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M&Aニュース

                                               2008年7月28日
 


企業結合会計基準の改正案を公表

ASBJ 平成22年4月1日以後実施分から適用へ

 企業会計基準委員会(ASBJ)は6月30日、企業結合会計基準の改正案など下記6本の基準等の改正・新設案を公表した。EUの同等性評価に関連して追加的開示を提案された企業結合に係る項目について、持分プーリング法の廃止など現行の企業結合会計基準の見直しを行うものである。主な改正項目は、持分プーリング法の廃止に伴う派生論点(取得企業の決定方法、逆取得または共同支配企業の形成に係る会計処理など)、株式を対価とする場合の対価の測定日、負ののれんの会計処理などである。
 企業結合会計基準案、研究開発費会計基準の一部改正案、事業分離等会計基準案及び運用指針案は、平成22年4月1日以後実施される企業結合及び事業分離等から適用される(早期適用も可)


公表された公開草案


@ 「企業結合に関する会計基準(案)」(企業会計基準公開草案第26号)
A 「連結財務諸表に関する会計基準(案)(企業会計基準公開草案第27号)
B 「『研究開発費等に係る会計基準』の一部改正(案)(企業会計基準公開草案第28号)
C 「事業分離等に関する会計基準(案)」(企業会計基準公開草案第29号(企業会計基準第7号の改正案))
D 「持分法に関する会計基準(案)」(企業会計基準公開草案第30号(企業会計基準第16号の改正案))
E 「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針(案)」(企業会計基準運用指針公開草案第29号(企業会計基準適用指針第10号の改正案))

 このうち、Aは「連結財務諸表原則」(企業会計審議会)をベースに連結財務諸表の会計処理及び開示方法を規定するもので、現行会計基準と整合のとれていなかった部分を整理するなどしている。主要改正項目のうち、負ののれんの処理方法、少数株主持分の測定方法などの規定が当該基準に盛り込まれる。
 Bは、現在、無形資産専門委員会で審議を進めている論点のうち、「企業結合により取得した仕掛研究開発」に係る会計処理を先行して見直すものだ。国際財務報告基準(IFRS)と同様に資産計上することを打ち出している。


持分プーリング法は廃止


 持分プーリング法が廃止され、共同支配企業の形成及び共通支配下の取引以外の企業結合はパーチェス法により処理することとなる。
 この場合、問題となるのが、現行の会計基準が定める持分の結合に該当するような企業会計基準結合があっても、いずれかの結合当事企業を取得企業として決定しなければならない点。そこで、取得企業の決定方法についても併せて改正している。主な対価の種類が株式の場合、現行基準では、議決権比率を優先して取得企業を決定している。今後IFRSと同様に下記要素を総合的に勘案して決定する。@総体としての株主が占める相対的な議決権比率の大きさ、A最も大きな議決権比率を有する株主の存在、B取締役等を選解任できる株主の存在。C取締役会等の構成、D株式の交換条件。


株式を対価とする場合は「結合日の時価」で


 市場価格のある取得企業等の株式が取得の対価として公布される場合、その対価は、「企業結合日の時価」を起訴に算定する。現行基準では、原則として、その企業結合の主要条件が合意されて公表された日前の合理的な期間における株価を基礎にして算定するものとされている。


「負ののれん」の償却処理は廃止



 「負ののれん」の償却処理は廃止される。負ののれんが生じると見込まれる場合には、次の処理を行う。
@ 取得企業は、すべての識別可能資産及び負債が把握されているか、また、それらに対する取得原価の配分が適切に行われているかどうかを見直す。
A @の見直しを行っても、なお取得原価が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を下回り、負ののれんが生じる場合には、当該負ののれんが生じた事業年度の利益として処理する。


日本公認会計士協会は6月25日、監査委員会報告第52号「連結の範囲及び持分法の適用範囲に関する重要性の原則の適用に係る監査上の取扱」の改正案を公表した。連結範囲の決定にあたって、これまで実務上の指針であった同委員会報告第60号のうち、「監査上の取扱いに関する部分」を同52号へ統合する内容。これにともなって同60号は廃止の見込みだ。
 今回の改正は、企業会計基準委員会(ASBJ)が5月13日に公表した「企業会計基準適用指針第22号」への対応を図ったもの。


全面時価評価法に一本化


 連結財務諸表の作成にあたり子会社の資産及び負債を評価する方法として、部分時価評価法(親会社の持分に相当する部分については株式の取得日ごとの時価により評価し、少数株主持分に相当する部分については子会社の個別貸借対照表上の金額による方法)と全面時価評価法(子会社の資産及び負債のすべてを支配獲得日の時価により評価する方法)の二つの方法が認められていたが、全面時価評価法に一本化した。


段階取得は取得時の時価で


 取得が複数の取引により達成された場合(段階取得)における被取得企業の取得原価は、取得時点における取得の対価の時価で算定し、支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額との差額は、損益として処理する。現行基準では、支配を獲得するに至った個々の取引毎の原価の合計額によるものとされている。


仕掛研究開発は資産計上


 無形資産専門委員会において審議中の「企業結合により取得した仕掛研究開発」に関する会計処理案を「企業結合会計基準」および同適用指針の改正案に組み込む形で公表した。企業結合により取得した仕掛研究開発(企業結合の結果として、被取得企業で行われていた研究開発活動の途中段階の成果を取得するようなケース)は、IFRSと同様に資産計上することとなる。


(以上参考;週刊「経営財務」第2876号)
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