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M&Aニュース

                                               2008年6月30日
 


事業承継税制の制度化に向け、円滑化法の政省令は夏頃に

注目される50年振りに見直される相続税の課税方式の動向

  中小企業経営承継円滑化法に関する法律が成立し、10月1日から施行される。注目されている民法特例の施行については、平成21年3月1日が予定されている。
 一方、事業承継税制については、平成20年度の税制改正において大枠が明らかになっているものの、その詳細については、秋以降に平成21年度の税制改正大綱で明らかになる予定だ。
 税制については、制度の対象外とされる資産管理会社等に関連する事項や、雇用確保等の事業継続税制の導入にあわせて検討される、相続税の課税方式の見直しについては、資産税に携わる職業会計人を中心に大きな関心事項となっているが、21年度の税制改正に向けた検討は例年よりも前倒しで行われるとの見方もあり、その動向に注目しておきたい。


円滑化法は多くを省令に委任
夏頃を目途に公表へ



 21年度の税制改正では、中小企業経営承継円滑化法の制定に伴い、非上場株式等について相続税の納税猶予制度が創設されるとともに、相続税の総合的な見直しについても検討される予定だ。
 経営承継円滑化法は、5月9日に成立、16日に公布されており、10月1日から施行される。現在、中小企業庁では円滑化法関連の政令、省令の作成作業を行っており、8月中には作業を終了したいとの意向だ。
 この経営承継円滑化法の省令委任事項の主なものとしては、

  • 事業承継の計画的な取組み(後継者の確定、株式の計画的贈与等)に関連する経済産業大臣の確認について
  • 非相続人の要件となる、会社の代表者であったことや、非相続人と同族関係者で発行済議決権株式総数の50%超の株式を保有かつ同族内で筆頭株主であった場合等について
  • 後継者である相続人の要件となる、会社の代表であること、非相続人の親族であること、相続人と同族関係者で発行済株式総数の50%超の株式を保有かつ同族内で筆頭株主となること
  • 5年間の事業継続要件に関連し、8割の雇用確保の対象となる「従業員」の範囲や組織再編があった場合の扱い、相続した対象株式の継続保有等についての具体的事項
等があげられ、省令に委任する項目が多いだけに、できる限り早い段階での公表が待たれている。


事業承継税制の創設と相続税の課税方式の見直し


 一方、事業承継にかかる税制については、平成20年度の財務省の税制改正の要綱で、(備考)として事業承継税制について、事業の後継者を対象とした「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」を平成21年度の税制改正において創設することが明記された。
 これは、事業を承継する相続人が、非上場会社を経営していた非相続人から相続等によりその会社の株式等を取得して、その会社を経営していく等の一定の要件を満たす場合に、その事業を承継した相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予するというものだ。
 ただし、納税猶予額の計算については、「納税猶予の対象となる株式等のみを相続するとして場合の相続税額から、その株式等の金額の20%に相当する金額の株式等のみを相続するとした場合の相続税額を控除した額を猶予税額とする」と税制改正大綱に明記されていることに注意しておきたい。
 また、この場合の納税猶予の対象となる株式等については、「相続開始前から既に保有していた議決権株式等を含めて、その会社の発行済議決権株式の総数等の3分の2に達するまでの部分」と大綱においてカッコ書きで明示されている。これについては、納税猶予の対象となる株式等の上限を定めるだけではなく、事業承継を行うより以前に相続人が既にに対象株式等を3分の2保有しているような場合には、納税が猶予される額が発生しないということが予想されている。
 また、これに関連しては、前述のように実際に事業承継を行う前に相続人が既に対象株式等を3分の2に近い割合で保有しているケースに対応するため、早期の計画的な事業承継に重要とされる自社株式の生前贈与について、相続時精算課税を選択して生前贈与した自社株式も事業承継税制の対象とすべきとの要望もあるようだ。
 21年の税制改正では、この事業承継税制の抜本見直しにあわせて、相続税の課税方式をいわゆる遺産取得課税方式に改めることに検討と、相続税の総合的見直しの検討も予定されている。現時点では、遺産取得税方式による一人当たりの基礎控除額や超過累進税率がどのように見直されるかは明らかになっていない。今後、それらを含めて課税方式がどのように見直されるのか、改正の内容が注目されるところだ。
 なお、経営承継円滑化法と事業承継税制の今後のスケジュールは以下のようになる。



(以上参考;週刊「税務通信」第3022号)
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