存の資産管理には今一度気を付けたいところだ。


無形資産の評価の問題も


 また、報道ではシステム開発のためのノウハウを高額で仕入たように装ったとあったが、無形資産を利用した事例については、移転価格税制の適用に見られる事例からも国税当局が厳しい対応を執ることが予想され、こちらも気を付ける必要があるだろう。
 移転価格税制において、無形資産の取扱いが問題視されている事例が増加していることはAPAレポートからも明らかだが、特に無形資産の場合、その時価評価が難しいことから、国税当局とその価値について判断が分かれるケースも想定される。
 報道のケースでも、ノウハウという無形資産の評価をめぐり判断が分かれたとされている。3月決算の会社にあっては、新しい減価償却制度になって初めての申告となるだけに、改正点を確認しておきたい。



(以上参考;週刊「税務通信」第3017号)
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