2008年8月14日
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      経営承継円滑化法の政省令の概要、今後、パブコメを経て公布へ 
       
      民法特例の施行は平成21年3月1日から 
      
       経営承継円滑化法が10月1日から施行されるが、その政令、省令の概要が明らかになった。経営承継円滑化法では民法特例を利用できる要件等をはじめ、その多くを政令や省令に委任しているが、注目される民法特例の施行は政令により平成21年3月1日と規定され、また民法特例を利用できる特例中小企業者の要件としては、省令により3年以上継続して事業を行っていることが定められる。 
       省令については、7月中には公表し、パブリックコメントを募り、8月中には公布される予定だ。 
       
       
      ◆民法特例21年3月1日施行 
       
       
       経営承継円滑化法は、民法の遺留分の特例と金融支援により、深刻な中小企業の事業承継問題を救済し、それに21年度改正で創設される事業承継税制を加えた3つをセットとして、中小企業の事業承継を視線することが最大の目的だ。 
       経営承継円滑化法は平成20年10月1日から施行され、税制については、周知のとおり、その施行日に遡及して適用される予定。 
       今般、明らかになった経営承継円滑化法の関連政令、省令では、円滑化法施行の日から1年を超えない範囲とされていた民法の遺留分の特例の施行期日は、平成21年3月1日とされた(円滑化法附則第1条ただし書き関連)。 
       民法特例については、制度の周知等に時間を要することから、その施行が、円滑化法の施行日よりも遅れるとされてきたわけだが、政令により施行期日が定められることとなる。 
       
       
      ◆制度の対象となる中小企業の範囲を拡大 
       
       
       また、円滑化法の対象となる中小企業については、既存の中小企業支援法と同様に一部の業種について、政令によって範囲が次のように中小企業基本法上の中小企業よりも拡大される 
      (円滑化法第2条第5号関連)。 
       
      中小企業基本法上の中小企業の定義
       
        
          
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            資本金又は従業員数 | 
           
          
            | 製造業その他 | 
            3億円以下 | 
            300人以下 | 
           
          
            | 卸売業 | 
            1億円以下 | 
            100人以下 | 
           
          
            | 小売業 | 
            5千万円以下 | 
            50人以下 | 
           
          
            | サービス業 | 
            100人以下 | 
           
        
       
      政令により範囲を拡大した業種
       
        
          
             | 
            資本金又は従業員数 | 
           
          
            ゴム製品製造業(自動車又は航空機用体や及びチューブ製造 
            並びに工業用ベルト製造業を除く) | 
            3億円以下 | 
            900人以下 | 
           
          
            | ソフトウェア・情報処理サービス業 | 
            3億円以下 | 
            300人以下 | 
           
          
            | 旅館業 | 
            5千万円以下 | 
            200人以下 | 
           
        
       
       
       
      ◆民法特例の要件は3年以上の事業継続 
       
       
       遺留分にかかる民法の特例は初めて定められることとなり、この円滑法の最大の目玉として注目されているが、この民法特例を利用できる中小企業のうち一定期間以上継続して事業を行っているものとして定められる「特例中小企業者」の要件は、3年以上継続して事業を行っていることが省令に規定される(円滑化法第3条第1項関連)。 
       また、省令には金融支援に関連し、親族外承継も金融支援の対象となることを明確化することも規定される。 
       
       
      ◆計画的取組みの救済措置 
       
       
       中小企業の事業承継で重要とされる早期の計画的取組に関連しては、相続前に経済産業大臣の確認を受けることが規定されているが、これについては、救済措置が設けられる。 
       円滑法の施行日である平成20年10月1日から、平成22年3月31日までの間の相続については、制度の施行直後ということもあり、事前に大臣の確認を受けることが困難であるため、後継者が相続前に役員に就任しているなど計画的な取組みが行われていたと認定時に認められる場合には、事前に大臣の確認を受けていたとみなされる。 
       また、被相続人が60歳未満で死亡した場合については、一般的に、計画的な取組みを行う年齢に達していないと考えられることから、大臣の確認を不要とする措置が執られる。 
       
       
      ◆相続人・被相続人の要件 
       
       
       制度の対象となる相続人と被相続人の要件については、相続人(事業を承継する後継者)は、同族関係者とあわせて発行済議決権株式総数の50%超を保有し、かつ、同族内で筆頭株主であることが規定される。また、この場合の対象者は一人に限られる。 
       一方、被相続人(先代の経営者)については、同族関係者とあわせて発行済議決権株式総数の50%超を保有し、かつ、相続人を除く同族内で筆頭株主であったことが要件となる。ただし、筆頭株主であったことが要件であり、相続段階で筆頭株主であることは求められない。 
       
       
      ◆資産管理会社は制度の対象外に 
       
       
       平成20年度の税制改正に明記されていたが、税制においては、個人資産の管理棟を行う法人の利用等による租税回避行為を防止する措置が講じられる。この点に関連しては、円滑化法でも制度の対象から、上場会社、経営承継円滑化法の中小企業に該当しない会社である大企業や医療法人等、風俗関連事業を行う会社等は除外されることとなる。 
       また、総資産に占める「特定資産」(有価証券、不動産、現預金、ゴルフ会員権、貴金属等)の合計額の割合が70%以上の「資産保有型会社」も制度の対象外となる。 
       
       
      ◆5年間の事業継続要件 
       
       
       事業承継税制からの適用を受けるためには、相続税の申告期限から5年間、事業を継続する必要があり、その具体的要件として、@代表者を継続、A雇用の8割を維持、B相続した対象株式の継続保有等を満たすことが求められる。このうちの雇用において「常時使用する従業員の数」については厚生年金保険及び健康保険の加入者ベースを算定し、これらの要件を満たしているかを、毎年1回経済産業大臣に報告することとなる。 
       
       
       
       
       
      (以上参考;週刊「税務通信」第3025号) 
      (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)
       
       
      
      
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