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M&Aニュース

                                               2008年9月1日
 


確認しておきたい民法特例と納税猶予制度の要件

納税猶予では適用要件とされない「特例中小企業者」

 中小企業の経営の承継の円滑化に関しては、経営承継円滑化法で規定される「民法特例」と「金融支援」、また税制改正で創設される「事業承継税制」が3本柱となるが、このうち、「民法特例」と「事業承継税制」の規定については、その内容を改めて確認しておきたいところだ。
 現時点では、税制の詳細は明らかになっていないが、民法特例の要件となる3年以上の事業継続が前提の「特例中小企業者」については納税猶予制度の要件となる経営承継における計画的取組についての経済産業大臣の確認とは、同じ「確認」という言葉が用いられるものの、異なるものであることから注意したい。


民法特例の要件


 中小企業の事業承継支援のための経営承継円滑化法の政令、省令の概要が明らかになり、今後、資産税に関わる税理士にとっては、その対策や検討が必須事項となろう。
 円滑化法で制度の対象に定められた中小企業は、既存の中小企業支援法と同様に、中小企業者の範囲を中小企業基本法上の中小企業より拡大している。
 そして、その拡大された中小企業車のうち、3年以上継続して事業を行っている「特例中小企業者」であれば、民法特例を利用できる。こおの民法特例は、遺留分の算定における当事者間の合意であり、@除外合意、A固定合意、B追加合意の3つに分けられる。
 まず、@除外合意であるが、事業の後継者が贈与を受けた株式等の全部または一部について、その価額を遺留分を算定する基礎財産から除外することができるというものだ。
 Aの固定合意は、時が用の後継者が贈与を受けた株式等の評価額について、合意をした時点で固定できるというもの。この評価額については、弁護士、公認会計士、税理士による証明が必要とされ、この評価額の算定方法については、中小企業庁の非上場株式の評価のあり方に関するガイドラインは年内中に公表される予定だ。
 この、@除外合意、A固定合意については、贈与を受けた株式等について、@Aの両方の合意を行うことも加納であり、いずれか一方の合意を行うことも可能となる。また、贈与を受けた株式の一部については除外合意を、それ以外の部分について固定合意を行うというように、組み合わせて行うことも可能となる。
 Bの追加合意については、株式等以外の財産についても遺留分算定の基礎財産から除外することができるものであり、事業の後継者が贈与を受けた株式等以外の財産、例えば事業用不動産等を除外することや、事業の非後継者が贈与を受けた財産(代償財産)について、遺留分から除外することについても合意を可能とするものだ。
 なお、民法特例が適用される「特例中小企業者」であることは、事業承継税制における納税猶予制度の適用要件とはされていないので、確認しておきたい。


事業承継税制の要件


 一方、事業承継税制の納税猶予制度の対象となる要件については、円滑化法の省令で金融支援要件の中で規定されている内容を、事業承継税制においても引用して、適用要件とする予定であり、その具体的な項目は、@計画的取組、A相続人、B被相続人、C認定対象会社、D事業継続となっている。
 まず、@計画的取組の具体的な内容については、「後継者の確定」、「株式の計画的承認等」に関する経済産業大臣の確認となる。
 A相続人の要件については、「会社の代表者であること」、「被相続人の親族であること」、相続人と同族関係者で発行済議決権株式総数の50%超の株式を保有、かつ、同族内で筆頭株主となること」とされる。また、1回の相続で制度が適用される後継者は1人となる。
 B被相続人の要件については、「会社の代表者であったこと」、「被相続人と同族関係者で発行済議決権株式総数の50%超の株式を保有かつ同族内で筆頭株主であった倍」となる。C認定対象会社の範囲については、「中小企業基本法の中小企業であること」、「非上場会社であること」、「資産管理会社に該当しないこと」等とされ、D事業継続要件については、「5年間の事業継続」が課され、具体的には「代表者であること」、「雇用の8割を維持」、「相続した対象株式の継続保有」となる。
 なお、円滑法の省令に規定される@計画的取組に関する経済産業大臣の確認は、事業承継税制の適用要件になると予定されているが、その経済産業大臣の確認と、円滑法化の7条に規定される民法特例にかかる経済産業大臣の確認とは異なる。


経営承継円滑化法 第7条(経済産業大臣の確認)

 第4条第1項の規定による合意(前2条の規定による合意をした場合にあっては、
同項及び前2条の規定による合意。以下この条において同じ。)をした後継者は、
次の各号のいずれにも該当することについて、経済産業大臣の確認を受けることが
できる。
 一当該合意が当該特例中小企業車の経営の承継の円滑化を図るためにされた
ものであること。  〜後略〜

 よって、民法特例の対象となる「特例中小企業者」であることは税制の要件とはならない。3年以上の事業継続は税制では求められないこととなる。




(以上参考;週刊「税務通信」第3026号)
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