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M&Aニュース

                                               2008年7月22日
 


証券取引等監視委、課徴金の事例集を公表

17年4月〜20年5月の36事例 最高額は5億円

 証券取引監視委員会(SESC)は6月24日、「金融商品取引法における課徴金事例集」を公表した。事例集では、平成17年4月の課徴金制度導入以降、20年5月までに課徴金納付命令が決定され、決定取消しの訴えの期間が経過した36事例の概要がまとめられている。内訳は、(1)インサイダー取引に係るものが23事例、(2)有価証券報告書等の開示書類の虚偽記載に係るものが13事例。課徴金の最高額は、(1)の事例において4,378万円、(2)の事例においては5億円であった。(2)では、「引越し前の工事物件について、引渡書を偽造する等して売上を前倒し計上した」事例や、「連結子会社が株式の全部を所有して実質的に支配している孫会社を、連結の範囲に含めなかった」事例等がみられた。


事例を示すことで市場参加者の規律促す


 事例集は、SESCが金融商品取引法に基づき、金融庁に課徴金納付命令を出すよう勧告した際の事例を集めたもの。金融庁では、昨年12月に公表した「金融・資本市場競争力強化プラン」において、課徴金の事例集を公表することを打ち出していた。事例を公表することで、市場監視行政の透明性を高めるとともに、市場参加者が自主的に規律を正すよう促すねらいだ。「今後も、毎年更新していく予定」(SESC)だという。


インサイダー取引は23、最高額は4,378万円


 事例集における全36事例のうち、(1)インサイダー取引に係るものは23事例あった。課徴金の最高額は4,378万円で、「上場会社Aの役員Xが、A社の子会社であるB社の解散を行うことについて決定した旨の重要事実を知り、A社の計算において、当該重要事実の公表前にA社株券を買い付けた(いわゆる自社買い)」事例に対するものであった。
 課徴金額の算定方法については、表の通りである。なお、「金融商品取引法等の一部を改正する法律」(本年6月13日公布、施行は本年11月〜12月になる見通し)により、課徴金額の水準が引き上げられる。

課徴金額の算定方法
インサイダー取引 (現行)重要事実公表日翌日終値を基準に算定
⇒(改正後)公表後2週間の最高値を基準に算定



継続開示書類 (現行)時価総額の10万分の3または300万円のいずれか高い方
⇒(改正後)時価総額の10万分の6または600万円のいずれか高い方
(四半期・半期・臨時報告書等の場合はその半額)
発行開示書類 (現行)募集・売出し総額の1%(株式は2%)
⇒(改正後)2.25%(株式は4.5%)



有報等の開示書類の虚偽記載は13事例


 (2)では、有価証券報告書等の継続開示書類や、有価証券届出書等の発行開示書類など、開示書類の虚偽記載に係る13事例の概要がまとめられている(金融商品取引法172条)。
 13事例のうち、工事契約に関するものが3事例みられた。具体的には、「売上の計上基準として建物引渡完了日基準を採用しているにもかかわらず、未完工で引渡未了の物件につき、工事が完了し建物引渡済であると仮装して売上の前倒し計上を行うこと等により、過大な利益を計上していた」事例などである。



(以上参考;週刊「経営財務」第2876号)
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