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M&Aニュース

                                               2008年11月21
 


  
 「段階取得」個別上は現行処理を維持

 ASBJ 企業結合会計基準の改正審議
      

  企業会計基準委員会(ASBJ)は11月5日、第57回企業結合専門委員会を開催した。年内にも正式公表する改正企業結合会計基準及び同適応指針等の文案の審議を行った。この中で、企業側からとくにコメントの多かった「段階取得」の会計処理に関しては、個別財務諸表においては現行の会計処理方法を維持し、連結財務諸表のみ国際財務報告基準(IFRS)と整合させる方針が固まった。


 個別は現状維持、連結をコンバージェンス


 会計上、段階取得(ある企業の株式の購入を一定の期間にわたり段階的に行うことによって当該企業に対する支配の獲得に至るようなケース)が行われた場合、その一連の取引に係る取得原価をどのように測定するかが問題となる。現行の日本基準では、取得企業が支配を獲得するに至った個々の取引ごとに取得の対価となる財の時価を算定し、それらを合算したものを取得原価とするものとされている、これに対し、IFRSでは、以前から所有していた被取得企業の持分を支配獲得日の時価によって再評価し、再評価の結果生じた差額については、損益として認識しなければならない。

 今回の改正審議では、コンバージェンスの観点から、IFRS同様、再評価する方向で検討が進められていた。しかし、産業界を中心に反対意見も多く、6月に公表された公開草案に対して、現状の取扱いの維持を求める意見の他、連結財務諸表については改正案通りの処理を採用し、個別財務諸表については現行処理を継続することを求める意見もあった。こうしたコメントを受けて、個別財務諸表上も評価差額を損益として処理するとしていた当初案から方針を転換し、個別上は現行の処理方法を維持することとした。

【連結】被取得企業の取得原価と、当該支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額との差額は、当期の損益として処理する。
【個別】支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額をもって、段階取得における被取得企業の取得原価とする。


◆ 連結財務諸表非作成会社は注記で対応


 個別財務諸表上、別の対応を採ることとなったことで、連結財務諸表を作成していない企業への対応が問題として浮上している。上記のように連結上把握される差額が個別財務諸表から把握することができないためだ。そのため、連結財務諸表を作成する企業との比較可能性の確保の観点から、連結財務諸表を作成していない企業に対しては、注記を求めることとした。取得の対価となる財の取得時点における時価で算定したとした場合の被取得企業の取得原価と、当該支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額との差額、個別損益計算書に及ぼす影響額などを注記する。

 なお、ASBJの集計によると、連結財務諸表非作成会社は有価証券報告書提出会社4,566社中840社(18.4%)ある。





(以上参考;週刊「経営財務」第2893号)
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