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                                               2008年7月15日
 


国会で取り上げられた事業承継税制の方向性

税制が適用される後継者の範囲は、民法特例よりも広範に

 21年度の税制改正で創設される事業承継税制と、相続税の課税方式の見直しが注目されている。
 承継税制の要件等、詳細については今後の検討に委ねられているが、先日終了した国会審議の過程で、その方向性が見えてきたところもある。
 それらは、例えば民法特例と承継税制では後継者の範囲が異なることや、承継税制の対象となる後継者の人数について、また、5年間の事業継続期間中に組織再編が行われた場合の取扱い等である。


国会で取り上げられた事業承継税制


 ねじれ国会と呼ばれ混乱した第169回通常国会は、6月21日に終了した。20年度の税制改正法案は、4月に入ってからいわゆる60日ルールによる衆議院の再議決により成立するという異例の事態になった。ところで、平成21年度の税制改正で創設が予定されている事業承継税制に関心が集まっている。
 事業承継税制の創設は21年度の改正で行われるため、具体的な内容については、今後の検討に委ねられているわけだが、先日終了した第169回の国会審議において、その方向性がみえてきた部分もある。
 事業承継の根幹をなす経営承継円滑化法は既に成立しているが、その国会審議の過程において、税制についても言及されているところがあるからだ。


後継者は先代経営者の親族


 事業承継税制の適用対象者とされる後継者については、先代経営者の親族とされており、この親族とは、配偶者に加え、六親等以内の血族、及び三親等以内の血族の配偶者と配偶者の血族である姻族まで、幅広く含まれることになるようだ。
 そして、この税制における後継者の範囲は、事業承継円滑化法に規定される民法特例の後継者よりも広くなるようだ。
 民法特例の適用を受ける後継者は、先代の経営者の遺留分権利者で、基本的に配偶者や子供のみが対象とされており、合意の時点で単独で株式の過半数を保有しているということが必要とされる。これに対し、税制の後継者については、相続開始の時期において、同族関係者とあわせて発行済株式等の過半数を保有しており、同族関係者の中で筆頭株主であることが要件とされている。


一人の後継者が税制適用の対象に


 この事業承継税制の適用を受けることができる筆頭株主については、制度の趣旨が事業を承継した後継者が安定的に事業を継続していくということに主眼が置かれていることもあり、そのためには株式の集中が必要となるということから、後継者が一人である場合に、その後継者が相続により取得する株式について税制が適用されることになるようだ。


組織再編はその前後で判断


 また、税制の適用要件とされる5年間の事業継続に関連しては、組織再編を行うケースについて取り上げられている。
 これは、5年間の事業継続期間中に組織再編があった場合の取扱いをどのようにするのかということだが、詳細な要件については、今後、検討を加えるとしているものの、組織再編が行われた前後において事業継続要件を実質的に満たしているかどうかの判断を行った上で、納税猶予措置を維持するかどうかを判断していくことになるという見解が示された。
 いずれの内容についても、今秋以降の税制改正議論に拠るところが大きいわけだが、今後の検討される方向性が示された形となっている。



(以上参考;週刊「税務通信」第3023号)
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