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                                               2008年9月22
 


経産省 海外子会社からの配当の益金不算入制度の創設を提言

海外子会社から日本国内への資金環流の活発化を見込む

 
 経済産業省は、平成21年度の税制改正で、海外子会社からの配当を益金不算入にする制度を創設することを提言した。
 海外子会社の内部留保額は、ここ数年増加する傾向にあり、2006年度は3兆円を超えている。
 今回の提言は、海外子会社の利益を、日本国内の親会社に戻し易くする税制改正を行って、日本国内の企業活動をより活発に行えるようにすることが、主な目的だ。
 各省庁の来年度の税制改正要望が提出され、年末に向けて議論されることとなるが、平成21年度の税制改正で取り上げられるか、注目される。

◆ 増加する海外子会社の内部留保に対応


 この提言は、経済産業省貿易経済協力局長の下に開催されている国際租税小委員会が取りまとめた「わが国企業の海外利益の資金環流について〜海外子会社からの配当についての益金不算入制度の導入について〜」の中間論点整理に盛り込まれたもの。
 経産省の「海外事業活動基本調査」によると、近年2〜3兆円強が海外子会社に留保されており、2006年度の海外の現地法人の内部留保額は2001年度に比して23.5倍増の3兆円強となり、内部留保残高は約17兆円強とされている。
 今回の提言は、世界経済の成長を日本国内に結びつけ、日本企業の海外の利益を国内に環流することで、日本国内の研究開発や雇用等を充実させ、企業活動をとりまく環境整備の拡充を図ることを狙いとしたものだ。


◆ 資金環流のインフラ整備が改正の趣旨


 しかしながら、今回の提言が税制改正により実現した場合、実際にどれだけの資金が日本国内に環流されるかについては、国内の資金需要、為替、内外の金利差等、企業の経営判断により左右されるものであるため、具体的な額を試算することは困難なようだ。
 提言では、この制度改正案の趣旨は、国際的に事業展開する日本企業が、経営判断に基づいて、海外子会社の利益を日本に戻すに当たっての税制上の障害を取り除いて、事業環境を整えることにある、としている。
 具体的な内容としては、原則出資比率25%以上の海外子会社からの配当について、株式の保有期間6ヶ月以上の要件のもとに、益金への不算入制度を創設することを恒久措置として制度化することが盛り込まれている。また、この改正が実現すると、海外子会社からの配当が益金不算入となり二重課税が排除されることから、源泉徴収される所得税については外国税額控除の対象外とするとされている。
 経産省は、この制度の創設を平成21年度税制改正で実現することを提言していることから、21年度税制改正の動向が注目されることとなる。



(以上参考;週刊「税務通信」第3031号)
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