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M&Aニュース

                                               2008年10月16
 


 企業結合会計基準の改正審議を再開

  ASBJ 年内に最終基準を公表へ

    

 企業会計基準委員会(ASBJ)は9月25日、第54回企業結合専門委員会を開催した。持分プーリング法の廃止などEUの同等性評価に関連する項目の改正を行うもので、年内に企業結合会計基準など関連する基準等を公表する予定だ。今回の専門委員会では、改正案へのコメントの分析および対応案について審議を行った。コメントが多く寄せられた論点のひとつが「段階取得における会計処理」。段階取得により支配獲得した株式を支配獲得時に時価で再評価する点について、個別財務諸表上は現行の取り扱いを継続することを求める意見や評価差額を損益計上するのではなく純資産に導入することを提案する意見などが寄せられた。しかし、現時点では当初案通り審議を進める方針である。


◆ 連単分離を求める意見も


  段階取得における会計処理に関しては、現状の取り扱いの維持を求める意見の他、連結財務諸表については改正案の通りの処理を採用し、個別財務諸表については現行処理を継続することを求める意見もあった、いわゆる「連単分離」の考えだ。「支配獲得時に被取得企業を時価をもって測定することは、被取得企業の超過収益力をより適切に反映することにつながると考えられるが、このような超過収益力は、情報提供機能がメインである連結財務諸表において、企業集団の情報として開示されれば十分である」(経済産業省)、「個別財務諸表に対しても、段階取得における会計処理を適用することは、現在の我が国の会計慣行にない考え方であることから、分配可能額の算定や法人税の計算に大きな影響を与えることになる」(会計士協会)など個別財務諸表への適用に関しては、慎重な検討を行うことを求めている。
 また、「仮に個別との連結の会計処理を一致させる場合は、担税力の観点から、当該処理について税務上益金不算入または損金不算入となるよう配慮願いたい」(日本貿易会)と、税務上の対応を求める意見も寄せられている。


◆ 経産省が「純資産直入」を提案


 経済産業省は、段階取得における会計処理に関し、新たな会計処理を提案するコメントを提出している。評価差額を一時に損益計上するのではなく、純資産直入するというものだ、金融商品会計基準における「その他有価証券」の処理を例に上げ、「時価評価が求められているものの、直ちに売買・換金を行うには制約があるとして、評価差額を直ちに登記の損益として処理することは適切でないとされている。同じような観点から、段階取得により支配獲得した時点で投資精算したものとみなすものの、実際に精算されたわけでもなく、また、子会社株式については通常直ちに売却を予定しているものでもないため、実現可能性の低い損益を支配獲得時に損益計上することは適切ではない」としている。
 次回以降の専門委員会においても引き続きコメントの分析等を行い、最終基準の公表に向けた審議を進める。




(以上参考;週刊「経営財務」第2888号)
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