運営人:潟Gムアンドエーインタークロス
後援:税務研究会

M&Aニュース

                                               2008年9月17
 


相続税の課税方式の見直しで日税連が
主税局と2回目の意見交換

主税局 課税方式を改めた場合の問題の所在と検討方向等を説明(日税連 HPで見直しに伴う法制的・実務的な論点項目を公表)

  周知のとおり、10月1日から経営承継円滑化法が施行されることに伴い、新たに事業承継税制が創設される。昨年の税制改正大綱には21年度の税制改正において「新しい事業承継税制の制度化にあわせて、相続税の課税方式をいわゆる遺産取得課税方式に改めることを検討する」とされている。現在その検討を進めている財務省主税局は、有識者ヒアリングを行って検討課題を浮き彫りにし、その方向性を探っているところだが、先般、日税連調査研究部との間で行われた2回目の意見交換の内容が、日税連のHPに公表されて明らかになった。
 日税連との意見交換は今回が2回目となるが、今回の会合では1回目で示された検討課題について、その検討の方向が示される内容となっており、今後の検討において、21年度の税制改正における相続税の課税方式の見直しについてより具体的な方向性が整理されることとなろう。



◆ 8項目について検討の方向性を示す


 日税連は、平成21年度税制改正に向けて検討されている相続税の課税方式の変更について、7月31日に主税局と2回目の意見交換を行ったことを明らかにし、主税局から示された「相続税の課税方式の見直しに伴う主な法制的・実務的論点」をHPにおいて公開している。
 第2回目の会合は、第1回目の意見交換で示された下記の8項目について、問題点と現時点における検討の方向性が示されており、今後の検討において、より具体的な方向が整理されることになろう。
 ただし、これらはあくまでも現時点における問題点と、現時点における検討の方向性が整理されて、21年度の税制改正で最終的なかたちが示されることとなろう。

 1.税額計算の基本構造
 2.未分割での申告
 3.仮装分割・仮装未分割等への対応
 4.普通養子
 5.世代飛ばし
 6.申告納税地
 7.申告書
 8.連帯納付義務


◆ 税額計算の基本構造



 まず、税額計算の基本構造については、(イ)基礎控除の基本構造、(ロ)被相続人との身分関係に応じた基礎控除・税率等、(ハ)配偶者控除、(ニ)生命保険金・死亡退職金に係る負担軽減の基本構造、(ホ)特例措置等(小規模宅地、農地に係る納税猶予等)に係る負担軽減の基本構造、について、その問題の所在と現時点における検討の方向性が示されている。
 (イ)の計算の基本構造では、遺産総額からの控除に代えて、取得者段階での取得財産価額からの固定額の控除としてはどうかとされている。また、(ロ)では基礎控除額は被相続人との身分関係により、@配偶者、A配偶者以外の法定相続人、B受贈者、との3区分を設けることとしてはどうかとされている。
 (ハ)では、配偶者控除について、現行と同様の配偶者控除を設けることとしてはどうかとされ、(ニ)(ホ)では、遺産総額からの控除等による負担の軽減を、基礎控除と同様の構造にしてはどうかとされている。



◆ 未分割での申告



 未分割の場合の各財産取得者の納付税額は、現行の法定相続分等にしたがって財産を取得したとすると、相続税の総額ベースの負担が最も軽くなるという問題が生じるが、課税方式を見直した後も、法定相続分等にしたがって財産を取得したとして算出される額を基本とし、分割後申告を促進する等の観点から、一定の加算を行うことをどう考えるかとされている。
 また、申告については、未分割時の申告、分割後の申告ともに、連署方式での共同申告を求めてはどうかとされ、未分割での申告を行った場合には、毎年、分割協議の状況の届出を求めることとしてはどうかとされている。




◆仮装分割・仮装未分割党への対応



 仮装分割等の租税回避行為に対しては、適切な調査によち対応する必要があると考えられ、効率的・効果的な調査を行う必要から、資料情報の充実を図ることとしてはどうかとされている。




◆ 普通養子



 養子については、普通養子が実際に財産を取得してはじめて、相続全体としての基礎控除の増加や累進の緩和の効果が生ずることになることを踏まえ、基本的には税額計算において、普通養子と実子は同じ扱いとしてはどうかとされている。
 また、未分割の場合には、養子の数を制限した仮の各取得者の相続税額を算出し、それを合計した額を「相続税の総額」とし、その「相続税の総額」を全養子を含めた実際の各取得者の法定相続分等で按分するとしてはどうかとされている。


世代飛ばし


 被相続人からその子供への相続を飛ばし、孫等への遺贈や孫養子等への相続が行われた場合の税負担については、課税方式を見直した場合も、そのような世代飛ばしがなければ、これらの者が負担することになる税負担と見合ったものとすることを念頭においたものとしてはどうかとされている。


◆申告納税地


 課税方式を見直した場合の申告納税地については、現行と同様に、被相続人の住所地としてはどうかとされている。


◆ 申告書


 基本的には税額が生じる者のみに申告義務を課すこととするが、未分割での申告の場合、未分割の財産を全部取得したとすると税額が生じる者には、申告時に納付税額が生じない場合でも申告を求めることとしてはどうかとされている。


◆ 連帯納付義務


 課税方式を見直した場合、他の取得者に係る連帯納付義務(34条1項)については、未分割の財産がある場合等を除き、廃止してはどうかとされている。





(以上参考;週刊「税務通信」第3029号)
(このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






Copyright (C) 1999- M&A Intercross Co.,Ltd , All rights reserved.
omo