運営人:潟Gムアンドエーインタークロス
後援:税務研究会

M&Aニュース

                                               2008年9月19
 


 コンバージェンス、2011年に向け「連結先行」で対応

      金融庁 連単の整合性は維持

 
 「東京合意」に基づく会計基準のコンバージェンス(収斂)に向けて、日本は今後、「連結」基準の改正が「単体」に先行する「連結先行」の考え方で対応することになりそうだ。「連結先行」は、金融庁が7月31日に開催した「わが国企業会計のあり方に関する意見交換会」で合意を得た考え方。わが国では、企業会計基準委員会(ASBJ)が、東京合意に基づく会計基準の収斂作業を進めており、2011年6月までに日本基準と国際財務報告基準(IFRS)との差異が解消する見込み。ただ、対応時期が流動的になるMOU項目(特に収益認識や財務諸表の表示など)については税制等の問題があるため、従来のような連単同時改正ではなく、当面、連結基準の改正によりIFRSへの収斂を図る。連単の整合性は「(単体を)できるだけ早く連結に合わせる」ことで維持する。


◆ 「連結先行」論の背景

 ASBJが国際会計基準審議会(IASB)との間で基準収斂の加速化を確認した「東京合意」のポイントは以下のとおり。


第1段階:欧州証券規制当局委員会(CESR)が指摘した「重要な差異」26項目は原則、2008年中に解消。
第2段階:両者で識別されてきた残りの差異については、2011年6月末までの収斂が目標。
第3段階:IASBが開発中の新基準については、その適用が2011年6月以降の場合、上記の目標は適用されない。その場合でも、新      たな基準が適用となる際に、日本において国際的なアプローチが受け入れられるよう、緊密に作業を行う。

 第1段階は年内に結論が出る。欧州委員会による同等性評価でも「日本基準は(EUが採用している)IFRSと同等」との決定が得られそうだ。
 問題は第2段階以降。残りの差異である「収益認識」などMOU項目は、「これまでの日本の考え方と乖離しており。税制との調整が困難」(産業界)との指摘がある。当局も「連結財務諸表では投資家への情報提供機能や国際的な比較可能性が一層重視される一方、単体財務諸表はわが国固有の会計実務・商慣行とより関連が強い面がある」(金融庁総務企画局)という。


◆ 連単の整合性は維持


 こうした観点から意見交換会では、連結財務諸表に係る会計基準を単体に先行して改正する「連結先行」の考え方で出席者の見解が一致。
 欧州は2005年に城内上場企業に対してIFRSの適用を義務付けたが、それは連結財務諸表のみ。英・仏など各国は、各国固有の会計慣行や税制などが絡む単体について自国基準を残している。「連結先行」も、こうした対応と似た側面をもつが、連単分離ではなく、「(単体を)できるだけ早く連結に合わせる」ことで整合性を維持したい考え。
 また、国内企業にもIFRS適用を容認しそうな米国の動きも気になるところ。米国の動向によっては、IFRSを受け入れるか否かについて議論となる可能性がある。仮にIFRS採用の動きが強まるにせよ、2011年に向けて「日本基準のコンバージェンスを着実に進めることが基本になる」(同)としている。

 


(以上参考;週刊「経営財務」第2882号)
(このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






Copyright (C) 1999- M&A Intercross Co.,Ltd , All rights reserved.
omo