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M&Aニュース

                                               2008年11月05
 


 純資産価額方式による評価方法の取扱いで確認
 
  会社分割に伴う株式評価益等の法人税額等相当額も控除不可
 


 小会社の非上場株式等を評価する際等で用いられる純資産価額方式は、会社の正味財産価額を一株当たりに換算して算出するというもの。

 この正味財産価額を算出する際、会社の資産の評価替えに伴って生じた評価益に対する法人税額等相当額を、正味財産価額から控除することができるが、恣意的な株価の圧縮方法として利用されないようにするため、「合併により著しく低い価額で受け入れた資産や、株式交換、株式移転により著しく低い価額で受け入れた株式の評価差額に対する法人税額等相当額」は控除できないこととされているところだ。
 
 この取扱いは、合併に限らず会社分割に伴って株式移転等が行われた場合についても同様に適用されるので注意したい。


◆ 法人税額等相当額を控除できないものの範囲


 純資産価額方式により株価を算出する際、株式の所有=会社の資産の所有といえるとともに(間接所有)、個人事業主がその事業用資産を直接所有するケースとのバランスを図る観点から、資産の時価と簿価の評価差額の法人税額等相当額(評価益×42%)を正味財産価額から差し引くことができることとされている。
 しかし、実務上では、株式を時価よりも相当低い価額で受け入れることによって、受入れ差額×42%を正味財産価額から差し引くことができることから、恣意的な株価の圧縮方法として利用されたケースもみられたようだ。
 そこで、現行の取扱いでは、会社の資産の中に「現物出資」や「合併により著しく低い価額で受け入れた資産」、「株式交換、株式移転により著しく低い価額で受け入れた株式等」があるときは、原則として、その評価益に対する法人税額等に相当する金額を控除できないこととされている。(評基通186−2)。


◆ 分割の場合も同様に規定が適用される


 ところで、通達上では、”合併”による株式移転等に伴って生じた評価益に対する法人税額等相当額の控除の取扱いが明示されているが、”会社分割”の際の取扱いについては明らかにされていない。そのため実務上では、会社分割に伴って株価等の評価益が生じた場合、合併と同様に取り扱われるのか、それとも異なるのか取扱いを巡って混乱も見られるようだ。
 この点について確認を行ったところ、会社分割の場合も同様にこの規定が適用されることとなるようだ。したがって、会社分割で株式移転や現物出資等が行われ、時価よりも著しく低い価額で株式を受け入れたものがある場合には、その評価益に対する法人税額等相当額は控除できないこととなるので注意が必要だ。

 ただし、株式移転等により受け入れた資産の評価額の合計額が、総資産価額の20%以下である場合等は、この取扱いは適用されないのでこちらも留意されたい。






(以上参考;週刊「税務通信」第3039号)
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