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M&Aニュース

                                               2008年6月03日
 


7月から路線価図を公開 財産評価基本通達で確認必要
 
≫賃貸マンションの評価額

 低金利時代が続く中、資産運用手段として賃貸マンション経営を勧める広告を見かける。子どもに贈与する場合に相続時清算課税(特別控除額2,500万円)を活用すると、評価額が半分の賃貸用マンションなら5,000万円の購入までは「無税でも贈与できる」。そんな趣旨の宣伝文句も目に留まるが、評価額が半減するケースも多いのか。相続税や贈与税の財産評価方法は財産評価基本通達に定められており、評価基準となる路線価図は今年から7月1日に公開されることから、所有する財産の評価方法をきちんと確かめておきたい。
 相続税及び贈与税の評価額については、賃貸用マンションの場合、宅地部分の貸家建付地の価額と、家屋部分の貸家の価額をそれぞれ算出した上で、合わせた価額を求める。
 貸家建付地の価額については、主に市街地形態の地域にある宅地ならば路線価方式で、路線価が定められていない地域ならば倍率方式で、マンション全体の価額を評価したうえで、区分所有に応じた持分を掛けて自用地の価額を求める。次に、自用地の価額に路線価図に示された借地権割合、借家権割合、賃貸割合を乗じた価額を、自用地の価額から控除して貸家建付地の価額が評価される(評価通26。例えば、親が都内の主要な市街地にあるマンションの1室を購入し、他人に賃貸した物件を子どもに贈与するケースがあるとする。普通商業併用住宅地区として借地権割合を70%、借家権割合は30%、賃貸割合は100%とした場合、70%に30%を乗じた21%の割合を自用地から差し引いた79%、つまり約8割が貸家建付地の評価額に当たる。これに地価公示価格水準の8割程度といわれる路線価の評価割合を掛けてみると、貸家建付地の評価額は公示地価の64%、おおむね6割と見た方が無難だろう。
 一方の貸家については、総務大臣が定めた固定資産評価基準に従い、原則として市町村長が決めた固定資産税評価額を自用家屋の価額とし、この自用家屋から借家権割合である30%を控除した価額で評価する(評基通93)。つまり、固定資産税評価額の7割の価額ともいえるが、固定資産税評価額は家屋の資材の種類等によって下がることもありうる。一般にマンションの場合は宅地よりも家屋の評価額の占める割合が多くみられがちだが、明確に線引きされているとは言い難く、個々の物件で判断することになりそうだ。
 また、子どもに贈与する際に相続時清算課税を選択する場合は、贈与者が65歳以上、受贈者が20歳以上など一定の要件を満たさねばならず、しかも贈与税の確定申告期間中に税務署に届け出る必要があるので注意が必要だ。
 なお、マンションの所有者に対し、市町村等から送付されてくる「固定資産税課税標準」は、相続税や贈与税の評価額そのものとは異なるので注意されたい。自分が所有する土地や家屋の価格等については市町村等にある「固定資産課税台帳」で年間を通じて閲覧できるので、ぜひ一度は確認したいものだ。


(以上参考;週刊「経営財務」第2870号)
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